その1点に思いを懸けて 工藤有史が日本代表合宿で磨く“勝つためのメンタル”

VC長野トライデンツのアウトサイドヒッター(OH)工藤有史が、2年連続でバレーボール男子日本代表登録メンバーに選出され、味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC・東京)で第1回国内合宿に臨んでいる。4月に閉幕したリーグ戦では主力としてチームをけん引しながらも、苦しいシーズンを送った24歳。2年目となった代表合宿での心境や姿勢を探ろうと、合宿地で本人を直撃した。
文:大枝 史
KINGDOM パートナー
雰囲気をつかんだ2年目
自分自身にフォーカスする日々
「代表の雰囲気をしっかりと感じることが大きな目標だった去年と比べて、今年は自分のプレーにフォーカスできている」
2026年5月のある日。昨季に続き男子日本代表登録メンバーに選出されたOH工藤有史は、練習後にそう言って充実した表情を浮かべた。

右も左も分からない状態で参加した昨季の代表合宿から1年。
「雰囲気もすぐにつかめて楽しくやれている。ティリさん(ロラン・ティリ男子日本代表監督)の練習に早く慣れたことがよかったと思う」

2年目となった今季は、持ち味でもあるサーブレシーブの精度向上を明確な目標に掲げて練習に取り組む。
「リベロ2人(備一真/インポスト・ヘウム、武田大周/東レアローズ静岡)とずっと一緒に(練習を)やっているし、タツくん(大塚達宣/パワーバレー・ミラノ)と一緒にやることもある。いろんな人の感覚を聞きながらできていて、サーブレシーブに限らず1つのプレーに対して新しい考え方が多い」

レベルの高い選手たちの感覚や考え方を積極的に聞き、自らに落とし込んでいく日々を「今年の方が楽しい」と笑顔を見せる。
昨季は「まさか」と本人も予想していなかった選出。高いレベルの中に身を置いたことを一過性で終わらせず、継続して選出されることを目標にチームでの活動に取り組んできた。
「ここでしかできない経験が本当にたくさんある。自分が一番成長できるチャンスだと思うので、毎日を無駄にしないように頑張りたい」

KINGDOM パートナー
高い集中力と懸ける思い
質の高い練習を肌で感じて
SVリーグでの戦いを終え、3週間のオフで心身ともにリフレッシュした状態で臨んだ代表合宿。
調子が上がらずに苦しんだリーグ戦での経験を成長につなげるためにはどうしたらいいか――。そのヒントを、小中学生時代をパンサーズ・ジュニア(大阪)で共に過ごした1学年上の大塚から得ようとしている。

「タツくんには、調子が悪い時や試合中に何を考えているのかといった気持ちの面を聞くことが多い」
「実際に試合をしてみなければ分からない部分もあるけれど、練習でも調子が悪い時に何をどうすればいいかを考えながらできている。そこはレベルアップしたと思う」

シーズン中は1点の重みに苦しんだ試合も多かった。その中で課題として浮上したのがメンタル面。セット終盤にミスが出ると連鎖反応を起こし、競り合ったセットを取り切れない試合が多かった。
その課題を克服する手段として、VC長野の古田博幸監督代行は「一番は試合で勝つこと」を挙げる。
成功体験を追求しつつ、エースの工藤が代表合宿でメンタルに磨きをかけることができれば、チームは勝負強さという強力な武器を手にすることができるはずだ。
「(代表合宿で)一番感じることは、練習中の1点に対しての集中力や懸けている思いが違うということ。一人一人がそういう気持ちでやっている分、練習の質がすごく高い」

「ティリさんが『疲れている時こそみんなで声を出して頑張ろう』と言ってくれるし、スタッフも練習中にすごく声を出してくれる」と工藤。だからといって「それに選手が頼っているわけではなく、一人一人が熱量高くやっている」と強調する。
工藤が肌で感じる練習の質の違い。環境の違いはあるかもしれないが、VC長野に還元することができれば大きなプラス要素になる。

今回の代表合宿での最大の目標は「国際大会で試合に出ること」。そして、新シーズンは「サーブレシーブ成功率で8位以内、OHの中では3位以内」と具体的な数字を挙げて成長を誓った。
高いレベルの中で自らを研ぎ澄ませ、自分自身の成長をチームの力に変える――。
「ここでしかできない経験」を糧に、工藤は新たなシーズンでもVC長野をけん引しようと決意している。

クラブ公式サイト
https://vcnagano.jp/
SVリーグ チーム紹介ページ
https://www.svleague.jp/ja/sv_men/team/detail/461


















