海を渡った“若きカナダの大砲” マシュー・ニーブスが導かれたSVリーグへの縁

カナダ代表オポジット(OP)マシュー・ニーブスが、そのポテンシャルを発揮し始めている。2025年9月8日にVC長野トライデンツに合流し、身長207cmから繰り出される高打点のスパイクと力強いサーブでチームを牽引する。もともと海外志向が強く、スペイン、ドイツと渡って今回はSVリーグに挑戦。その背景には少なからず日本との繋がりもあり、元チームメイトの証言も基にしながら魅力を掘り起こす。

文:大枝 史 /編集:大枝 令

「修正力」と「対応力」で変化
挑戦を続けてきたバレー人生

変化は2025年11月15-16日に行われた第4節東レ静岡戦からだった。

試合後会見でニーブスが「下に打ちすぎていて、シャットされたりタッチされたりするシーンが多かった。1週間かけて高くキープするようなトスに変えてもらった」と話したように、この試合からは打ち切れないシーンが激減。強打を次々と相手コートに打ち込む。

特にPOM(プレイヤー・オブ・ザ・マッチ)に選ばれた第4節GAME1ではアタック決定率64.3%と高い数字を出したし、第6節サントリー戦GAME1ではバックアタック決定率87.5%と高空から叩きつける大砲のごとき強さを見せつけた。

全体ではまだアタック決定率44.3%、サーブ効果率6.1%ではあるものの、その数字も徐々に上がってきている。

サーブでもリーグ戦の直近4試合でサービスエース5本と強みを発揮する。

「試合をするごとに良くなってきている感覚はある」。そんな手応えをつかみながらも「フォームとかタイミングとかを変えながら色々と試している」と練習から試行錯誤の日々を送る。

修正と対応を繰り返しながら、少しずつSVリーグに順応してそのポテンシャルを開花させようとしている。そうして向上するパフォーマンスの原動力になっているのは、挑戦するマインドだ。

ニーブスがバレーボールを始めたのは13歳の頃。家族や友人から「一緒にバレーしよう」と勧められてすぐに参加した。

「自分がどれだけ通用するのか」

もともと海外でプレーすることに興味を持っていたニーブスは、「挑戦」の言葉を胸に海を渡る。

2023-24シーズンはスペインのウニカハ・アルメリアに所属。翌24-25シーズンはドイツのSWDパワーバレー・デューレンでプレーをした。

そして今回、さらなるステップアップとして日本のSVリーグに挑戦するに至った。

PROFILE
マシュー・ニーブス(Matthew Neaves) 2000年6月21日生まれ、カナダ出身。13歳の頃にバレーボールを始める。もともと海外志向が強く、23-24シーズンにはスペインリーガのウニカハ・アルメリアに在籍。翌24-25シーズンはブンデスリーガのSWDパワーバレー・デューレンでプレー。25-26シーズンからVC長野に加入した。最高到達点374cmから放たれるアタックと強いサーブを武器とするオポジット。207cm、94kg、最高到達点374cm。

SVリーグゆかりの人物も後押し
寿司など日本食にも適応を示す

23-24シーズンのスペインリーガでは当時サン・ロケに所属していたOPウルリック・ダール(日鉄堺BZ)との対戦経験がある。昨シーズン在籍したSWDパワーバレー・デューレンでは、昨季限りで現役を引退した野瀬将平さん(現東京GBスタッフ)とチームメイトだった。

ドイツの地で同じアパートに住んでいた2人は、一緒に東京GBの試合を見ることもあった。

「SVリーグはどういうものなのか、どれだけ素晴らしいリーグなのかを話していた。すごく良いなと思っていた」

野瀬さんと一緒に画面越しに見ていたSVリーグへの挑戦。

ニーブスのプレーについて野瀬さんは「高いし、強い。まだ少し若いので粗さがある時もあるが、それも含めてポテンシャルはすごくある。一緒にプレーしていて頼れる部分は多かったので、対戦相手としては嫌」と笑顔を見せながら話す。

「僕が教える範囲では教えたりして、軽く背中を押したかな…という感じ」

「僕も引退したのでなかなか元チームメイトと会うことはないから、日本で会えるのはうれしい」

そう話す野瀬さんは当時、家から1分くらいの近所にあるケバブ店に週3回ほどニーブスと通っていた仲だと明かす。

来日直後は「ご飯を食べられるだけ食べたい」と話していたニーブス。

「大トロ、中トロが一番」と寿司を楽しみ、「毎日飲む味噌汁やカツも好き」と日本食にも適応を見せる。「箸も大体使えるようになった」と笑顔を見せた。

日本の2日間連続開催にも前向き
新天地に慣れていざ本領発揮へ

「2日目はやるべきことを集中して、身体の疲れをメンタルでカバーするのが必要」としながらも、「2日連続の試合はすごく面白い。もし負けても次に勝つチャンスがあるし、1日目に勝っていたら連勝するチャンスもある」

そう話すように、SVリーグ特有の2日間連続開催もポジティブに捉える。

「よくするためには何ができるか、どうすればよくなるのかを考えて、それを組み合わせる」

「フラストレーションを怒りに変えるのではなく、次への楽しみに切り替えてやっている」

連敗の中でニーブス自身も悔しいシーンはあったが、修正と対応、そして挑戦する姿勢で普段の取り組みから真摯に向き合う。

「チームワークを強みとして選手を鼓舞するとか、一緒に喜ぶ姿とかが自分の魅力」

来日直後に自身の強みを話していたニーブス。

チームメイトのアウトサイドヒッター(OH)オスカー・マドセンらとともに喜びを表現する姿も多く見られるようになってきた。

野瀬さんが「シャイかもしれない。僕らが想像する外国人みたいな感じではない」と話していたように、本来の姿を見せるまでには少し時間がかかったかもしれない。

異国の地から日本へ降り立ったカナダの若き大砲。

次節はホームの松本で東京GBを迎え撃つ。

「もちろん厳しい試合になることは予想しているが、チーム一丸となる。ミスすることや落ち込む時もあると思うが、毎回一つになって戦おうと考えている」

第3節のGAME1ではマッチポイントを握りながらも、フルセットで敗戦した相手。やり返すだけの強い気持ちを胸に、今年最後のゲームに挑む。


SVリーグ第8節 東京グレートベアーズ戦 試合情報
https://vcnagano.jp/match/2025-2026-sv-div8-1
https://vcnagano.jp/match/2025-2026-sv-div8-2
クラブ公式サイト
https://vcnagano.jp/
SVリーグ チーム紹介ページ
https://www.svleague.jp/ja/sv_men/team/detail/461

たくさんの方に
「いいね」されている記事です!
クリックでいいねを送れます

LINE友だち登録で
新着記事をいち早くチェック!

会員登録して
お気に入りチームをもっと見やすく

人気記事

RANKING

週間アクセス数

月間アクセス数