ファイナルシーズン黒星発進 地元開催の熱量、F1残留と文化定着の糸口に

フットサルの最高峰クラブが一堂に会した。2026年2月14-15日の2日間、長野市のホワイトリングでF1リーグ ファイナルシーズンが開幕。ボアルース長野は地元開催の「長野ラウンド」に挑んだものの、Y.S.C.C.横浜に1-3と逆転負けに終わった。1,304人の観衆が集った熱戦の模様とともに、Fリーグの松井大輔理事長の声も交えながら大会を振り返る。
文:田中 紘夢/編集:大枝 令
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GK橋野司の好守が光り先制も
攻守とも受けに回って逆転負け
「もちろん『気持ちがない』なんてことは全くなかったわけで、ここで決めるくらいに思ってみんなで臨んだ試合だった」
山蔦一弘監督が言うように、F1残留に向けて最重要な初戦。勝ち点20で12チーム中9位のボアルース長野に対し、降格圏の最下位・Y.S.C.C.横浜は勝ち点15。勝てば4試合を残して8ポイント差と、残留に大きく近づけた。

結果は1-3で敗戦。立ち上がりから横浜の勢いに呑まれかけ、なかなかリズムをつかめなかった。「相手は『失うものはない』という気持ちでやってきたはずで、うちはそれを受けてしまった」と指揮官は省みる。
それでもGK橋野司の好守にも救われ、先制点にありつけた。3分のファーストセーブを皮切りに、「波に乗ることはできた」と話す守護神。8分にはカットインシュートに対して股を閉じて防ぎ、こぼれ球を捉えたボレーも左足で弾く。神がかり的なセーブの連続で耐えると、第1ピリオド終了間際にカウンターからガリンシャが得点を奪った。

1-0で迎えた第2ピリオドは一進一退の展開となる。「ピヴォ(サッカーのFWに相当)にボールを入れて飛び出していくところで、勇気だったり自信を持てなかった」と山蔦監督。前線からのプレスも含めて、「相手コートに押し込む」という信条を体現できない。

31分にはキックインの流れから失点。左サイドで2人がかわされ、折り返しを押し込まれた形だ。さすがのGK橋野も対処しきれず、「自分たちの緩さで失点してしまった」と唇を噛む。
その後も流れを断ち切れないまま、終盤にパワープレー(GKをフィールドプレーヤーに代えての全員攻撃)から逆転を許す。すぐさまパワープレーで反撃に出たものの、逆に無人のゴールに蹴り込まれて3失点目。万事休した。

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地元開催も足りなかった「勇気」
降格圏と2差で名古屋ラウンドへ
「数字で分かるくらいに内容で差が出てしまった」とキャプテンの三笠貴史。シュート数は13対28と差をつけられ、それが1-3というスコアにも現れた。
山蔦監督も含めて記者会見で何度も口にしたのは、「勇気」の2文字だ。地元開催のファイナルシーズン初戦。気持ちが昂らないはずはないが、立ち上がりから相手の勢いのほうがまさっていた。指揮官の「気持ちと身体がリンクしなかった」という言葉にもうなずける。

ボアルースに限った話ではないのかもしれない。
下位リーグは初戦の3試合を終え、いずれもレギュラーシーズン下位のチームが勝利。ボアルースが対峙したYS横浜もそうだが、降格圏が近ければ近いほど、死にもの狂いで戦っていた印象はある。三笠もその熱量をピッチで感じていた様子だ。
「相手のベンチワークのまとまりというのは、プレーしながら感じていた。それを自分たちができているかどうか、考えさせられる場面はいくつもあった」

下位のバサジィ大分とボルクバレット北九州に追い抜かれ、11位に転落。最下位・YS横浜との勝ち点差も2に縮まり、残留に向けて黄信号が灯る。
地元開催の初戦に敗れたショックは小さくないが、落ち込んでいる暇もない。「まだ順位も最下位になったわけではないし、あと4試合ある。自分たちが勝ち続ければ順位が入れ替わることはない」とGK橋野は力を込める。

ファイナルシーズンは全5試合の総当たり戦。次節は名古屋ラウンドに舞台を移し、大分と戦う。
古巣対決を迎える守護神は「リーグ戦のときは変に意識してしまって、あまりうまくいかなかった。そこは割り切って、思い切りプレーしたい」。チームとしても勇気を振り絞って戦えるか。
松井大輔理事長も長野に来訪
地元開催で生まれた熱量を未来へ
2日間にわたって行われた「長野ラウンド」。ホワイトリングでの集中開催は2007年以来、実に19年ぶりとなる。
元サッカー日本代表で、現在はFリーグの理事長を務める松井大輔氏も来訪。1日目は「BLUE DREAM みらいスクール」と題し、元女子日本代表FWの岩渕真奈さんとともに松本市サッカー場へ。地元の子どもたちとボールを追いかけた。

2日目はホワイトリングでファイナルシーズンを視察。大会の所感を問われると、開口一番に「出店が良い」と白い歯を見せた。ボアルースが誇るアリーナグルメを満喫した様子だ。
ボアルースの試合には1,304人の観客が集った一方、ほかは軒並み400人余。最大5,000人収容のホワイトリングには空席が目立った。3週間の中断期間を挟んだ影響もあるかもしれないが、松井理事長は「やはり日本代表が強くならないといけない」と話し、長野県のポテンシャルにも期待を込める。

「長野は雪のある地域で、体育館がうまく使える。そこからサッカーだったりフットサルの日本代表が生まれてほしい。ゆくゆくは高齢者にもウォーキングフットボール(歩いて行うサッカー)を楽しんでもらったり、身体を動かしながら地域と繋がれたら」
今季はGK橋野が日本代表のラージグループに入ったが、まだボアルースから国を背負う選手は生まれていない。まずはF1残留を果たし、将来的な上位リーグ進出や代表選手の輩出に繋げたい。

キャプテンの三笠は長野ラウンドを振り返り、「入場のときから熱気は感じていた。こんな素晴らしい環境で、大事な試合をプレーさせてもらえるなんて…」と感慨を口にする。来週から始まる名古屋ラウンドに向けては、「僕らは自分たちを信じて戦い続ける。今日見に来てくれた皆さんも、最後まで一緒に戦ってもらいたい」。
地元開催で生まれた熱量をF1残留、そしてフットサル文化定着への足がかりに変えたいところだ。

クラブ公式サイト
https://boaluz-nagano.com/
Fリーグ チーム紹介ページ
https://www.fleague.jp/club/nagano/


















