「勝たないとダメだ」 “プロ経営者”の口から語られた勝利への熱き思い

J3松本山雅FCを運営する株式会社松本山雅の新たな経営トップに、横関浩一氏が就任した。2026年4月21日に松本市内で開いた定時株主総会と臨時取締役会での承認を経て、新設の代表取締役CEOに就く役員人事が決定した。今回の人事の背景には、大手広告代理店勤務などで培われた横関CEOのビジネススキルをクラブ経営に直結させる狙いがある。一方で、横関CEOの口から語られたのはトップチーム強化と勝利に対する熱い思い。“プロ経営者”というステレオタイプを打破するかのような語り口からは、地域の期待に応えようとする熱意がにじみ出ていた。

編集:大枝 令

静かに経営を語る口調が一変
「やはり勝つ必要がある」

定時株主総会と臨時取締役会を終えた午後6時。松本市内のホテルに用意された会場で記者に囲まれた横関CEOは、矢継ぎ早に寄せられる質問に理路整然と答えていた。

「3期連続赤字だった決算を黒字化させた背景は何か?」

「どのようにコストの適正化を図ったのか?」

数字やデータをよどみなく例示したり、自身の経営理論を披露しながら複数の計画案を提示したり。最終的に1時間を超えた取材対応の前半は、横関CEOが思い描くクラブ経営に関するやり取りに終始した。

取材が中盤から終盤に差し掛かり、記者から「トップチームにはどうあってほしいと考えているか?」と水を向けられた時だった。

それまでは言葉を慎重に選びながら、静かな口調での応答が印象的だった横関CEOから発せられた言葉が急に熱を帯びた。

「タフであってほしい、クリーンであってほしい。もちろん精神論として重要だと思う」

そう前置きした上で、「やはり勝つ必要がある。(負ければ)結局は誰かの不満や不快につながってしまう。(ファンやサポーター、スポンサーの)大半が勝ってほしいと思っている。勝たないとダメだ」

質問者に正対し、目を直視し、まくし立てるように言葉に力を込めた。

地域の期待に応えるために
チームもクラブも変わる

関西大から2002年に加入したJ2ヴァンフォーレ甲府でJリーグデビューを飾り、04年には北信越リーグ2部に参戦していた松本山雅でのプレー経験もある。

ただ、プロ選手として残した成績は、リーグ戦出場5試合無得点。華々しい活躍もなければ、J1や日本代表の舞台に立つこともなかった。

この日の取材では、「サッカー選手としてうまくいかなかったというバックグラウンドがある。(Jリーグや日本代表で活躍した人たちを)見返したい気持ちが根幹にある」と元選手としての横顔をうかがわせる発言もあった。

一方で、トップチームの強化やあり方について語った言葉は、元選手という経歴が熱源になっているようには感じられなかった。

あくまでもクラブ経営を担う責任者として、それにサポーターやスポンサーの声に耳を傾けてきた一人として、強いチームを求める地域の期待に応えたいという気持ちが言葉に熱を与えたように思う。

今季から就任した石﨑信弘監督の下でチームは明らかに変貌している。

横関CEOは、株主や取締役会、都丸善隆スポーツダイレクターらの役割を明文化している――と、チーム強化への関与には一定の距離を置いていると強調した上で、「J3からの脱却のために最短で上がれるスタイルにルートを変えた」と石﨑監督を招いた経緯を説明。強化方針のテコ入れを主導した一人だと明らかにした。

大手広告代理店でビジネス界の最前線を歩み、イギリス留学を経てMBA(経営学修士)を取得した経歴から抱くイメージは、まさに“プロ経営者”。その新たな経営トップから語られたのは、チームの強化と勝利を追求する熱い思い。

これからの松本山雅は、チームだけでなくクラブも大きく変わっていくのかもしれない。


クラブオフィシャルサイト
https://www.yamaga-fc.com/

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