松本開催の一戦で待望の今季初勝利 ボアルースはどこへ行っても“泥くさく”

信州スカイパーク体育館に集った942人の観衆を、熱狂の渦に巻き込んだ。F1リーグのボアルース長野は2026年9月6日、松本市でシュライカー大阪との第11節に臨み、3-1で勝利した。ファン層拡大を狙い、活動拠点を置く北信地域以外で初開催した有観客試合。記念すべき一戦で待望の今季初勝利をつかんだ。どこへ行っても群れになって、泥くさく戦う――。そんなボアルースらしさを体現した一戦を、選手、監督の声とともに振り返る。
文:田中 紘夢
KINGDOM パートナー
強行出場の松永翔が好守連発
指揮官も守護神も賛辞を贈る
決して簡単な試合ではなかった。シュート数はボアルースの14本に対し、シュライカー大阪が29本。2倍以上の打撃を浴びながらも、今季最少の1失点で堪えた。

「(相手のシュートが)ポストとかバーに当たるシーンもたくさんあったけれど、それは体を投げ出しているから」と山蔦一弘監督。終盤は大阪にパワープレー(GKをフィールドプレーヤーに代えての全員攻撃)からポストとバーを叩かれたが、いずれもチーム最年長の松永翔がスライディングで圧をかけていた。
松永は6月28日の第5節、エスポラーダ北海道戦で負傷。左膝内側側副靱帯損傷と診断され、5試合を欠場した。今節を前にした1カ月の中断期間で練習に復帰したものの、別の箇所を痛めて再離脱。それでも大阪戦直前にピッチに戻り、この日も強行出場した。

「コンディションもフットサル勘も難しいところはあった」と松永。山蔦監督も「ちょっと無理を言った」と吐露したが、それほど彼の力が必要だった。
15分には大阪のセットプレーから強烈なボレーに見舞われるも、ゴールカバーに入った松永が胸でクリア。こぼれ球に対しても体を投げ出し、シュートコースをふさいだ。

24分には自陣で五分五分のボールを奪ってから、1人でカウンターを完結。GKをかわして放ったシュートは、惜しくも外側のサイドネットを揺らしたが、長期離脱からの復帰戦とは思えないプレーを随所で見せた。
本人は「パフォーマンスには全然納得していない」と謙遜したが、指揮官からすれば「試合に出たらあれだけのものを出してくれる。すごく信頼できる選手だと改めて感じた」。最後方に控えるGK西滉太も「翔さんは無理が効く。任せるところは任せて、自分の仕事に専念できた」と頼もしさを口にした。
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職人ぶりを披露したGK西滉太
Fリーグ週間ベスト5に選出
復帰戦で殊勲の活躍を見せた松永は、「周りに助けられる部分もたくさんあった」と振り返る。その筆頭と言えるのは、好セーブを連発したGK西だろう。
しながわシティ(F1)から期限付き移籍で加入。第6節のペスカドーラ町田戦から正守護神の座をつかんだが、前節までの5試合で28失点と苦杯をなめてきた。それだけに1失点に抑えての勝利は大きな価値がある。

「点を取れても勝てない試合が続いて、GKとして責任を感じていた。移籍してきてから結果が出なくて、本当に苦しい数カ月だったけれど、練習から伝えることは伝えてきたつもり。中断期間も良い守備ができるようにやってきた中で、1失点という形になったと思う」
この日は29本ものシュートを浴びる中で、「止め方どうこうよりも来たボールを弾き返すこと」を意識していたという。目の前にボールをこぼさず、遠くに弾くことで相手の2次攻撃を抑制。味方からしても「この距離なら打たせても問題ない」と安心感が生まれた。

最後方からの攻撃参加も効果的だった。10分の2点目は、フィールドプレーヤー最後方の外林綾吾とともに自陣で数的優位を作って前進した形。敵陣にも進入してナチュラルなパワープレーで攻撃を彩った。
とはいえ果敢な攻撃参加は、必ずしも西のスタイルではない。しながわと立川アスレティックFC時代の恩師である比嘉リカルド監督からは、「GKは守るポジションだ」と教えを受けてきた。
「(攻撃参加は)苦手かと言われたらそうではない。ただ、しながわのときは黒本ギレルメ選手と上原拓也選手がいたり、長野にも橋野司くんがいたり…。足元のスペシャリストがいる中で、僕がそれをやるメリットはあるのかと考えていた」

あくまでも守備が仕事で、攻撃は味方に「お願いします」とパスを添える程度。橋野のようにシュートを打ったり、リスクを冒して敵陣に進入したりはしないが、的確なサポートがゴールに繋がった。
シュートを弾き返すことも含め、「簡単なプレーを丁寧にやる」職人ぶりを披露。チームに今季初勝利をもたらし、Fリーグ週間ベスト5にも選ばれた。
松本開催で地元出身選手も躍動
信州全土をフットサルの虜に
西や松永が体を張って1失点に抑えれば、リーグ2番目に失点の少ない大阪に対して3得点。攻守の歯車が噛み合った。
“実質2ゴール”を奪ったのは、長野市出身の中村亮太だ。10分のシュートは相手に当たって入ったかと思いきや、味方に当たったため外林の得点に訂正。それでも17分に文句なしのゴールを決めた。

J3松本山雅FCの育成組織(U-18)で育った中村は、松本開催のこの一戦を心待ちにしていた。試合の冠スポンサーを務めるマナテック(長野市)は、自身の勤め先でもある。古巣クラブのサポーターや職場の同僚が見守る前で、主役の座を射止めた。
「自分の気持ちも上がっていたし、良い雰囲気の中で試合ができた。チームとしても絶対に負けてはいけない試合だったので、勝ちきれて本当に良かった」

信州スカイパーク体育館に集った観衆は942人。いつもと異なる会場で、いつもと変わらぬ熱い声援が鳴り響いた。
チーム最古参の松永は、「長野市からも見慣れた方がたくさん来てくれた。結果が出ていない中でも足を運んでくれて感謝しかない」とサポーターに思いを寄せる。初めて観戦に訪れたファンに向けても、「フットサルは楽しいスポーツなので、1人でも多くの人に見てもらえたら」と声を弾ませた。

次節は9月13日。2週連続のホームゲームで、慣れ親しんだことぶきアリーナ千曲へ。柄沢健・前監督体制から変わらぬ「群れになって泥くさく戦う」姿勢で、引き続き心揺さぶる試合を届けるつもりだ。
クラブ公式サイト
https://boaluz-nagano.com/
Fリーグ チーム紹介ページ
https://www.fleague.jp/club/nagano/





















