富山との大一番は痛み分け 黄色に染まるホーム最終戦で示すべき勇姿

東地区3位の信州ブレイブウォリアーズと富山グラウジーズ(同2位)の直接対決は1勝1敗で幕を閉じた。2025年4月5-6日、富山県総合体育センター。プレーオフ(PO)の準々決勝をホームで開催するためにも負けられない直接対決だったが、痛み分けに終わった。GAME1は80-67、GAME2は86-95で、両日ともPOさながらの熱量。大一番の舞台で出た課題を踏まえ、4月12-13日のホーム最終戦を展望する。

文:芋川 史貴/編集:大枝 令

50-50ボールの執着が明暗分ける
我慢して勝利を手にしたGAME1

アウェイにも関わらず信州サイドにはチームカラーの黄色を身に纏ったブースターたちが集まり、2日間声援を送り続けた。

その応援にはいつも以上の熱気。この2日間がヤマ場――という共通認識が、そこにはあった。

もちろん選手たちも危機感を持って臨んだゲームだった。

80-67と勝利を収めたGAME1。前半こそ50-50ボールへの反応が遅れるシーンも多く見受けられたが、第3クォーター(Q)2分21秒のタイムアウトで流れが変わった。

ペリン・ビュフォードのアタックやエリエット・ドンリーの外角のシュートが連続でヒット。第4Qに入っても流れは渡さない。

ウェイン・マーシャルの3ポイントシュートやビュフォードの連続得点、狩野富成の豪快なダンクで信州ブースターを沸かせた。

ディフェンスもチーム全体で守り、失点はわずか「12」。オフェンス力に定評のある富山に対して、信州も強みであるディフェンスをいかんなく発揮した。

勝久マイケル・ヘッドコーチ(HC)が試合を振り返る。

「とても大事なゲーム。前半はフラストレーションが溜まることも多くある内容だったけれど、選手たちは我慢をして、後半少しずつP(ビュフォード)を筆頭に流れをこっちに持ってくることができた」

この日4本の3ポイントを含む18得点を記録したドンリーも、納得の表情をのぞかせる。

「50-50ボールは自分でもコントロールできることなので、シュートとか関係なく、『ハッスルプレーは皆んなでちゃんとやらなければ負ける』っていう気持ちでやっていた」と勝利の要因を語った。

強力な3ビッグを前に守備が瓦解
勝負どころのメンタル面に課題か

ただ、本当の勝負はGAME2――と言っても過言ではなかった。

その理由は2つ。

GAME1を欠場していた富山のスコアラーであるトーマス・ケネディが復帰すること。そしてGAME1の敗戦から立ち上がる富山に対して、アウェイでそれを上回ることが必要だったからだ。

4月3日。
練習後の取材に対し、石川海斗はGAME2の重要性を言及していた。

「チームとしてずっと日曜日(GAME2)には良いプレーを続けられていない。そこが僕らの課題ではあると思うし、それを試す場でもあると思っている」

その試金石となるべき一戦。しかし結果は86-95で敗れた。

試合開始早々にケネディが2連続で3ポイントシュートを成功させると、富山の激しいプレッシャーに対してターンオーバー。そこからアーロン・ホワイトにも得点を許す。

第1Q開始わずか1分でタイムアウトを要求。意気込みとは裏腹に出はなをくじかれる展開となった。

「富山さんも昨日(5日のGAME1)の敗戦があって全体にギアを上げてくることは分かっていたけれど、案の定、前半1〜2分の展開が最後まで試合の展開につながったんじゃないかなと思うぐらい、富山さんは素晴らしいバスケットをした」

「逆に僕らは相手のディフェンスの圧力に対して、もらいたいところでもらえないとか、やりたいことがやれない時に一人一人がストレスを溜めてしまう。そこで同じ方向を向いていない時間帯が前半は長く続いてしまった」

そう振り返る三ツ井利也。なぜそうなったのか――という要因については、「完全にチームのメンタルの弱さ」と肩を落とした。

確かに富山は、状況に応じて多彩なディフェンスを仕掛けてきた。

3-2のゾーンや2-3のゾーン、オールコートでのプレッシャー、マンツーマン。石川やビュフォードらボールをコントロールする選手にはすぐにプレッシャーをかけにいき、攻撃のテンポを狂わされた場面もあった。

勝久HCも、その部分について言及する。

「スタートの(渡邉)飛勇、(狩野)トヨのラインナップに対して相手はたくさんヒットしてきた。Pからボールを離させて周りをプレーメーカーにさせることに成功し、我々はターンオーバーなどがあった」

「ポゼッションだけでなく、我々のピック・アンド・ロールゲームのファンダメンタルでも遂行できなかった。チームでクリエイトするというよりは、ディフェンスをはがせなくてタフショットになった場面もあった」

それでも肉薄はしたし、逆転の気配も感じさせはした。

第4Qには良いディフェンスから流れをつかみ、何度も富山を捉えかける時間帯も。それでも富山のオフェンスに上回られた。

ホワイトに24得点、ミッチェル・ワットに30得点、ケネディには3ポイントシュート4本を含む22得点――。良い守りを遂行したにも関わらず、決められてしまう場面も多くあった。

「詰め寄ったときにイージーなミスが起こったり、我々のハーフコートのディエンスのルールを最後まで我慢強くというよりは、そこでもイージーなミスがあったり。それが今の自分たちのいる場所」と指揮官。

相手のシュートがどんなに入ろうと、徹底しなければいけないチームルールの数々。逆境こそ団結すること、アウェイの雰囲気にのみ込まれずに遂行するメンタルを備えること。こうした成長はPOを勝ち抜くためにも必須だろう。

実際、三ツ井もその必要性を口にする。

「チーム全体で固まって我慢する時間帯をしっかり作れるかは、シーズン終盤とPOを戦うにつれて一番大事だと思っている。どれだけPOをイメージして戦えるかが大切」

POホーム開催に一縷の望みも
ホーム最終節で示す成長と感謝

富山との直接対決を終え、信州は35勝21敗で東地区の3位。2位の富山は36勝20敗となっており、ゲーム差は「1」のまま変わっていない。

それでもまだ、POホーム開催の望みが完全に消滅したわけではない。

それをつかむためにも、まずは自分たちがありったけ白星をかき集めねば始まらない。次節のホーム最終戦では、今節までの課題を克服しながら青森ワッツに2連勝をつかみたい。

レギュラーシーズンは残り4試合。全60戦を終えてプレーオフがアウェイ開催のみとなることも想定され、その場合は次節が今季ホームのラストゲームとなる。

また三ツ井もここまでのシーズンを振り返りつつ、紺と黄色の後押しに感謝する。

「レギュラーシーズンは本当につらい時もあったけれど、ホーム最終戦をしっかり勝ち切ることで、ホーム30試合をともに戦ってきたファンの皆さんへの恩返しになる試合にしたい」

「また、プレーオフに向けて期待を持ってもらえるようなゲームをしたい。今日(6日のGAME2)の前半のようにならないように最初からスイッチを入れて戦えるように頑張りたい」と意気込みを語った。

この最終局面でも選手たちが求められているのは、当初と変わらず「日々成長」に他ならない。チームとしての成長はもちろん、終盤戦になれば個々の選手に対するスカウティングも厳しくなる。

気持ちで相手を上回るのはもちろん、データをも上回ることも必要。それは昨日までの自分を、1日ずつ塗り替えていく営みでもある。

レギュラーシーズンのホーム最終戦。4月12-13日の各日とも先着5,000人対象のTシャツプレゼントが企画されており、ホワイトリングは黄色に染まる。そこで感謝を示すためにも、成長を証明して連勝をつかむ。


ホームゲーム情報(4月12-13日、青森ワッツ戦)
https://www.b-warriors.net/lp/game_20250412_20250413/
クラブ公式サイト
https://www.b-warriors.net/

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