2日間延べ11,063人 “全力黄炎”に包まれたホーム最終節で躍動の2連勝

連日5,000人超のホワイトリングは、黄色の絶対空間に一変した。2025年4月12-13日。信州ブレイブウォリアーズはレギュラーシーズン(RS)ホーム最終節で青森ワッツに連勝し、東地区2位に浮上した。黄色のTシャツに身を包んだブースターに後押しされ、ペリン・ビュフォードを筆頭に全員が躍動。同3位富山グラウジーズとのゲーム差はゼロ。プレーオフ(PO)ホーム開催の条件となる東地区2位争いは、最終局面まで続く。
文:芋川 史貴/編集:大枝 令
シーズンMVPはビュフォード
母とファンに感謝を示す躍動
まさに圧巻の雰囲気だった。
試合前のウォーミングアップから大きな歓声に包まれるホワイトリング。完全に――ではないものの、フルハウスならではの異質な空間へと変貌を遂げていた。

その中でもひときわ存在感を放っていたのは、”P”の愛称で親しまれるペリン・ビュフォード。試合前には早くからコートに姿を現し、歌を口ずさみながら入念にシュートタッチを確かめる。
パス→シュートのアップでは、ダンクコンテストのようなすさまじいダンクを次々と披露。会場からも大きな歓声が上がった。

試合でも大活躍だった。
GAME1は35分02秒の出場で23得点、12リバウンド、3アシスト。GAME2は33分45秒の出場で25得点、12リバウンド、8アシスト、3スティールを記録した。
特にGAME1はターンオーバーが0と安定したプレー。拮抗した試合展開の中でもチームに勢いを与える立役者にもなった。

GAME1のヒーローアワードに選ばれ、インタビューではうれしそうな表情を見せながら語った。
「皆さんの応援は自分やチームに良い影響を与えてくれている。今日は自分のお母さんが来てくれていて、ルーキーシーズン以来の観戦だったので頑張るモチベーションになった」

ブースターたちへの“ミッション”も、ジョーク交じりに呼びかけた。
「まだまだ空席もある。明日(13日の第2戦)はみんなの兄弟や犬とか猫とか連れて来れるものを全部連れてきて会場を埋めてほしい」
ちなみにペットを連れての観戦はできない。
GAME2もスタッツ以上に、豪快なダンクや華麗なアシストを連発。チームの連勝に大きく貢献した。試合後に開催されたMVPアワードではシーズンMVPにも選出され、会場からは大きな拍手が沸き起こった。

「うれしく思っている。自分のハードワークや努力が報われた表彰だと思うし、周りにいる頼もしい選手たちのおかげでもあると思う」
チーム全体で示したボールへの執着
全員が役割果たし羽ばたくフェーズ
もちろん“P”だけでなく、ブースターも含めた全員で勝ち取った2連勝。同一カードへの連勝は2月17-18日の山形ワイヴァンズ戦以来となる。
振り返ると今季のオフにはビュフォードをはじめ、テレンス・ウッドベリーや渡邉飛勇、アキ・チェンバースら多くのタレントを持つ選手が加入した。

しかしふたを開けると、あっさり負けてしまうこともあった。後半戦では同一カードの連勝がつかめずに勝ち星を伸ばせず。その中でも選手たちは日々成長に焦点を当てて、試行錯誤をしながらシーズンを歩んできた。
そしてこの重要な局面で、勝久マイケル・ヘッドコーチ(HC)のスタイルがコートで体現できるようになってきた。ディフェンスを中心にチームとして我慢し、プレータイムに関係なく自身の仕事を全うする。

その成長について、石川海斗も充実感をにじませる。
「(GAME1)最後の三ツ井(利也)のルーズボールや僕の最初のスティールからのルーズボールは、他の選手たちに火をつけるプレーだと思っている」
「そういったプレーが多くなればなるほどチームは我慢できると思うし、今は悪かったときにハドルを組むことも多くなっているのでそこはチームとして良くなってきている」

スタッツを見ても、チームとしてのファイトが浮き彫りになる。GAME2のスタッツを青森と比べてみると、オフェンスリバウンドでは12対9、セカンドチャンスポイントは19対5と大きくリードした。
勝久HCがチームに促す「ボールへの執着心」が全面的に見える試合だった。

ベンチメンバーもコートに入るとすぐに役割を果たす。32-32で迎えた第2クォーター(Q)、残り4分08秒の場面では、交代した小玉大智が1本目のアテンプトから3ポイントシュート。その後の2分47秒も3ポイントシュートを沈めて流れを渡さない。
それぞれが活躍し、ベンチポイントは36得点を記録。オフェンスでもディフェンスでもチームの頑張りが見られた。

勝久HCも、チームの成長に目を細める。
「ディフェンス面ではコミュニケーションを取って助け合おうということだったり、オフェンス面では昨日よりもピック・アンド・ロールの正しい読みからチームで崩す部分も増えていたと思う」
「試合に出るメンバーがそれぞれ貢献してくれた。(POも)こうやってプレーしないといけない。メインでクリエイトする選手はいるけれど、チーム全員でステップアップしていかなきゃいけない」

自力のPOホーム開催まであと2勝
A千葉を倒して“復路切符”をつかめ
今節を終えて信州は37勝21敗。順位を争う富山とのゲーム差を「1」から「0」に縮め、タイブレーク(直接対決の勝敗数)を信州が握っているため、東地区2位に浮上した。
レギュラーシーズンは残り2試合となり、プレーオフのホーム開催権を持つ東地区2位争いは最後までもつれた。東地区2位を確定するための信州と富山の勝利数は以下の図の通りとなる。
信州(↓)/富山(→) | 2勝0敗 | 1勝1敗 | 0勝2敗 |
2勝0敗 | 39勝21敗-39勝21敗 タイブレークで信州2位 | 39勝21敗-38勝22敗 信州が2位 | 39勝21敗-37勝23敗 信州が2位 |
1勝1敗 | 38勝22敗-39勝21敗 富山が2位 | 38勝22敗-38勝22敗 タイブレークで信州2位 | 38勝22敗-37勝23敗 信州が2位 |
0勝2敗 | 37勝23敗-39勝21敗 富山が2位 | 37勝23敗-38勝22敗 富山が2位 | 37勝23敗-37勝23敗 タイブレークで信州2位 |
自力でのホーム開催には強豪・アルティーリ千葉に2勝することが必須となる。しかも信州は今季いまだどのチームも崩せていない漆黒の牙城・千葉ポートアリーナでの対戦。一方富山はホーム開催で福井ブローウィンズを迎える。

19日のGAME1は、A千葉-信州が15:00から、富山-福井は17:35からの開始。GAME2は富山-福井が13:05から、A千葉-信州が15:00からの試合開始となる。
当日の各チームが他会場の状況を確認するかは分からないが、そこも含めて信州はこれまで課題としていたメンタル面をどう乗り越えていくかにも注目だ。

GAME2の後にはブースター感謝祭が開かれ、栗原ルイスが力強く語った。
「僕たちはここまでずっと必死にもがいて、ときにはうまくいかないこともたくさんあって、負ける試合も結構あった。僕が思うにはPOで一番良いバスケができるチームが優勝すると思っている」
「そのためには皆さんの応援が必要なので、引き続き応援よろしくお願いします」

POのホーム開催が懸かり、そしてPOに向けて弾みをつけるレギュラーシーズン最終節。いまだ誰も崩せていない千葉ポートアリーナで勝利をつかみ、菜の花のような黄色い喜びを咲かせたい。
クラブ公式サイト
https://www.b-warriors.net/
りそなグループB.LEAGUE 2024-25ポストシーズン特設サイト
https://www.bleague.jp/postseason/2024-25/