ベールを脱いだ新戦力 スミス、フィリップ、マックレヴィンが示した存在感

SVリーグ男子の信州松本トライデンツに新たに加入した選手たちが、続々とベールを脱いでいる。2026年9月には、MBデイビッド・スミス、OPフィリップ・ジョン、MBマックレヴィン・ディアリス平の3選手が全体練習に合流。9月12、13日に行った富士通カワサキレッドスピリッツ(SVリーググロース)との練習試合では、それぞれが持ち味を存分に発揮した。今季開幕まで1カ月余。新戦力を加えたチームは、挑戦者としての姿勢を貫きながら準備を加速させている。

文:大枝 史

キレのある動きを見せたスミス
身体能力を超えたメンタリティ

8月8日に来日したデイビッド・スミスは、慎重にコンディション調整してきた成果を表現した。

9月13日のゲームでは、ブロック1枚で止めたり、鋭いサーブで相手を崩して5連続ブレイクにつなげたり。第3セットは高打点からアタックを叩き込んで最後の25点目を決めるなど、目を見張るようなプレーを連発した。

トーマス・ラーナー監督も「ちょうど良い負荷を身体にかけられて、大きなケガもなく終われたことは良かった」と納得の表情を浮かべる。

同じMBの安部翔大は「スミスは最初の一歩が大きいから、横にすごく速い。ブロックの手もずっと前に出ているし、横に流れながらもずっと(手を)残しているのがすごい」と感嘆の声を上げる。

それだけの活躍を見せながらも、安部は「全てにおいて高レベルだけれど、身体能力よりもメンタリティがすごいと思う。一緒にいてすごく勉強になる」と話す。

アウトサイドヒッター(OH)工藤有史と共にキャプテンに就任したスミス。「自分が知っていることや、自分が見えている景色をチームメイトにも共有したい。サーブやブロックといったプレー面での貢献と同じように、リーダーシップもチームに対する貢献の形だと思う」と力を込める。

身体能力は真似できなくても、考え方やシチュエーションごとの動き方は取り入れることはできる。世界の最前線で戦ってきたレジェンドの教えは、若い選手たちにとって得難い経験になる。

指揮官も「個人的にどうこうというよりも、チームとして全体が成長できればいい。デイビッドがMBだからOPの岸川や酒井にアプローチをかけないかと言ったらそんなことはない」と全幅の信頼を寄せる。

高さと賢さを備えたフィリップ
身体能力抜群のマックレヴィン

スミスと同じく9月13日の試合に出場したのが、ドイツ代表OPの25歳、フィリップ・ジョンだ。

205cmの高身長から繰り出されるアタックは迫力満点だが、フィリップは「単に力任せのプレーだけではなく、賢くて技術的なプレーが特長」と自信をのぞかせる。

指揮官とはドイツ代表だけではなく、ドイツ・ブンデスリーガのWWK Volleys Herrschingで23年からの2年間、共に戦ってきた経験がある。その当時から意識してきたことは、人間性やリーダーシップ。「取り組み始めた当初はあまり意識できていなかったけれど、今はそうした振る舞いが少しできていると思う」と話す。

実際に、練習に来ると毎回笑顔で「Hello」と声を掛けて握手を交わしていく。チームメイトも取材に訪れた記者も分け隔てない。

日本での生活は「毎日が冒険のよう」と表現し、買い物先で石鹸を見つけるために1時間もかかったエピソードも明かしたフィリップ。SVリーグへの挑戦も「個人的な目標は重要ではない。チームとしての目標を達成できれば、結果的に自分自身の目標も達成されたことになる」と、チームとしての成果を口にする。

9月12日の試合にはマックレヴィン・ディアリス平が出場。

高さのあるアタックと、相手をギリギリまで見て判断するブロックで存在感を放った。MB安原大も「練習でもブロックは一番輝いている」と舌を巻く。

マックレヴィンは高校生の時に母親がバレーボールをやっていたことをきっかけに競技を始めた。その母親の故郷の信州でプレーすることに「特別な意味を感じている。できるだけ長くここでプレーしたい」と話す。

同じアメリカのレジェンド、スミスに対しては「大学時代にコーチから『どのような選手になりたいか』と聞かれた時にデイビッド・スミス選手を挙げていた。一緒にプレーできることは素晴らしい機会だし、コート外でどう過ごしているのかも参考にしていきたい」と胸を躍らせる。

24歳と若く、抜群の身体能力を備えているマックレヴィンと41歳で豊富な経験を持つスミス。2人の共演がチームにどのような化学反応をもたらすのだろうか。

ミスの連発もポジティブ
挑戦者であり続ける準備

練習試合を公開した9月13日はセットカウント4-0(25-22、25-16、25-20、25-21)で勝利を収めたが、前日の練習試合はセットカウント2-3(25-15、21-25、25-16、19-25、22-25)で敗れた。

シンプルに表現すると、敗因は自分たちのミスによるものだ。サーブミスが続いてもハードサーブを試みてミスを重ねたり、アタックも強打を選択してアウトを連発したり。

しかしそれは、明確な変化とも言える。

指揮官は「ミスを減らすプレーから得るものは何もない。10対5でリードしていたら誰でも強いサーブを打てると思うが、18対20で負けている場面で堂々とプレーができるかどうか」と強調する。

スミスやフィリップが持つ、難しい場面でも堂々とプレーする姿勢は、まさにその手本となる。

練習から試合を想定して質を高めることを重視するように、あくまでも見据えるのは本番。プレッシャーが大きくかかる中で、100%の力を発揮することを選手に要求する。

指揮官をよく知るリベロ(L)松尾敬介も「もっと自信を持って決めにいかなければいけないと思う。難しい時こそ強気でいって、ミスしてもすぐに切り替えることがまだできていない」と話す。

あくまでも挑戦者であり続けること。どれだけプレッシャーがかかろうが、十全な力を発揮できるような準備を進めていく。それはきっと、昨季は取りこぼし続けた終盤の1点につながってくるだろう。

9月19、20日は、同じSVリーグ男子の東京グレートベアーズを相手に練習試合とプレシーズンマッチに臨む。

昨季はレギュラーシーズン6位でチャンピオンシップに進出した難敵を相手に、どこまで立ち向かえるか。リードを許した展開で、どれだけ強気のプレーができるか。勝負の結果だけではなく、選手たちの表情にも注目だ。


クラブ公式サイト
https://vcnagano.jp/
SVリーグ チーム紹介ページ
https://www.svleague.jp/ja/sv_men/team/detail/461

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