“3強”I神戸&浦和とのホーム2連戦 逆境を覆し、リーグを揺るがす台風の目に

今後を占う重要な2試合だ。WEリーグ開幕から7試合を終え、2勝2分3敗(勝ち点8)で12チーム中7位につけるAC長野パルセイロ・レディース。直近3試合未勝利という状況で、INAC神戸レオネッサ、三菱重工浦和レッズレディースとのホーム2連戦を迎える。“3強”の2チームに対して食らいつき、リーグの構図に一石を投じられるか――。“廣瀬パルセイロ”の真価が試される。
文:田中 紘夢
KINGDOM パートナー
エースとキャプテン不在で完敗
菊池まりあは不甲斐なさを痛感
「サポーターに対して本当に不甲斐ない試合を見せてしまった。もっと気を引き締めてやらないといけない」
前節はアウェイでノジマステラ神奈川相模原に0-3。過去未勝利の鬼門・相模原ギオンスタジアムで完敗し、MF菊池まりあは結果を重く受け止める。

36分からわずか2分間で連続失点。廣瀬龍監督は「『もう一度やろう』という声をかけたりとか、リーダー的な存在感が現れなかった」と振り返る。取られても取り返す気力を見せられず、5試合ぶりの無得点で完封負けに終わった。
主力の不在も大きく響いた。エースの川船暁海がケガ、キャプテンの稲村雪乃が体調不良でそろって欠場。攻撃の核を失って個人での局面打開を図れず、チームとしても効果的な形を見出せなかった。

「アキ(川船)や雪乃がいないのは痛かったけど、ほかの選手にもまた違った良さがある。その選手がチャンスをつかめるかは自分次第でもあるし、チームとしても良さを引き出さないといけない」
稲村に代わって腕章を巻いた副キャプテンの菊池。前後半ともに1本ずつ決定機を迎えたが、惜しくも3試合連続ゴールとはならなかった。

ここまでチームトップの3得点。「リーダーとして守備でも頑張れるし、きついときにも行動で見せてくれる」と指揮官は評する。結果だけでなく姿勢でも牽引する10番だが、現状には一切満足していない。
「もっとチームのためにできることはあるし、もっとボールを持たないと自分の良さは出ない。味方の力も借りながらボールを引き出して、勝利に繋がるチャンスメイクを継続したい」
KINGDOM パートナー
WE初挑戦の新守護神・垣内愛菜
憧れの地元チームと顔合わせへ
直近3試合は未勝利が続き、失点も10を数えた。守備の立て直しが求められる中で、GK垣内愛菜は「自分がもっと止めないといけない。流れを変えられる選手になりたい」と力を込める。
なでしこリーグ1部の朝日インテック・ラブリッジ名古屋から加わった29歳。WEリーグ初挑戦の2カ月間で、レベルの差を痛感している様子だ。

「なでしこリーグだと相手のミスに助けられる場面もたくさんあった。WEリーグはそういうミスがなかなか起こらないので、準備が一番大事だと思う。フィールドの選手と連係しながら、もっと止められるようにしたい」
ここまで7試合中6試合に出場し、セーブ数18本はリーグ5位。162cmとGKにしては小柄だが、機動力を生かしてブレイクアウェイ(最終ラインの背後のケア)にも奔走する。持ち味とする足元の技術で、ビルドアップに彩りも加えている。

次節は2位・INAC神戸レオネッサとのホームゲーム。兵庫県出身の垣内にとっては、地元チームとの顔合わせだ。下積みの成果を発揮するにはこの上ない相手と言える。
クラブのレジェンドである澤穂希らに憧れ、プロの舞台を志してきた。高嶺の花だった赤いユニフォームも、今となっては同じ土俵。特別な一戦に向けて「楽しみ」と声を弾ませる。

“3強”とのホーム2連戦へ意気込み
逆境をチャンスに変えられるか
首位のI神戸に続いて迎えるのは、3位の三菱重工浦和レッズレディース。“3強”の2チームとのホーム2連戦だ。
第5節では、3強の一角を担う日テレ・東京ヴェルディベレーザに対して1-6と大敗。それも踏まえて垣内は、 無失点に抑えることをポイントに挙げる。

「格上の相手に対しては失点しないことが一番大事。ゼロで抑えていれば、どこかで絶対にチャンスは来ると思う。全員で守り抜きたい」
チームは昨季の序盤戦でも、浦和、I神戸との連戦を迎えた。その際は0-1、2-3といずれも惜敗。タダでは終わらなかったが、負けたことに変わりはない。

就任3年目の廣瀬監督は、3強への“初勝利”に向けて雪辱を誓う。
「上位相手にも負けるのが当たり前ではない。うちはうまい選手がたくさんいるわけではないので、手を抜いている選手が一人でもいたら台無しになってしまう。相手よりも人一倍頑張らないといけない」

ハードワークを惜しまず、少ないチャンスをモノにできるか。I神戸との古巣戦に向かう菊池も、闘志を剥き出しにする。
「このタイミングで上位と戦えるのはうれしいし、逆にチャンスだと思う。『今年の長野は違う』というところを見せたいし、INACだろうが浦和だろうがホームで圧倒したい」
今季も7試合を終え、順位表のトップ3は変わらない。リーグの構図を覆すべく、初秋にオレンジの台風を巻き起こせるか。
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