“三度目の正直”で入団した長身セッター・星名勇佑 その腕から繰り出すものは

VC長野トライデンツは2025年7月7日、セッター星名勇佑が入団することを発表した。昨季途中からVリーグ男子東地区の千葉ZELVAに加入し、10試合34セットに出場。セッターながらも180cmの長身を生かし、右腕から強烈なジャンプサーブやスパイクも繰り出す万能型の24歳だ。今回は自身から強く志願し、国内最高峰SVリーグの門をこじ開けた。その一問一答をお届けする。

取材:大枝 令

諦めずに上を目指してアピール
「諦めない」チームに惹かれる

――まずは加入の経緯を聞かせてください。

声を掛けられたというよりも、自分から「挑戦したい」と伝えさせてもらいました。

(秋田・雄物川)高校の監督の宇佐美(大輔)さんが川村監督とパナソニック時代にチームメイトでした。僕もSVリーグを目指してやっていたので、「練習参加が可能であれば」と僕の方から声掛けをさせていただきました。

それで川村監督も受け入れてくれて、練習参加させていただきました。実は(立正)大学時代にもトヨタモビリティ(東京スパークル)時代にもお願いしていてその時はダメでしたが、できるのであれば上でやりたい思いがありました。

諦めなくてよかったです。

――経歴で振り返りをお願いしたいのですが、当時V3のトヨタモビリティ東京スパークル(現TM東京スパークル)から社会人クラブチームのSUISEN、そこから千葉ZELVA(現千葉ドット)となりますが、どんな経緯での移籍だったのでしょうか?

最初はトヨタモビリティに入って1シーズンが終わった後、チームがVリーグのライセンスを辞退した段階で「いつ戻るかわからない」と言われました。内定シーズンを含めて2シーズン在籍しましたが、ちゃんとやれるならやれるところでやりたいと思っていました。

最初は上に行ければいいな…と思っていたのですが、SUISENというチームの監督からお声掛けをいただきました。「もしVに戻る機会があるならそっちに行ってもいい」と温かく言ってくれたのでSUISENに決めました。

その後、Vでやりたいのがあって千葉ZELVAに行きました。環境的にいいというのと、トヨタモビリティ時代に対戦してチームとして雰囲気がよかったんです。

「諦めないチームだ」と感じていて、そういうチームに行きたいと思っていました。シーズン途中だったのですが受け入れてくださって加入しました。

雄物川高で宇佐美大輔氏に師事
新天地でも貪欲に学び取る姿勢

――関東から秋田県の雄物川高校に進学されました。関東にも強豪校が多く、選択肢はあったと思います。

元々ずっとセッターをやっていたんですが、自分が小学校の時に(同じセッターの)宇佐美さんが全日本をちょうど辞めるタイミングでした。

その時に、周囲から「いずれ監督になるから、セッターをやるなら高校はそこに行ったほうがいい」というアドバイスをもらったんです。

ちょうど僕もテレビで見ていたときだったので、「この人に教えてもらいたい」と思って小学校から宇佐美さんの下でバレーボールをすることを決めていました。

――雄物川高校での3年間は濃かったのではないでしょうか?

めちゃくちゃ厳しかったです。自分が3年生のときは1年間休みがなくて、ずっとバレーをしていました。その1年間が一番濃かったと思います。

正直宇佐美さんがいなかったらここまで来られていないと思います。卒業しても連絡を取っていて、自分のトス動画を送って電話でアドバイスをしてくれます。感謝しかありません。

時代は違うかもしれないですが、僕の今の憧れは宇佐美さんです。小学校から見ているのもありますし、高校のときからずっと「セッターは楽をするな」と言われていて、それは試合でも心掛けています。

どんなボールでもなるべくスパイカーが楽に打てるようにしたいと常に考えてやっています。

――セッターとしての自分の持ち味やスタイルはいかがですか?

高さやサーブが自分の持ち味だと思います。サーブはジャンプサーブを大学から始めました。そこから自分なりに極めていって、少しずつ自分の形になってきたかなというのはあります。

昨季のZELVAは2セッターだったので、スパイクを打っている方が多かったんじゃないかと思うくらいです。48本打って25本決まった(決定率52.1%)けれど、(自分の)データがなかったのでたまたまだと思います(笑)。

(トスの)精度に関しては、毎日ボールに触るのが大学時代ぶりなので、ボールの感覚を戻さないといけないと思っています。これから精度を上げていって、そこを持ち味にしていきたいです。

――SVで迎えるこのシーズンはどんなシーズンにしたいですか?

今シーズン、僕に取っては初めてのSVリーグというところで、まず雰囲気に慣れなければいけないのもありますし、自分を出していかないと生き残れない世界だと思います。

ずっと気を遣ってばかりいると勝てないと思うので、自分をもう少し出せるように頑張っていって、少しでも出られる機会があれば必死に、がむしゃらに頑張ってやっていきたいと思います。

――WD名古屋に入団した早坂心之介選手も、大同特殊鋼レッドスターからVC長野に来て活躍しました。

僕はもう努力するしか選択肢がありません。

正直、今ここにきて、自分とのレベルの差を感じています。決してネガティブになっているわけではないですが、レベルの高い人たちとやっていて「今のままではダメだ」というのはすごく感じています。

どうにか自分で努力し続けて、あとは同じセッターの赤星選手や(中島)健斗から色々学んだり、外から見てもらってアドバイスをもらって、少しずつ自分の型になっていければいいと思っています。

――努力し続けるのも才能ですし、それは高校の時からずっとやってこられたのではないでしょうか。

「練習しないとダメ」というのを宇佐美さんから教えてもらってきています。

支えてもらった人、家族、ずっと諦めないで応援してくれています。宇佐美さんがいなかったらここにいないと思うので、結果で恩返しできるようにしていきたいです。


星名勇佑 2024-25 Vリーグ男子 個人成績
https://www.svleague.jp/ja/player/detail/4585

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