ガリンシャ初ゴールを希望の光に “未完の大器”岩本大輝も化学反応を起こす

中断期間明けの2試合は厳しい船出となった。F1リーグ残留を争うボアルース長野は、2025年9月29日に1カ月ぶりの公式戦に臨み、アウェイでしながわシティに0-8と大敗。翌週のホームでも立川アスレティックFCに2-3と競り負けた。新戦力のガリンシャが加わった中で、いかに融合を進めるのか。ケガから3カ月ぶり復帰の岩本大輝の声も含め、終盤戦に向けて活路を探る。

文:田中 紘夢/編集:大枝 令

大敗を経てホームで見せた意地
ガリンシャに初ゴールも生まれる

「しながわ戦のような試合はホームの皆さんにお見せできないというところで、一週間取り組んできた。そこで負けてしまったのは悔しかった」

しながわ戦の前日に32歳の誕生日を迎えた米村尚也。アウェイで0-8と大敗し、自身を祝うゴールも叶わなかった中で、1カ月半ぶりのホームに帰ってきた。

立川戦はボアルースらしく強度の高い守備から入ったものの、第1ピリオドの終盤に失点。ピヴォ(サッカーのFWに相当)の湯浅拓斗に振り向きざまのシュートを決められた。

相手が得意とするピヴォ当ての形から。湯浅をマークしていた米村は、「チームとして対策をしてきた中での失点だった」と唇を噛む。

第2ピリオドもセットプレーから2失点。ピヴォを起点とした前進に加え、セットプレーでも相手に上回られた。本来であればボアルースが体現したい戦い方で、優勝を争う立川は質も量も上だった。

それでも0-3で迎えた終盤、ホームで意地を見せる。

パワープレー(GKをフィールドプレーヤーに代えての全員攻撃)開始から1分足らずで得点。米村が中央からミドルシュートを突き刺した。

立川がボックス型のブロックを敷く中で、左右に揺さぶりながら中央のシュートコースを空ける狙い。スカウティングどおりの形から、米村の32歳初ゴールが生まれる。

そして残り2秒。GK田中智基のロングスローから、ゴール前で待ち構えたガリンシャが頭で押し込む。中断期間に加わった元ブラジル代表が、ホームデビュー戦で初ゴールを決めた。

0-3から1点差まで追い上げ、タダでは終わらなかった。

ガリンシャとの融合は発展途上
米村も得意のドリブルで脅威に

「敗れはしたけど、加入2試合目のガリンシャがホームで点を取ってくれた。そこはチームにとってすごく良い材料になると思う」

米村が言うように、ガリンシャの初ゴールはチームにとって希望の光。得点シーンに限らず、たぐいまれなフィジカルと技術を随所に輝かせていた。

とはいえ、連係面では課題も少なくない。

「アラ(サッカーのサイドハーフに相当)とのコンビネーションは重要。練習からコミュニケーションを取って高めていきたい」とガリンシャ。最前線で起点を作った際に、推進力のある稲葉柊斗と野口茅斗をどう生かすか。加入から2試合は思うようにチャンスを作れていない。

セカンドセットはその3人に限らず、フィクソ(サッカーのセンターバックに相当)の米村もゴールをうかがっている。

「ガリンシャからは『アラの位置でボールを持ってほしい』とも言われている。そこで1対1のところで脅威になって、関係性を作りたいと。そういうふうに要求してもらえるのはうれしいし、自分もより上がっていかないといけない」

一昨季のF2リーグで10ゴールを決めた米村。ガリンシャが前線でボールを収めることで米村がより高い位置を取り、ドリブルで仕掛ける機会も増えてくる。

ファーストセットに目を向けると、ピヴォが本職の上林快人と中村亮太が共存。ガリンシャの加入によって、それぞれの役回りも変わってきた。

強力な助っ人といかに融合し、リーグ2番目に少ない得点を増やせるか。ここから再び4週間の中断期間を迎え、ブラッシュアップを図る構えだ。

3カ月ぶり実戦復帰の岩本大輝
“未完の大器”が変化をもたらす

希望の光はガリンシャだけではない。

立川戦では岩本大輝がケガから3カ月ぶりに復帰。短いプレータイムながら、第2ピリオドに2本の決定機を演出するなど、古巣相手に存在感を放った。

オフシーズンに補強の目玉として加わった岩本だが、序盤戦で負ったケガが長引いた。中断期間明けのしながわ戦で復帰予定だったが、体調不良で欠場。不運が重なった中で、くしくも古巣戦が復帰戦となった。

「3カ月ぶりの試合だったので、何かしらやってやろうという気持ちでプレーしていた。アスレ(立川)のサポーターもずっと親身になって応援してくれていたので、『成長したな』と思ってもらいたくて必死だった」

“立川の秘密兵器”とも称された25歳。切れ味鋭いドリブルで局面を打開し、得意の左足でゴールを脅かした。ホームデビューのガリンシャに注目が集まる中で、「助っ人は俺だ」と言わんばかりにコートを駆け抜けた。

「シュートも打てたし、チャンスは作れていたので、最低限はできたのかなという思いはある。ここからまた中断期間に入るので、監督の信頼を取り戻してプレータイムを伸ばせたら」

昨季までのチームメイトを前に、「離れてみて感じたこともある」と岩本。上位との差を痛感した様子だ。

「アスレの試合も毎回見ているけど、すごくうまいなと感じる。ピヴォ当ての精度も高いし、2人組の連係もスムーズだし…。うちももっとそういうところを上げないと、この先も厳しい戦いが続くと思う」

ガリンシャと岩本。2人のレフティーとともに化学反応を起こし、攻撃のバリエーションを広げられるか。残り8試合、総力を結集して残留へと突き進む。


クラブ公式サイト
https://boaluz-nagano.com/
Fリーグ チーム紹介ページ
https://www.fleague.jp/club/nagano/

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