初勝利を呼んだ“新10番”菊池まりあ 攻守に魅せるエンターテイナーの心意気

10番らしい堂々たる振る舞いだった。2025年8月24日のWEリーグ第3節、AC長野パルセイロ・レディースはRB大宮アルディージャWOMENに3-2と競り勝った。加入4年目の菊池まりあはトップ下からハイプレスを牽引し、チーム3点目も奪取。攻守ともに充実したプレーでチームを牽引している。

文:田中 紘夢

オレンジダービーで見せた輝き
チームを初勝利に導くゴラッソ

「今はめっちゃ楽しい。だから結果を残さないと…」

新たに10番を背負う菊池まりあは、充実感とともに貪欲さを深めていた。

チームは開幕から2試合で1分1敗。いずれも無得点に終わり、決定機も少なかった。菊池は3戦目を“分水嶺”と捉え、覚悟をプレーで示す。

RB大宮アルディージャWOMENとのアウェイゲーム。トップ下に入った菊池は、1トップの川船暁海とともにハイプレスを先導する。長野らしいアグレッシブな守備から勢いに乗った。

16分に川船、17分にMF稲村雪乃と連続得点。36分に1点を返されたものの、再び突き放したのは10番の一撃だ。

42分、左スローインから川船がボールをキープ。中央で待ち構えた菊池がパスを受けると、相手を背負った状態からダブルタッチでシュートコースを作る。得意の右足でゴール右隅に叩き込んだ。

「みんなには『シュートを打つことを考えてたでしょ?』と言われたけど、そういうシチュエーションになっただけだった」

技術と即興性が重なった今季初ゴールは、初勝利を呼び込む値千金の一撃。チームはその後に1失点を喫したものの、3-2と逃げ切ってオレンジダービーを制した。

10番ポジションで攻守に奔走
高校以来となる腕章も巻く

「パルセイロを引っ張っていきたい」

加入4年目の菊池は今季、慣れ親しんだ14番から10番に着替えた。

昨季限りで退団したタイ代表FWタニガーン・デーンダーから引き継ぐ形。自ら立候補した上で、最終的には廣瀬龍監督から選ばれたという。

立ち位置もこれまで主戦場としてきたボランチからトップ下へ。いわゆる“10番ポジション”である。

昨季までは伊藤めぐみ(現サンフレッチェ広島レジーナ)が担っていたポジション。前任者が攻守の絶対的司令塔となれば、菊池にかかる重責も大きい。憧れるフレンキー・デ・ヨング(バルセロナ)のようにゲームメイクしつつ、守備ではファーストディフェンダーの役割も求められる。

「点を取るだけじゃなくて、点を取るための守備もスタンダードにしないといけない」

大宮戦は言葉どおりハイプレスの先陣を切り、守備から流れを手繰り寄せた。勢いのままに2点を先取すると、自らもゴールを決めて前半だけで3発。開幕から2試合の無得点が嘘かのようなゴールラッシュだ。

「取るべき選手が仕事をしてくれた。うちはあの3人が点を取らないといけない」

スコアラーとなった菊池、川船、稲村に対し、廣瀬龍監督は戦前から奮起を促していた。キャプテン、あるいは副キャプテンの役職を託された3人が、期待に応える活躍ぶりを見せた。

副キャプテンの菊池は終盤、交代した稲村からキャプテンマークを引き継いだ。3試合連続のフル出場で今季初勝利に貢献。神村学園高(鹿児島)以来となる腕章を巻き、身が引き締まる思いもあったようだ。

「(副キャプテンの)アキ(川船暁海)はそういう役割かと言われると違うし、(選手会長の橋谷)優里さんも交代していなかった。チームを鼓舞しないといけない気持ちは強かった」

華麗さと泥くささのブレンド
楽しませるエンターテイナーに

「今はトップ下をやっているのがすごく楽しいし、自信も出てきた。その自信がボールを失わないところにも繋がっていると思う」

第2節のマイナビ仙台戦は、ドリブルで2人を抜いて決定機を演出。続く前節の大宮戦は鮮やかなダブルタッチからゴールを決めた。練習からマンツーマン気味のゲームも多い中で、相手に囲まれても失わないスキルを披露している。

10番らしさをのぞかせる22歳は、「もっと見ている人が面白いサッカーをしたい」と言うように、観客を魅了することを忘れない。それは必ずしも華麗なプレーではなく、泥くささも含まれている。

「試合を通して最後まで諦めないとか、戦う姿勢でチームを鼓舞していきたい。そこに数字がついてきたらラッキーというくらいの気持ち」

チームは開幕から3試合を終え、1勝1分1敗のイーブン。アウェイ2連戦を無敗で乗り切り、今週末は開幕戦以来の長野Uスタジアムに帰る。昨季はシーズンダブルを決めたセレッソ大阪ヤンマーレディースに対し、ホーム初勝利を飾れるか。

「次の試合が本当に大事。その次には(日テレ・東京ヴェルディ)ベレーザが待っているので、みんなが自信を持って挑めるように、良い内容と良い結果で終わりたい」

2節後には昨季王者・東京NBとのアウェイゲームを控えている。そこに弾みをつけるためにも、次節は重要な一戦。長野らしいアグレッシブさで魅せて勝ちたい。


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