王者と乱打戦も勝機するり “信州アリーナスポーツ集結”の次節で初白星を

またも今季初勝利はお預けとなった。開幕から未勝利が続くボアルース長野は2025年6月23日、F1リーグ第4節でバルドラール浦安と対戦。昨季王者の本拠地で2度の先行に成功したが、終わってみれば3-7と大敗した。ここまで開幕4連敗と苦しい状況ではあるものの、決して手も足も出なかったわけではない。かすった指先の感覚を頼りに、次節29日のホームゲームで一勝を手繰り寄せたい。

文:田中 紘夢/編集:大枝 令

王者・浦安に敵地で真っ向勝負
狙い通りの3発も、大量7失点

「苦労するところはいくらでもあったけど、チームとしてやりたいことはできた」

古巣対決の田中智基は敗戦を受け止めつつ、手応えを口にする。

昨季王者の浦安を相手に、今季最多となる3得点を記録。いずれのゴールも「狙い通りだった」という。

そのうち2点はGK橋野司の攻撃参加やスローインから生まれ、1点はGKイゴールのパスミスを奪ってショートカウンター。いずれも練習から用意してきた形だ。

しかし、守備では今季最多の7失点。日本代表3人を軸とした連係や個人技に翻弄されれば、3試合連続でパワープレー返し(GKをフィールドプレーヤーに代えての全員攻撃に対するカウンター)も食らった。

「一人一人が戦えていないわけではない。個のスピードだったりうまさではがされたときに、誰かが助けてあげられるチームにならないといけない」

「誰が出てもある程度は戦えている気がするけど、個人としてもチームとしても力を上げていかないといけない」

前節のボルクバレット北九州戦で松永翔が負傷交代。長期離脱中の米村尚也も含めてフィクソ(サッカーのセンターバックに相当)が手薄となる中、21歳の渡辺ロドリゴエイジも奮闘した。

台所事情を言い訳にせず、王者に対して敵地で真っ向勝負を挑んだ。

第1ピリオドは2-2と互角の折り返しをしたものの、第2ピリオドを含めた結果は3-7。開幕から4連敗と苦しい状況が続いている。

進化を示したかった古巣戦の稲葉
「『悔しい』で終わらせない」

「一緒にやっていた人たちも多くいる中で、自分が進化した姿を見せたかった」

大卒からバルドラール浦安に2年間在籍した稲葉柊斗。古巣相手に成長ぶりを示す絶好の機会だった。

13分には自陣で味方が1対2の局面を迎えたが、全速力でゴール前に駆け戻ってのスライディングでラストパスをクリア。得意のアジリティを生かし、間一髪でピンチを防いだ。

しかし18分、再び相手のラストパスをスライディングで阻んだものの、クリアがそのままネットを揺らしてオウンゴール。30分にも相手の折り返しに足を出したが、コースが変わってゴールに吸い込まれてしまう。

「(30分の)4失点目は角度がなかったので、GKが見やすいように滑らなかったりとか…いろいろ考えてしまうところもあった。もっと切り替えて頭をクリアにしないといけなかったし、経験不足が出てしまった」

浦安時代にはセカンドチームへの降格も味わった24歳。3シーズンぶりにF1の舞台へ返り咲き、成長の跡を示したいところだったが、「個人としては物足りなさがあった」。

「これを『悔しい』で終わらせてはいけないし、まだ試合はある。また浦安とも最終節で戦えるので、そこで食ってやるという気持ちでやっていきたい」

伸びしろを手土産に、古巣を後にした。

初勝利に向けて40分をどう戦うか
経験を咀嚼して加速度的成長を

稲葉が挙げた「経験不足」という課題は、チームとしても直面している。

3シーズンぶりのF1復帰を果たした今季。山蔦一弘監督はF1とF2の違いを問われると、こう答えた。

「強度だったりはもちろんだけど、一番感じるのは経験。前節も北九州を相手に2-0で折り返したけど、相手は全く慌てていなくて、『40分で戦う』という意識があった」

「自分たちは1点を取られると気持ちが後ろ向きになったり、僕の指示に対してF2のときは確認できていたところが、声を出してもピッチに届かなかったり…。余裕が一つずつなくなっていくところは経験かなと思う」

前節は第1ピリオドを2-0で折り返したが、終わってみれば2-4と逆転負け。今節も2度の先行に成功しながら、第2ピリオドに突き放されて大敗となった。

「40分をどう戦うか。前半は良い戦いができても、そこから勝ちに持っていくのは未知のところ」と指揮官。チーム最年長の39歳・田中も「ある程度は頑張って耐えられても、40分の中でできる、できないは出てくる。そこはもっと大事にしていきたい」。

昨季のF1を振り返ると、昇格チームのヴォスクオーレ仙台は開幕12連敗と苦しんだ。シーズンを通して1勝も挙げられず、1年での降格が決定。F2とF1の実力差は大きく、ボアルースもそのギャップに苛まれている。

ボアルースは年齢的にも経験的にも若いチーム。試合を重ねながら学び、アップデートしていく必要がある。40分間で得た経験を咀嚼し、加速度的な成長に繋げて、F1で生き残るための道筋を描きたい。

ただ山蔦監督からすれば、「この4試合で自分たちは学ぶことができた」。F1優勝経験のある名古屋オーシャンズ、シュライカー大阪、そして浦安。試合巧者との戦いを経て、勝負は40分で決まることを叩き込まれた。

「リーグ戦なのでポジティブにやり続けないといけないし、本当に成長できるチャンスだと思う」と稲葉。古巣戦で味わった悔しさをバネに、次節のホーム・フウガドールすみだ戦での今季初勝利を誓う。

「長野の皆さんは本当に勝利を期待してくれているし、ホームですごい雰囲気を作ってくれる。『良い勝負ができた』だけじゃなくて、結果で恩返しがしたい」

29日に行われる次節のホームゲームは「信州アリーナスポーツ応援企画」を実施。JR長野駅-ホワイトリング間のシャトルバスも運行するなど、集客に力を入れながら今季初勝利を目指す。

ボアルース長野のほか信州ブレイブウォリアーズ、VC長野トライデンツ、ルートインホテルズ信州ブリリアントアリーズ、長野ガロンズのグッズ(タオルマフラー/歴代ユニフォーム/Tシャツ)の着用者は2階自由席が500円(本来の当日価格は2,000円)に割引される。


6月29日(日)Fリーグ第5節vsフウガドールすみだ 試合情報
https://boaluz-nagano.com/news/topics
チーム公式サイト
https://boaluz-nagano.com/
Fリーグ チーム紹介ページ
https://www.fleague.jp/club/nagano/

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