目下3勝2分1敗。“紅き威光”放つ最終節へ 引退表明のベテラン2人に花道を

“紅き閃光”の勢いが止まらない。フットサル最高峰のF1リーグを戦うボアルース長野は、直近6試合で3勝2分1敗と好調を維持。レギュラーシーズン最終節を残して12チーム中9位で、目標の残留に近づいている。2025年12月28日にホームで最終節を控える中、12月24日にはGK岡島工と渡辺大輔が現役引退を発表した。ベテラン2人の花道を飾るためにも、今季の集大成をぶつけたいところだ。

文:田中 紘夢/編集:大枝 令

3人、また3人と相次ぐ欠場も
「今は誰が出ても問題ない」

「誰かしらいないほうがいいんじゃないか、と思うくらい…」

稲葉柊斗の笑い話にもうなずけるほど、今は誰が欠けても崩れない力がある。

前々節のホーム・ペスカドーラ町田戦。三笠貴史、上林快人、野口茅斗の3人を体調不良で欠く中、上位相手に立ち上がりで3点を先取した。最後は3-3と追いつかれたものの、貴重な勝ち点1を積み上げた。

「みんなが戻ってきた時にも同じものを出せれば、もっと良い戦いができるんじゃないか」

松永翔はそう期待を膨らませたが、続くフウガドールすみだ戦でもアクシデントに襲われる。

ガリンシャと松永が町田戦で負傷し、GK橋野司も体調不良で離脱。またも主力3人を欠く事態となった。中4日のアウェイというタフな日程でのゲームも強いられたが、ここでも総力を発揮する。

試合は7分に先制を許したものの、わずか25秒後に同点。今野遼介の落としを受けた米村尚也が、鮮やかなループシュートを決めた。

前々節の上林に続いて、前節はガリンシャ。エース格が不在の中、24歳の今野遼介が2試合連続で出場すると、ピヴォ(サッカーのFWに相当)としてゴールの起点となった。

守備ではGK岡島工が好守を連発。正守護神の橋野に代わって今季初先発となったが、「必ずどこかで出番が来ると思って準備していた」。

チームは30分に稲葉のゴールで逆転に成功。その後はすみだのフィールドプレーヤーがGKユニフォームに着替え、全員攻撃のパワープレーに出てきたが、岡島のセーブもあって2-1と逃げ切った。

「主力がいないことで『やってやろう』という気持ちになるし、若手はそういう勢いのある選手も多い」と岡島が言えば、山蔦監督も「今は誰が出ても問題ない。ピッチに立ったときには全員が責任を持ってプレーしてくれる」。

主力不在を感じる場面がなかったわけではないが、それ以上にパワーに変えられた。

3季ぶりF1でサプライズの奮闘
ボアルースらしい泥くささがカギ

直近6試合で3勝2分1敗。3シーズンぶりのF1において、12チーム中9位と奮闘している。前回のF1在籍時は4年連続の最下位だったことを踏まえても、リーグにサプライズをもたらす途中経過だ。

「F2での2年間も、F1に戻って戦うためにやってきた。なかなか簡単に勝たせてくれるリーグではないけれど、自分たちがやるべきことをやれば勝てるというのは、若い選手も少しずつ分かってきていると思う」

岡島が言うように、F2時代からの積み上げが確かな力になってきた。

前節のすみだ戦では軽率な1失点はあったものの、ボアルースらしく泥くさい守備を披露。とりわけアラの中村亮太と石川昇永の献身性には、最後方に構える岡島も目を見張った。

圧巻だったのは33分。すみだにカウンターから数的優位を作られ、中央突破を許す。GK岡島のチャレンジもパスでいなされる。ゴール前でフリーでのシュートを許したが、米村が間一髪でカバーした。

「ほかの選手がはがされたら自分が入るのは、フィクソ(サッカーのセンターバックに相当)としての仕事の一つ。そこはもう片方のセットのセミ(三笠)も長けているし、『かわされても自分たちがいるよ』と支えないといけない」

前々節の町田戦でも、米村のチームを救うシュートブロックは再三見られた。若手の石川からベテランの米村まで、全員で身体を張れるのがボアルースの強み。山蔦監督も「チームとしてハードワークが浸透している」と自信をのぞかせる。

“名脇役”岡島が現役引退を表明
ホームでの最終節で王者撃破へ

前半戦を12チーム中最下位で折り返したが、後半戦は1試合を残して9位。残留に向けて視界が徐々に開けている。

F1リーグは年内にレギュラーシーズンを終え、2月からファイナルシーズンを迎える。レギュラーシーズンの勝ち点を持ち越し、上位リーグと下位リーグに分かれて全5節の“最終決戦”へ。長野はすでに下位リーグ進出が決まっている。

ホームでのレギュラーシーズン最終節を残す中、12月24日にはGK岡島と渡辺大輔が現役引退を発表した。

このうち在籍5年目の33歳・岡島は今季、正守護神である橋野の活躍をベンチから支えてきた。先発こそ前節の1試合のみだが、米村や山蔦監督がMVPに推すほどの活躍ぶり。実際にFリーグ週間MVPにも選ばれた。

「ベテランとしてチームをサポートしながら、自分が出るための準備も欠かさずにやってきた。それがこうして実ったのはよかった」と岡島。ホームでの“ラストダンス”に向けて、クラブへの思いも打ち明ける。

「苦しい時代から長野を応援してくれる人がいる中で、今は1,000人を超えるのも珍しくなくなってきた。特にホームゲームではいろんな支えが感じられるし、ここまで背中を押してくれた人たちを最後に喜ばせたい」

「自分も引退することは決めたけど、今までと変わらずクラブのためにやれることは全部やる。必ず残留という目標を成し遂げたいし、最終節でも熱い戦いを見せたい」

ことぶきアリーナ千曲に迎えるのは、昨季王者のバルドラール浦安。相手に不足はなく、古巣対決の稲葉は「ファイナルシーズンに良い流れを持っていくためにも勝ちたい」。岡島と渡辺の花道を飾るとともに、残留に向けて弾みをつける大一番だ。


クラブ公式サイト
https://boaluz-nagano.com/
Fリーグ チーム紹介ページ
https://www.fleague.jp/club/nagano/

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