落とし穴にハマって連勝ストップ 取り除きたい「心の隙」

苦々しい敗戦だった。信州ブレイブウォリアーズは2日のB2リーグ第6節GAME1、山形ワイヴァンズに64-74で8試合ぶりの黒星。相手の高確率のシュートに苦しんだのは確かだが、それ以前にコントロールすべきディフェンスを遂行できていなかった。それはなぜか――。随所で精彩を欠いた理由を解きほぐしながら、3日のGAME2で巻き返す手がかりを探る。

文:芋川 史貴/編集:大枝 令

ビッグマン不在で「5out」の山形
スピードに苦戦して後手を踏む

「最初からエナジーや遂行力がなく、その中で山形さんがそこを突いてきた。40分間、自分たちのやるべきことを遂行できなかったことが今日の試合だったと思う」

大黒柱のウェイン・マーシャルは試合後の会見で開口一番、そう振り返った。自身はこの日、bjリーグを含めて通算8000得点の記録をマーク。しかし、節目の喜びもかき消えるような敗戦だった。

山形はルーズベルト・アダムスとレオナルド・デメトリオの2人が不在で、この日は「5out」を採用してきた。5人が広いスペースを確保し、アウトサイドにポジションを構える。

高さのミスマッチこそ信州に分があるが、スピードについていけず苦戦を強いられた。ただでさえ信州は、試合の入りがかなりソフト。プレーの強度は低く、ルーズボールへの反応も鈍かった。

勝久マイケル・ヘッドコーチ(HC)は「前半はエナジーも集中力もないスタート。日々成長しなきゃいけない我々がそういう前半を送ったのがなによりもがっかりしている」と苦言を呈した。敗因としてしばしば言及される「エナジー」「遂行力」。この日はなぜ、それが影を潜めたのだろうか。

勝久HCは話す。

「我々はタレントのあるチームで、どこかで『スイッチを入れれば勝てるだろう』という気持ちがあるように見える。だから続けてこういうスロースタートがあるのだと思う。そういった勘違いはあるかもしれない」

「少なくとも我々の目指している場所には、それでは行けない。勝ったとしてもちゃんと成長して、高いスタンダードを持ったプロフェッショナルのチームににどんどんなっていかないと」

キャプテンの一人・栗原ルイスはその理由について、さらに踏み込んで言及した。

「相手はビッグマンが1人いなかったり、ウイングのキープレーヤーが1人いなかったり。決して甘く見ていたわけじゃないけれど、やはり全体的に心のどこかで(相手を)過小評価していた部分はあったのかもしれない」

この油断がソフトな入りを生み出し、ディフェンスのローテーションやカバレージなど細部に影響。もちろん3ポイントシュートの確率が20.6%と低かったことも確かに、敗因の一つではあるかもしれない。ただ、ディフェンスに重きを置くチームがしっかり守り切れなかった。チームカルチャーの浸透もやはり、成長の余地が大きい。

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残り数分で見えた遂行力の低さ
GAME2でバウンスバックが必須

そして最終第4クォーター。10点ビハインドで残り時間も少ないにもかかわらず、オールコートでプレッシャーをかけない。大抵そのような展開になるとオールコートでプレッシャーをかけてボールを奪うか、ファウルゲームに持ち込む選択肢もあったはずだ。

勝久HCは説明する。

「チームとしてのルールはフルコートでピックアップできる時はして、オフェンスリバウンドに絡んで、だからこそピックアップできる位置にいて、そこから何回かバックコートでターンして、下り坂のパスやエントリーにはディナイして、居心地よく相手にやらせないようにしたい。常にリマインドが必要」

そのシーンでもチームルールを遂行できていなかった。連勝を重ねる中で落とし穴にハマり、苦い黒星を喫した信州。3日にすぐ、修正を示すべきGAME2がやってくる。どこまで気持ちを入れ替えられるかが、チームの成長を計る指標になるだろう。

「どれだけ40分の中でやるべきことを続けられるか。その結果によって今日の敗戦を良い学びにできるか、もしくは後退するのかということになる」。栗原は意気込みを示す。この敗戦で目を覚まし、戦士たちはバウンスバックしてコートに立つ。


B2リーグ第6節 山形ワイヴァンズ戦 試合情報
https://www.b-warriors.net/lp/game_20241102_20241103/

クラブ公式サイト
https://www.b-warriors.net/

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