【Farewell-interview】「応援が活力になった」VC長野・糸山大賀&中村啓人

バレーボールの季節が去り、新たなシーズンへの胎動が始まっている。長野県内のSVリーグ男子/Vリーグ男女の計3チームからも、今季限りの退団者が発表された。本企画はチームを去る選手・スタッフに敬意を表し、その働きぶりやチームに遺した財産などを改めて記録するもの。今回は、VC長野トライデンツで引退を表明した糸山大賀と中村啓人のショートインタビューをお届けする。
取材:松元 麻希 /編集:大枝 令
KINGDOM パートナー
「応援してもらって頑張れた」
度重なるケガに苦しんだ糸山
――今シーズンの感想を教えてください。
目標が10勝だったので、その目標をチームの全員で達成できたことは、今後の人生の糧にもなると思いますし、いい経験だったなと思います。
――VCに在籍したのは2022年から3シーズンですが、その中で印象的だった試合はありますか?
印象的だった試合は、昨シーズンのサントリー戦です。そこで初めてセッターとしてVリーグの試合に出てトスを上げられたことは思い出深く、印象に残っています。

――引退を決意したきっかけは?
やはりケガが良くならないということ。ずっとケガを持っていて、シーズンが続いていく中で、腰が悪くなったりとか、足首やアキレス腱など、結構身体にガタが来てしまっていました。
ケアをしていたんですけどそれでもカバーできなくて、引退という考えが浮かびました。シーズンが始まる前から、どうしようか考えていました。

――VC長野の今の状況と、来シーズン以降より強くなるために、今後どのようなクラブになって行ったらよいと思いますか?
今は本当に若いし、上下関係もなく言い合えるので、そこがいいところだと思います。強くなるためには、練習中、コンビが合わないとかそういう細かい部分を全員で詰めていくなど、もう一段階意識を上げたらもっと強くなっていくと思います。
――引退セレモニーもありましたが、改めてVC長野のファンの印象を教えてください。
みんなめっちゃ優しいですね。サーブの前などは特に「「頑張れ」とエンド席の人が声をかけてくれましたし、もう本当に「優しいな」という印象です。

――ファンの方々向けて、最後にメッセージをお願いします。
短い間でしたけど、VC長野でバレーができて、ファンの方々に応援してもらって、ここまで頑張ることができました。これからは(アンダーカテゴリの指導者という)違う形でチームに関わって行くので、これからも応援をよろしくお願いします。

KINGDOM パートナー
中村は応援が続ける原動力に
「もう少し頑張ろうと思えた」
――中村選手は2021年から4シーズンVC長野に在籍し、引退となりました。この4シーズンの感想や今思うことを教えていただけますか?
もともとアウトサイドヒッターとして(VC長野に)来ましたが、ポジションをコンバートしてオポジットになりました。
この国内トップリーグではどのチームも外国人選手のスーパーエースが入る中で、スタメンとして試合に臨むことがほとんどなかったんですけど、その中で「チームにどう貢献したらいいか」を考えながらずっとやってきました。

特に先シーズンは、中島選手と2枚替えでほぼ毎試合出してもらえて自分の中でも手応えを感じていたんですけど、今シーズンに関しては、SVリーグという舞台でほとんどプレーすることができませんでした。
点数を決めることができず、下の世代の選手もどんどん入って来る中で、今回、引退を決断しました。

――移籍等ではなく引退という選択をした理由は?
100%の力で打つことができない期間が半年以上続いてしまいました。ポジション的には最後に託されて思いきり打つポジションなので、自分はもうプレーで体現できないなと思ったからです。
――今後はどのような道に進むか決まっていますか?
今後は、バレーボールという競技自体から退く予定です。でもVC長野トライデンツはいいチームなので、これからはいちファンとして応援していきたいなと思います。

――引退セレモニーもありましたが、中村選手から見てVCのファンの方々の印象はどうでしたか?
(VC長野に)来た当時からも、他のチームのホームゲームとは違うような、ハリセンの迫力のある音だとか、団結力と一体感があると感じます。
毎年毎年シーズンになると、「ホームゲームはこんな感じなんだな」と実感していました。後押ししてもらえる応援を、ファンの方々からもらい続けてきたなと感じますし、そこは感謝したいと思っています。

――ファンの方々に向けて、最後にメッセージをお願いします。
出場機会が少ない中でもずっと変わらず応援し続けてくれたことは、日々バレーボールに向き合う活力になりましたし、「もうちょっと頑張ってみようかな」と思いながら練習することができました。本当にありがとうございました。