得点力アップへ意識改革を J2札幌とのホーム開幕戦で“ネイビーの夜明け”示せるか

課題克服は一筋縄ではいかない。J2・J3百年構想リーグを戦うAC長野パルセイロは、開幕から2試合を終えて無得点。J3でリーグ最少得点に終わった昨季から改善の兆しは見られるものの、数字に表れていないのが現状だ。アウェイ2連戦を終え、2026年2月21日には北海道コンサドーレ札幌とのホーム開幕戦へ。サポーターに歓喜の瞬間を届けられるか。
文:田中 紘夢
KINGDOM パートナー
シュート4本にため息の指揮官
消極的で「すごくショック」
「今日はシュート何本ですか?」
0-2と完封負けを喫した第2節・ヴァンフォーレ甲府戦。藤本主税監督は試合後の記者会見で“逆質問”をすると、「4本」という回答を受けてため息をついた。

開幕節のジュビロ磐田戦は90分を終えて0-0で、PK戦の末に敗戦。相手陣地に押し込みながらも、ネットを揺らせなかった。それを踏まえて甲府戦に向けて、「点を取るため」の1週間を過ごしてきたが、磐田戦と比べてもゴールの匂いは薄かった。
会見中の指揮官は終始険しい表情で、声もかすれていた。司会者に「飲んでいいですか?」と確認し、手元に置いてあった水を口にする。ロッカールームで選手たちに厳しい言葉を吐いてきたのだろう。
「仕組みではない。もっと前に刺せるシーンだったり、前進できるチャンスは明らかにあった。それを選ばなかったことが俺はすごくショック」

攻めあぐねた証左は、シュート数以外にも表れている。ペナルティエリア進入回数は3回で、ゴール期待値(「あるシュートチャンスが得点に結びつく確率」を0~1の範囲で表した指標)は0.15。他会場と比較しても最も低かった。
「どういった形で点を取るにしても、相手陣地でプレーするしかない。より相手のゴールに近い位置でプレーする時間を増やしたい」と新加入のMF長谷川隼。“陣取り”こそが戦を制する近道だ。

KINGDOM パートナー
「そんなシーンは見たくない」
得点力アップへの“意識改革”を
無得点での連敗となったが、攻撃面は改善の兆しも見えている。
磐田戦は前半から左サイドを制圧。サイドハーフの近藤貴司とサイドバックの田中康介が、内側と外側を使い分けてスペースを共有する。新加入のセンターバック・附木雄也の好配球も相まって、何度も高い位置に進入した。

甲府戦は高強度のハイプレスに苦しみながらも、4-4-2の初期配置から可変して前進。3-2-5、2-3-5と前線に人数を増やし、バイタルエリアを活用して相手陣地へ。クロスに対して6人がなだれ込むなど、随所に厚みをもたらした。

――とはいえ、回数はまだまだ少ない。
「バイタル(エリア)に入って、人が前向きに湧き出ていくようなシーンもあったけど、それを多くできなかった。俺はバックパスしてGKまで下げるようなシーンは見たくないし、それが今日のゲームを表していると思った」

ロングボールも含めて相手陣地への進入経路は増えたが、前を向けるところで後ろに下がったり、クロスを上げられるタイミングを逃したり――。藤本監督は「マインド」という言葉を何度も口にし、獅子たちの消極性を嘆いた。
開幕から2試合はJ2勢が相手だった。「やっぱりゴール前のところはしっかり守ってくるし、しっかり決めてくるというのはすごく感じた」と指揮官。質で上回られるからこそ、まずは量をこなさなければならない。
そのための仕組みを整えつつ、マインドも入れ替えられるか。得点力アップに向けて“意識改革”が求められる。

J2札幌とのホーム開幕戦へ
再起のネイビーに袖を通して
チームは2月1日から静岡県で2次キャンプを張り、宿泊地からアウェイ2連戦に乗り込んだ。甲府戦を終えたのち、2週間ぶりに長野へ帰り、21日のホーム開幕戦に備えている。

今節の相手もJ2勢の北海道コンサドーレ札幌。攻撃的なアイデンティティを持つチームだが、裏返しとして昨季はリーグワースト2位の失点数を記録した。
今季は新たに川井健太監督を招へい。前節のRB大宮アルディージャ戦では2度のリードを生かせず、2-3と競り負けた。攻撃力は相変わらず高いものの、守備面でつけ入る隙はあるだろう。

川井監督は過去に愛媛FCとサガン鳥栖を率い、Jリーグ屈指の戦術家として知られる。愛媛で指導を受けたMF忽那喬司は「相手にしたら面倒くさいし、一緒のチームでやっても難しいくらい。自分たちは考えすぎたら先手を打たれる」と警戒する。
格上相手にも受け身にならず、自らアクションを起こせるか。キャプテンのMF藤川虎太朗は「綺麗で美しいサッカーかは分からないけど、より一層泥くさく、チャレンジャー精神を持ったサッカーが見せられると思っている」。

昨季から数えると7試合ゴールと勝利から遠ざかっており、誰もがその2つに飢えている。どんな形であれネットを揺らし、祝勝のラインダンスを踊りたい。
今季はユニフォームカラーがオレンジからネイビーに変わった。J3で20チーム中19位に終わった昨季から、夜明けを目指すための色。内に秘めたる橙魂を燃やしながら、南長野で再起への覚悟を示す。

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