山本憲吾のバレーボール・ラボ(3)「ヴォレアス戦で得た貴重な教訓」

バレーボールはスピーディーで華やかなプレーが目を引くが、その裏には緻密な戦術の応酬がある。国内最高峰・SVリーグで奮戦する男子のVC長野トライデンツも同様だ。ネットを挟んで対峙する相手と、どんな駆け引きをしながらプレーを選択しているのか。2017-21年に在籍した元リベロ・山本憲吾が、奥深いバレーボールの世界に案内する。第3回は、リーグ戦のヴォレアス戦で得られた教訓について振り返る。

構成:大枝 史、大枝 令

Aパスが返った際の決定率に課題
「必勝」の構えでプレーに硬さも

ヴォレアス北海道との試合は、1日目は相手のサーブが走っていたのは誰が見ても明白だった。それに対して2日目は何とか対応していたが、Aパスの時の決定率が半分以下だったように感じる。

ゲームを通して見ていると、開幕戦から前半はAパスからサイドアウトが切れていたが、ヴォレアス戦や最近のゲームではAパスからの決定率が下がっている印象を受ける。

確実に相手がデータを取っているので、それに対して対応していく面はもちろんある。ただ、やはり連敗が続いていくと精神面もあるだろう。僕らの時代に大分三好ヴァイセアドラー(当時)と常にどっちが上にいくか競っていたのと同じで、「ヴォレアスには絶対に勝たないといけない」という重圧から硬さが出ていたのも見ていて伝わった。

多分「意識はしていない」と選手は思っているが、チームのどこかにはそういう雰囲気が出てしまっている印象だ。

トス配分とか組み立てに関してはセッター(S)の仕事。今回のゲームでどうだったかは中島健斗もわかっているし、マシュー・ニーブスに上げ続けたのも考えがあってのことだろう。

そこを決めるか決めないかで勝負がつくのがこの世界。もう次に生かすことを考えていると思うけど、やはり硬さが見えた。

前半戦はミドルブロッカー(MB)も使えていてパイプ攻撃も多かったが、それが最近は少し減ってきている。もちろん、対応されるのは絶対。あれだけ松本慶彦や山田航旗が決めていたらどこのチームも対応してくるし、分析も出ている。

それを乗り越えるためには、25点の中でどれだけパスが返せるかがカギになってくる。

レセプションがコート内に返っていても中島が動かされてクイックが使えなかったり、パイプが使えなかったりしているシーンがある。

特にサーブが強い選手は左右に揺さぶってきたり前に落としてきたりと、いろんなところに打ってくる。そういう相手に対しては「パスを返す」というよりもサービスエースを取られない、Sが何とか組み立てられる場所に上げるくらいで良い。

コート内の雰囲気も関わってくる。良い時はみんな足も動くし、「ここ取りに行くね」という声も自然と出る。でもサイドアウトがなかなか取れなかったり、連敗が続いたりすると自分のプレーだけで精いっぱいになってしまう。

そういう時にコミュニケーションが確立していないと、レセプションは崩れてしまう。それはやっていた経験からも感じるし、改めて意識したいポイントだろう。

得点時の大きなリアクションも
雰囲気をつくるための一つの手段

そしてコート内の停滞した雰囲気を変えたい時にはどうするか。僕は自分が点数を取れないリベロ(L)だったから、どんな点数でも、どのスパイカーが決めても誰よりも喜んでいた。

今のVC長野は集まっているが、僕の時はコートを走り回っていたり、大事な時に決めてくれたら飛びついて抱き合ったり、そういうアクションを起こしていた。

工藤有史も「雰囲気が悪いからなんとかしたい」という気持ちは画面で見ていても伝わる。決めた時にガッツポーズをしたり、観客席に向かって煽ったりしているけど、そういうことをする選手がもっと他にも増えてもいいのではないかと思う。

みんなバレーボールが楽しいから、自分に合ったから今も続けていると思う。自分たちがバレーボールを始めた時の原点に戻って、どんな1点でももっと喜んでもらいたい。

工藤の盛り上げには僕もついていきたいと思えるし、他の選手もわかっているのであれば一緒についていってほしい。そうすれば雰囲気は自然と高まり、アリーナ全体の空気をもっと味方につけられるだろう。

ヴォレアス戦の2日目はVC長野のサーブが走っていたが、それが第3セット以降に繋げられなかったのがあった。

急いでしまった。そこもメンタル面が大きく関わっているだろう。「確実にストレートで勝つ」という気概で第3セットは入れていたと思うし、第3セットを取られても「あと1点」というところで第4セットで終わらせたかったのもわかる。

試合を見ていて「気持ちがわかる」と言ったら失礼かもしれない。ただ、「必ず取る」という気持ちで取れなかった第3セット、「あと1点」というところで取られてしまった第4セット。特定のどのプレーとかではなく、ここを乗り越えていかないと次節以降も勝ち上がっていけない…と教えてもらったのではないだろうか。

開幕戦に良い流れで勝てて、ファンの方や周りの応援してくれる方たちが「今年のVC長野は違う」と思ったとしても、それ以上に対応してくるのがSVリーグという舞台でもある。

今は連敗してしまっているが、それでも全体の試合数からみたら3分の1程度。まだ折り返しにも行っていないのは伝えたい。リーグ戦が終わった時に6位以内に入るためには、ここを乗り越えていかなければいけない。それを教えてもらったと、僕は捉えている。

PROFILE
山本 憲吾(やまもと・けんご) 1992年6月22日生まれ、大阪府出身。小学校4年生の時にバレーボールを始めた。中学校には部活動がなかったため、校長に直談判してバレーボール部を設立。JOC大阪北選抜で全国3位を経験した。大塚高(大阪)からリベロに転向し、2年時にインターハイ初優勝に貢献。中京大では東海リーグで2〜4年時に3年連続でリベロ賞を獲得した。卒業後は岡崎建設owlsでプレーし、2017年にVC長野トライデンツに入団。19年にはリベロ部門のファン投票1位でオールスターゲームに出場した。20-21年シーズンまで在籍し、現役引退。現在はVC長野トライデンツU15女子の監督。趣味は愛娘の写真を撮ること。


SVリーグ男子第5節 ジェイテクトSTINGS愛知戦 試合情報
https://vcnagano.jp/match/2025-2026-sv-div5-1
https://vcnagano.jp/match/2025-2026-sv-div5-2
クラブ公式サイト
https://vcnagano.jp/
SVリーグ チーム紹介ページ
https://www.svleague.jp/ja/sv_men/team/detail/461

たくさんの方に
「いいね」されている記事です!
クリックでいいねを送れます

LINE友だち登録で
新着記事をいち早くチェック!

会員登録して
お気に入りチームをもっと見やすく

人気記事

RANKING

週間アクセス数

月間アクセス数