ミスを恐れずサーブで攻める 前半戦の最後でつかんだ成功体験

リーグ戦折り返しの前節で、一つの手応えを得た。2025年1月25-26日のホームゲームで白星を挙げ、3連勝としたルートインホテルズ信州ブリリアントアリーズ。前々節の首位決戦・ブレス浜松戦から黒星先行だったものの、「攻めのサーブ」も光って反転攻勢へ。現在は10勝4敗でファイナル圏内の3位につけるが、“初代王者”の座を争う熾烈な後半戦はアウェイも続く。タフなリーグをどう勝ち抜いていくのか――。

文:原田 寛子/編集:大枝 令

方針変更の効果が見えた前節
強気のサーブで相手を翻弄

今シーズン、原秀治監督はあるチャレンジをしていた。

「ミスしてもいいから、攻めたサーブを打つように」

過去2シーズンは「サーブはミスをしないように」という指示だったが、それを真逆に変えた。

鮮明に打ち出した、攻めの姿勢。リーグファイナルに進出して初代王者の称号を得るには、厳しい局面の戦いを越えなければならない。さらなるレベルアップが必須だ。

「中途半端なサーブはファイナルでは通用しない」

そう判断しての挑戦。新加入の中国人オポジット(OP)王美懿(ワン・メイイ)は、189cmの長身から繰り出すジャンプサーブで相手を崩す。サーブ効果率は13.3%とリーグ首位。キャプテンのセッター(S)横田実穂も11.5%で7位につける。

チーム全体としても、その取り組みが実を結び始めた。象徴的だったのはリーグ前半戦ラストゲームとなった、2025年1月25-26日のJAぎふリオレーナ戦だった。

スタメン起用の選手はもちろん、ワンポイントサーバーもきっちりと仕事を果たす。サーブ効果率はGAME1で今季最高の10.6%をマーク。横田と王が2本ずつサービスエースを取ったほか、アウトサイドヒッター(OH)舛田紗淑のサーブも走る。快勝を引き寄せた。

「強いサーブを打ち、攻める気持ちを表現しなければ…という気持ちで臨んだ」と横田。コートの奥に手前にとサーブで揺さぶって相手を翻弄。何度もブレイクした。

GAME2こそ8.6%にとどまったものの、攻める姿勢は不変。2日間ともセットカウント3-1で勝ち、レギュラーラウンド28試合のうち半分の14試合を終えて10勝4敗の3位でターンした。

首位決戦でも重要性を再確認
サーブで崩してブレイクを狙う

その前の1月11-12日のホームゲームでは、無敗の首位・ブレス浜松に2連敗。しかし苦杯を喫したその試合でも、強気のサーブで崩したセットは奪えていた。

GAME1の第1セットは横田とOP宮崎聖、GAME2の第2セットではミドルブロッカー(MB)山村涼香。相手コートの奥を狙うサーブでレセプションを崩し、連続ポイントを決めてセットを奪っていた。

結局は浜松のMB神田さくらやアウトサイドヒッター(OH)早川京美の速いサーブに後手を踏んだ。レセプションを崩され攻撃の幅が狭まり、苦戦を余儀なくされた。原監督は振り返る。

「ファーストボールの質が違った。しっかりセッターに返れば、攻撃の幅は広がる。強いチームと今のアリーズの違いはそこ。しっかりサーブで崩せたのが(GAME2の)2セット目。それを継続できるかが問題」

横田も試合後の会見で、「サーブで崩せているセットは優位に自分たちのバレーができた。もっとチーム全体としてサーブで攻め続けられるようにしなければ」と課題を再確認。この体験を一つのきっかけとし、後半戦の巻き返しにつなげたい。

アウェイ続きの後半戦スタート
カギとなるチーム力と体調管理

ここから始まる後半戦。試合間隔が不規則に開いていた前半戦とは異なり、毎週のように試合が続く。長距離移動を伴うアウェイも含めてだ。

ただでさえリーグがホーム&アウェイ方式に変わり、試合数が増えた上に土日の2連戦。移動も加味すればコンディション管理は重要なファクターで、今まで以上に総合力も問われる。

しかしそこは、従来から「総力戦」をキーワードに掲げる信州Aries。さまざまなタレントがコートに立つべく準備している。例えばリガーレ仙台戦GAME2からコートに立ち続けている新加入の石原果林(MB)もその一人だった。

「JAぎふ戦で初めて2日間コートに立った。疲れは感じたが、逆に動きやすいと感じた部分もあった。自分はGAME1でベンチ外、GAME2で出るということもあると思うので、アウェイでも運動量をしっかり確保して臨みたい」

首位決戦・浜松戦はケガで離脱していた王も復帰。JAぎふ戦後は「仙台戦では調子が戻らずチームメイトに助けられた。ここから調子を戻して試合に臨みたい」と意気込みを口にしていた。

後半戦は2月1-2日のアウェイ・倉敷アブレイズ戦からスタート。特に3月は広島、三重、北海道、浜松と最終節まで4連続アウェイが続く。リーグ戦が佳境に差し掛かった中でタフな戦いが求められる。

そうしたシチュエーションで必要な要素は何か――。旧V1リーグでの経験を持つ舛田は語る。

「体力的にハードになるけれど、試合は待ってくれない。移動時間も有効活用するために、姿勢や休息の取り方を工夫してコンディションを整えていきたい」

目標への道のりは平坦ではない。
それでも選手たちは一丸となって茨の道を進み、“初代王者”の称号をつかみに行く。牡羊座の星がひときわ輝きを増す場所が、そこにあるのだから。


チーム公式サイト
https://www.briaristcamp.com/
Vリーグ チーム紹介ページ
https://www.svleague.jp/ja/v_women/team/detail/484


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