どうするパルセイロ 男女ともリーグ最少得点、サポーターの心温めるゴールを

オレンジの炎に勢いがない。J3リーグを戦うAC長野パルセイロと、WEリーグを戦うAC長野パルセイロ・レディースは、ともにリーグ最少得点。前者に至っては、屈辱のシュート0本に終わる試合もあった。ここから寒さの厳しい冬を迎えるが、サポーターの心を温めるゴールは見られるか。

文:田中 紘夢

シュート0本から続く“余波”
「ボールを持たせれば怖くない」

「もう屈辱的ですよね。そこは重く受け止めています」

シュート0本で敗れたJ3リーグ第32節の奈良クラブ戦。AC長野パルセイロの藤本主税監督は、沈痛な面持ちで試合を総括した。

内容に目を向けても、一向に得点の匂いがしなかった。

前半は奈良のパスワークに翻弄され、押し込まれる中で失点。後半は一転してボールを保持したが、4-4-2のミドルブロックを前にサイドからは攻められても、危険な中央のエリアに入り込めない。最後は5-4-1でサイドのスペースも消され、なす術がなかった。

その“余波”は今も続いている。

続く第33節は、残留を争う最下位・アスルクラロ沼津との直接対決。「ボールホルダーが意外とフリーな状況があった」と藤本監督が言うように、沼津はさほどプレッシャーに来なかった。

最終ラインの背後を狙いとしていたAC長野だが、想像以上にボールが保持できたことから足元にシフト。しかし、それが裏目に出た。

開始6分に自陣でのパスミスから失点し、その後もボールロストが散見される。後半になんとか逆転まで持ち込んだものの、大一番で冷や汗をかいた。

そして前節の高知ユナイテッドSC戦も、相手の網にかかった。0-1で後半を迎えると、高知の5-4-1のミドルブロックに苦戦。ボールは保持できてもフィニッシュに至らず、最後までネットを揺らせなかった。

高知の白石尚久監督はこの試合に向けて、「ミドルブロックを徹底して落とし込んできた」と明かす。その上でMF安藤一哉の左足インスイングクロスに警戒を寄せ、メインターゲットとなるファーサイドに人数を増やしてきた。

ボールを持たされたあげく、十八番である安藤のクロスも消されたAC長野。ボール保持率は今季最多の63.2%を記録したが、相手からすれば「持たせておけば怖くない」という認識があったはずだ。

“安藤頼み”の攻撃から脱却へ
2シャドー変更で好転の兆しも

この3試合に限らず、今季はなかなか攻撃の形を見出せていない。

開幕当初はサイドでのローテーションや背後へのアクションが頻繁に見られたが、それも徐々に衰退。アンカーシステムの3-1-5-1から3-4-2-1に変更し、攻守のバランスは保てるようになったが、システムの型にハマってしまいがちだ。

「結局はカズ(安藤一哉)頼みになっているし、カズも全部が全部100%で仕事できるわけではない。背後を取りに行くことがなくなって、チームの良さが消えていると思う」

ボランチの長谷川雄志が言うように、人の動きが少なく、ボールだけが動くようなイメージ。右ウイングバックの安藤にボールを預け、左足でのドリブルとクロスに頼るしかない。

ただ、直近2試合は好転の兆しも見られた。

2シャドーにアジリティのある近藤貴司と小西陽向を起用。2人が常に最終ラインの背後を狙いつつ、ボールサイドに関わり続けることで、動きの量は増えた。1トップの進昂平も含めて「繋がりだったり関係性には手応えがある」と近藤は言う。

選手間の繋がりが見え始めた中で、それをどうゴールに繋げていくか。第34節終了時点で得点数は29(1試合平均0.85)と、リーグ最少かつクラブワーストのペース。残留争いの渦中にあることを踏まえても、目に見える数字だけが求められる。

男女ともにリーグ最少得点
年末に向けて歓喜のゴールを

トップチームだけでなく、レディースチームもリーグ最少得点に陥っている。

クラブワーストの6連敗。この間、ネットを揺らしたのは1回のみだ。こちらもFW川船暁海、MF稲村雪乃、MF菊池まりあといった前線の個人頼みで、チームとして攻撃の形を見い出せていない。エースの川船はゴールから遠ざかる中で、厳しい言葉を並べた。

「いつも練習でやっているクロスの形とか、チームとしてやりたい狙いがある中で、それがビルドアップから作り出せていないところはある。形に持っていかないと一生点は取れないと思うし、相手のミスからとかじゃなくて、自分たちで崩して点を取れるようにしたい」

12月20日の年内ホーム最終戦では、1万人プロジェクトを実施予定。観客に楽しんでもらうためにはゴールが必要だ。それはリーグが佳境を迎えるトップチームも同様。ゲームキャプテンの大野佑哉はこう力を込める。

「点を多く入れたほうが勝つスポーツで、最少得点というのは残念。チームとして点を取ることにこだわりたいし、サポーターをもっと喜ばせるためにゴールシーンを見せたい」


クラブ公式サイト
https://parceiro.co.jp/
長野県フットボールマガジン Nマガ
https://www6.targma.jp/n-maga/

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