再び到来する「Fの季節」 中断期間でボアルース長野が深化させた“紅き闘魂”

長くも短い中断期間が明ける。F1リーグは今週末の2025年9月27日に約1カ月ぶりの再開。ボアルース長野は週明けの29日、アウェイに乗り込んでしながわシティと対戦する。中断前に劇的勝利で最下位を脱出し、自信を得ながらスタイルを研ぎ澄ませてきた。新戦力の元ブラジル代表・ガリンシャも加わり、残留に向けてギアを上げる構えだ。
文:田中 紘夢/編集:大枝 令
KINGDOM パートナー
ガリンシャ加入による相乗効果
チームビルディングにも尽力
「中断期間は長かったようで、ガリンシャが来てからは短かったなと…」
1カ月強の中断期間を振り返り、野口茅斗は充実感を口にする。
9月3日に元ブラジル代表のガリンシャの加入が発表。翌4日にはチームに合流した。

Fリーグ通算83得点を誇るピヴォ(サッカーのFWに相当)。ゲーム形式の練習では、心強い味方として“取り合い”も行われたようだが、アラ(サイドハーフに相当)の野口もその一人だ。
「俺とガリンシャが組むのが普通になるくらい、自信を持ってやろうと思っていた。最初はまだまだだと思いながらやっていたけど、今はそれが武器になるくらいのイメージはついている。早く試合がしたい」

加入当初のガリンシャは、オフシーズンから明けたばかりで、動きに重さも見られた。そこから徐々にコンディションを上げ、戦術面でもフィット感を高めている。
「ああいうどっしりと構えるピヴォがいれば、自分の良さもより引き出せると思う」と野口。推進力が持ち味のアラにとっては、走りがいがあるだろう。

山蔦一弘監督も「味方とのコンビネーションが合ってくれば、すごく面白いものを提供してくれるんじゃないか」と期待を込める。
団結力を高めるチームビルディングも行った。
クラブの提案で大町市の青木湖に赴き、SUPを体験。テレビの企画でバーベキューも堪能した。ガリンシャ加入後も交流の場を設け、山蔦監督は「それで溶け込んでくれた感覚もあった」と笑みをこぼす。

稲葉柊斗と野口が主催する個人参加型フットサルも盛況に終え、野口は「応援してもらっていることを再確認できた」と話す。“生粋の大分人”だった新戦力も、長野の魅力に染まりつつある。
KINGDOM パートナー
中断前の“大逆転劇”で得た自信
守備を徹底して勝ち切る強さを
チームは中断前のホームゲームで、バサジィ大分に4-3と勝利。終盤のパワープレー(GKをフィールドプレーヤーに代えての全員攻撃)による3発で大逆転し、最下位を脱出した。
その勢いは中断期間に入ってもとどまらない。練習試合ではビハインドの状況で終盤を迎えると、残り5分で5点を奪い返したという。指揮官も驚きを隠せなかった様子だ。

「今は大分戦の良いイメージもあって、パワープレーに自信を持っていると思う。自分も『すごいな』と思いながら試合を見ていた」
ガリンシャの加入によって、ピヴォの競争も熾烈に。エース上林快人は「得点だけでなく味方を使うのもうまくて、見習うところは多い」と感嘆する。

第12節を終えて8ゴールは得点ランク4位タイの数字。当初は2桁得点を目標に掲げた中で、達成が間近に迫っている。「正直、自分自身も驚いている」と明かしつつ、得点以外の役割も忘れてはいない。
「自分たちは守備のチームで、自分もそこに力を入れてきた。前線でボールを奪ってゴールという形も何度かあって、守備から良い攻撃に繋がっていると思う」

ガリンシャが加わっても、スタイルの大枠は変わらない。あくまで守備から入るチームであり、「そこが疎かになったらゲームは組み立てられない」と山蔦監督は言う。
仮にビハインドを負ったとしても、ロースコアのまま粘ればパワープレーでひっくり返せる――そんな自信がみなぎっている。
2位につけるしながわと再開初戦
アウェイで中断期間の成果を示す
F1リーグは今週末の9月27日に再開。ボアルースは週明けの29日、2日遅れてアウェイでリスタートを切る。ガリンシャも登録が完了し、2年半ぶりにFリーグの舞台に足を踏み入れる。

台所事情も改善してきた。一時は登録メンバー14人の上限を下回っていたが、岩本大輝らケガ人が復帰。長期離脱中の渡辺大輔を除けば、誰もがプレーできる状態にある。

「今季は誰かが戻ってきても、また誰かが離脱して…というのが続いた。早くみんなが良いコンディションで臨めれば」と山蔦監督。残留に向けては全員の力が必要だ。
再開初戦の相手は2位のしながわシティ。前回対戦は先制しながらも2-4と逆転負けを喫した。2桁得点まで残り2ゴールに迫る上林は、個人の記録よりもチームの勝利に飢えている。

「もちろん自分が点を取れればいいけど、自分が点を取らないと勝てないチームはよくない。この中断期間でチームとして一つ、二つレベルアップしたことを示せたら」

しながわの得点源である新井裕生は幼馴染で、立川アスレティックFC時代のチームメイトでもある。現在は日本代表でも活躍する新井に対し、「ライバル視はしている」と上林。ガリンシャのお披露目に加え、エース対決にも注目だ。

クラブ公式サイト
https://boaluz-nagano.com/
Fリーグ チーム紹介ページ
https://www.fleague.jp/club/nagano/