「理想形は上田綺世」 関西学生1部の“ゴールハンター”FW藤枝康佑が松本山雅へ

有望株のストライカーが、J3リーグ松本山雅FCでプロのキャリアをスタートさせる。関西大学リーグ1部で得点ランキング1位を独走する、FW藤枝康佑(桃山学院大4年)だ。練習参加なしでオファーを受け、「期待に応えたい」と即答して異例のスピード決着。2025年7月11日、来シーズンの加入内定とJFA ・Jリーグ特別指定選手の承認が発表された。すでにチームには合流しており、後期リーグが始まる9月中旬まではチームに帯同する見込み。期待の21歳を直撃した。
文:大枝 令
KINGDOM パートナー
一番乗りの熱烈オファーに即決
「期待に応えたい」と意欲十分
――おそらくはいろんな選択肢があったはずです。その中で、一番最初に声をかけてくれたのが山雅だったのでしょうか?
自分が監督からオファーを聞いたのは(松本山雅が)一番最初です。
――他のクラブを見てみる選択肢もあったと思いますが、即決したのはどんな理由ですか?
自分を必要としてくれました。大学に都丸(善隆SD)さんと(スカウトの)江原(俊行)さんが来てくださった時に、「即戦力で活躍してほしい」という話を直接聞いて、自分も期待に応えたいと思って即決しました。
――松本の印象はどうですか?
練習参加なしで決まったので、その中ですごくよくしてくれているというか、アドバイスとかをもらえるので、すごく成長できるなという環境でやらせてもらっています。

――練習参加してみてレベル感はどうですか?
プレースピードやパススピードが速くて、前からのプレスであればパススピードではがされることが結構あります。
大学のスピードのイメージでやってしまったらプレッシャーにもなっていないことと、ゴール前ではしっかり身体を張って守ってくるので、そこはもう少し自分の質を上げていかないといけないと思います。
――もともと、松本山雅の印象などはありましたか?
すごく応援が、サポーターがめちゃくちゃ熱いイメージです。
KINGDOM パートナー
打てて収まるタイプのスコアラー
関西学生リーグ1部で11試合10得点
――プレーヤーとしての持ち味はどんなところですか?
まずはペナルティーエリア内でのシュート。クロスの入り方だったり合わせるところも一番の強みとしています。あとはチャンスメイクで言うと、前での起点になれるようなポストプレーは持ち味としています。
自分で打開するというタイプよりは、ポストプレーで簡単にはたいて、自分は中に入ってまたもらうイメージの方が多いです。周りをうまく使いながら最後に自分で仕留めるというのが一番いいイメージかなと思います。
――クロスの入り方で大事にしていることはありますか?
入りすぎないというところで、ニアに入るとしたら入りすぎてシュートコースがなくなったり。相手の前にずっといるのではなくて、相手の視界から一回消えてもう一回入っていくところは意識してやっています。
ファーのところはプルアウェイで相手から離れて、一瞬でもらうところは意識しています。

PROFILE
藤枝 康佑(ふじえだ・こうすけ) 2003年7月30日生まれ、京都府出身。莵道SSSから中学校時代は宇治FCJrユースでプレー。高校年代は東⼭⾼(京都)に進み、3年時には全国高校選手権に出場してベスト8を経験した。桃⼭学院⼤に進んで以降は関西学生リーグ1部と2部でプレー。昨季昇格して2025年は1部リーグに所属しており、前期リーグ11試合で10得点と、2位に倍の大差をつけて得点ランキング1位となっている。ファーストタッチにこだわり、ゴール前での冷静さも光る屈強なストライカー。175cm,70kg。
――今のところは関西学生リーグ1部で得点ランキング1位(11試合10得点)ですが、どんな取り方が多いですか?
クロスからの得点だったりこぼれ球だったり。あとはロングボールで抜け出して、トラップが決まってGKと1対1というのも2本ぐらいあって、それは理想の形かなと思います。
――リーグ戦で点が取れるようになったのは今年からでしょうか?
今年は特に1部でこれだけ取れたのは今年が初めてかなと思っています。2回生のときも1部でしたが、その時は前期に4点でケガしてしまって後期は出ていませんでした。今年は特に取れている感じはあります。(2部の)去年は13点でした。
――ストライカーとして大事にしている部分はどんなところでしょうか?
自分は速いタイプではないので、一瞬の動きで外してそこでもらって、トラップが命だと思っています。「トラップを決めてすぐにシュート」というイメージでやっています。
(ファーストタッチが)決まればGKも見えて余を裕持ってシュートを打てるので、そこは意識してやっています。

――山雅の試合も見ていると思いますが、ゴール前でのチャンスが少ない中でのシチュエーションにはなっています。その中で自分の強みをどう生かしていくか、現状のイメージはありますか?
結構クロスの本数とかサイド攻撃が多いイメージがあるので、そこで入ってきた時に少ないチャンスでも自分で合わせにいく準備は常にしたいです。
自分は得点で貢献するのが一番だと思っているので、そこは意識してやっていきたいと思います。
――運動量には自信はありますか?
僕は守備もやるタイプなので、前から行くときはしっかり迫力を持って前からのプレスをかけます。それはチームでも意識してやっているので、ここでもやっていきたいと思います。

大学でフィジカル強化して手応え
即戦力として「試合に出る気持ちで」
――今までのサッカー人生の中で難しかった時期などがあれば教えてください。
大学に入った当時は2部だったので、前期は出られて点も取れました。でも総理大臣杯とかで1部のチームと対戦したときに自分は細かったので、フィジカル面で全然通用しなくて…そこで試合にも出られなくなって苦労しました。
そこで筋トレに取り組んで、身体作りをすごく意識してやるようになりました。それから2〜3回生の間はすごく体重を増やして取り組んで、それが試合やサッカーにつながるようになりました。
フィジカル面でも負けずに、それが自信になってプレーできるようになったのでそこは良かったと思います。
高校から大学のときは66kgとかでしたが、今は71kgです。下半身は(従来から)やっていたので特に上半身メインにして、背負えるようになったりとか、そういう実感ができました。

――憧れの選手はいますか?
小さい頃はクリスティアーノ・ロナウドを見てすごく格好いいなと思っていました。プレースタイル的には上田綺世(オランダ・フェイエノールト)選手が最終の理想形です。あれができたらすごくいいと思います。
――元々サッカーをやっている限りはプロを目指していたと思いますが、大学に来て夢が現実的な目標に変わったのでしょうか?
それでいうと今年結果が出て、「もしかしたらあるかもな」というのは自分の中で思って取り組んでいました。今年はもう結果を残すしかないと思っていたので、まだ終わっていないですが、前期はとりあえず残せて良かったと思います。

――ここからまたスタートラインになると思いますが、プロ選手としてどういうキャリアを描いていきたいですか?
まずはここでしっかり試合に出て活躍して、将来的にはJ1でプレーをするのを目標としてやっていきたいと思っています。山雅でJ1というのが一番。自分がしっかり活躍して昇格に貢献できるように、最終的にはJ1というのが一番理想かなと思います。
――今回は特別指定選手として当面は帯同する形になります。プロを一足早く体験できるという言い方になるのか、もうプロの意識で半年早くやっていくのか、そのあたりはどうですか?
「体験」という形ではなくて、ここに来たからには同じラインに立って自分が試合に出るという気持ちで毎日やっています。
J3リーグ第20節 奈良クラブ戦 試合情報
https://www.yamaga-fc.com/archives/498013
藤枝康佑選⼿(桃⼭学院⼤)2026 シーズン新加⼊内定 及び「JFA・Jリーグ特別指定選⼿」承認のお知らせ
https://www.yamaga-fc.com/archives/498733
クラブ公式サイト
https://www.yamaga-fc.com/