SVリーグを知る田中瑠奈が信州Ariesでの新章へ 連覇を目指して”不可欠な存在”に

群馬グリーンウィングスで6年間プレーし、優勝と得点王を経験。その後NECレッドロケッツ川崎でSVリーグの厳しさを学んだアウトサイドヒッター・田中瑠奈が、新天地としてルートインホテルズ信州ブリリアントアリーズを選んだ。Vリーグ女子の2連覇を狙うチームの中で「安定した選手として、コートになくてはならない存在」を目指す27歳。豊富な経験と責任感を武器に、信州での新たな挑戦が始まる。
取材:原田 寛子/編集:大枝 令
PROFILE
田中 瑠奈(たなか・るな)1998年7月9日生まれ、横浜市出身。小学校3年生の時、友人からの誘いで地元のクラブチームに入団。中学校時代はJOC都道府県対抗大会の神奈川県チームでキャプテンを務めた。その後は川崎市立橘高校でプレーし、春高など全国舞台を経験。卒業後の2017年、群馬グリーンウイングスに入団。20-21シーズンはV2リーグ(当時)の優勝に貢献し、最高殊勲選手と得点王を受賞。準優勝の21-22シーズンは敢闘選手賞とサーブ賞。昨季はSVリーグのNECレッドロケッツ川崎でプレーした。171㎝のアウトサイドヒッター。コートネームはルナ。
KINGDOM パートナー
「もっと活躍できる場所」探して
若い選手の潜在能力を刺激する
ーーまずは入団の経緯を教えてください。
私自身、SVリーグで活躍できる機会が少なく、もっと活躍できる場所を探したいという思いがありました。
昨シーズンまで所属していたNECレッドロケッツ川崎は、信州Ariesの成田郁久美監督が現役時代に所属していたチームで、その繋がりもあり成田監督から「プレーを見てみたい」というお声がけをいただきました。
信州Ariesは前年度優勝しているチームなので、自分もここで色々な経験をしてチームに貢献したいという思いで入団しました。
ーー信州Ariesにどんな印象を持っていましたか?
NECの前は6年間群馬グリーンウイングスにいたので、対戦相手としてよく見ていました。コロナ禍で主力のチームメイトが出場できない時に、ルートインに負けたんです。実力の差を見せつけられた印象です。
一人一人のポテンシャルが高く、予想外の攻撃をしてくるイメージもありました。勢いに乗っている時は止められないチームだと感じていました。

ーー実際に入団してからの印象はいかがですか?
みんなバレーボールが大好きで仲の良いチームだし、コミュニケーションがよく取れているチームだと思います。だからこそみんな優しい。ポテンシャルの高い選手が多いので、もっと自信と闘争心があればもっと強くなれるでしょう。
それは「自分が絶対に抑える」「自分が絶対に決める」という気持ちを出していくこと。私は年上の立場になると思うので、そういったところを引き出せたらと思います。
KINGDOM パートナー
リベロ佐藤未羽と信州で再会
NECではコート内外で多くを学ぶ
ーーバレーボールは小学3年生から始めたということですが、学生時代はどのような経験をされていますか。
バレーを始めたきっかけは、地元のジュニアクラブチームに入っている同級生から誘われたことです。リベロの佐藤未羽選手は、当時チームメイトだったんです。中学まで一緒にプレーしていました。今回久しぶりに同じチームになったので、うれしかったです。
そこからは地元の公立中学でバレー部に入り、関東大会にも出た経験があります。中学3年生でJOC選抜に選ばれて、キャプテンを務めました。
(川崎)市立橘高から声をかけてもらって進学したんですが、私が1年生の時は春高に出られませんでした。入った年はとにかく練習がキツくて大変だった思い出があります。3年生の時に出た春高は2回戦まででしたが、いい経験になったと思っています。
ーー群馬では優勝、準優勝、個人では最高殊勲選手や得点王なども受賞しています。
入団当初は同期がいなくてちょっと辛い時期もありましたが、高橋悠さんが監督に就任した時が転機になりました。
かなり細かいところまで教えていただいて、バレーの楽しさが復活したと思います。上達するには自主練やボールを触る回数を増やすことが必要だと気付けたのもこの時です。自分がコートに立って中心となる責任感もありました。
このようなことが受賞につながったのかもしれません。

ーーそこからNECへ移籍した経緯や経験してきたこと教えてください。
新たな刺激を求め、覚悟を決めて移籍の希望を出しました。群馬では色々な経験をさせてもらったけど、環境を変えることが自分にとっては刺激になり成長につながると思いました。
NECでは選手のポテンシャルも高く、トレーニングもキツかったです。1年目は古賀紗理奈さんともほんの少しですがご一緒しました。コート内での信頼度やよく人を見ているところなど、プレー以外でも学ぶことが多かったです。
年下の選手との向き合い方も学べたことの一つ。私は年下とのコミュニケーションがうまくなかったんです。でもNECでは逆に「こういう時はどう打ってるんですか?」と聞かれることもありました。
お互いにないものを持っているということからもコミュニケーションは生まれると思いました。今はだいぶうまくなったと思います。
安定感と責任感でチームを牽引し
ともに成長しともに輝く
ーー少しバレーからは外れますが、長野県に来てみていかがですか。
すごく肌に合っている気がします。自然が多い部分では群馬と似ているところもありますが、静かだし、美味しいものも多いし、蕎麦も大好きです。温泉も多いので、体を休める時にもいいですよね。
冬の雪は少し心配ですが、地方の暮らしは自分に合っていると思います。
ーー信州Ariesではどんなプレーをしていきたいですか。
まずは安定した選手として、コートになくてはならない存在を目指しています。そして自分がやってきたことに誇りを持って伝えられることを伝えたい。相手に伝える、ということは「自分ができて当たり前」ということ。自分自身がしっかりプレーできる選手でいたいです。

あとは、苦しい状況になった時に気持ちをすぐ切り替えていくこと。メンタルが一番大きいと思いますが、落ち込んだ気持ちは伝染します。そこで焦ることなく余裕を持っていることで、周りにも余裕が出てくる。いい雰囲気を浸透させられる立場でいたいです。
ーー最後に、意気込みをお聞かせください。
2連覇がかかったチームというのは良い意味でプレッシャーにもなるし、しっかり貢献していきたいと思います。体調面では、ケガをしないように全力のパフォーマンスを発揮できるようにしたいです。
少しでも長くコートにいたいという気持ちがあります。自分の持ち味はサーブと攻撃面。色々なプレーで相手を揺さぶる“イヤな選手”になりたいと思います。
チーム公式サイト
https://www.briaristcamp.com/
Vリーグ チーム紹介ページ
https://www.svleague.jp/ja/v_women/team/detail/484