100点ゲームで有終の3位 “BRAVE WARRIORS”が示した唯一無二の勇姿

「信州」の名を冠するにふさわしい勇壮な戦士として、シーズンを締めくくった。2025年5月19日、B2プレーオフ(PO)3位決定戦GAME3。正真正銘シーズンのラストゲームで、アウェイの信州ブレイブウォリアーズがライジングゼファー福岡を101-94で破って3位の座を射止めた。B1昇格はならずとも、死闘を制して有終の美。試合終了と同時に、ブースターからは笑顔と涙があふれた。

文:芋川 史貴/編集:大枝 令

全力を尽くす姿にブースターは涙
その戦いぶりにホーム側もエール

試合終了と、シーズンの終幕を告げるブザー。
101点を叩き出した勇士たちは、安堵の表情とともにその瞬間を迎えた。

大きく喜びを爆発させるわけではない。全てを出し切った表情で、ハグやハイタッチをゆっくりと交わしてお互いを讃え合った。

B2で3位。
もちろんこれが求めていた結果ではない。

それでも、選手たちは「お客さんのために」と勇姿を見せた。胸を打たれた会場中からは拍手。福岡のブースターからも自然と“Let’s go WARRIORS”のコールが湧き起こった。

月曜日のナイトゲーム。現地にも10人ほどのブースターが駆け付け、まるで画面前のブースターの思いも背負っているかのように、声援を会場中に届けた。

試合後、X(旧Twitter)には多くの信州ブースターらがコメントを投稿する。

「試合の途中から涙止まらない」
「頑張ってくれた選手に感謝しかない」
「直接おめでとうやありがとうを伝えたい」

多くの祝福コメントがあふれた。

勝久マイケル・ヘッドコーチ(HC)。そんな戦いぶりを示した選手たちを手放しで讃え、ブースターへの感謝を口にした。

「応援してくださる方々のためにしっかり戦ったからこそ、こういう最後までわからないゲームになった。そういうプロ意識で戦った選手たちを誇りに思う」

「月曜日だけれど最後まで福岡に残って応援してくださったブースターさんをはじめ、信州のブースターのみなさんに『1シーズン本当にありがとうございました』と伝えたい」

最後まで示した“日々成長”の姿勢
8人ロスターで戦い100点ゲーム

チームはこの3連戦でも成長を見せていた。

17日のGAME1では勝利したものの、終盤に強度を上げてきた福岡のディフェンスに対してターンオーバーが増加。試合を通して19本を記録した。

GAME2ではディフェンスやハーフコートオフェンスでもエラーが発生し、リズム良く試合を組み立てられない時間も続いた。

しかし、どうだ。
GAME3ではそのどちらも、見事に修正してみせた。

疲労困憊、満身創痍――。
そんな言葉では到底収まりきらないほどの、極限状況の中でだ。

特に福岡が勝負どころで仕掛けてきたオールコートプレスに対するプレッシャーリリース。チームとして落ち着いて攻略し、得点に繋げていた。

ディフェンスでもチーム全体で身体を張って守り、そこからファストブレイクポイント。GAME2の3得点から15得点に増加するなど信州の色が光った。

全ての選手が得点。さらにゲームメイクやディフェンス、ブロックなどさまざまな局面で、各自の役割を意識高く遂行した。

最後の最後まで“日々成長”を止めないスピリットを、最終戦のコートに置いてきた。しかも、前日に引き続き8人のロスターでだ。

100得点を超えたゲームで、内容も100 点満点と言えるかもしれない――。

そんな質の高いゲームを見事に完遂した選手たち。勝久HCは目を細めてそのプレーを振り返る。自慢の子どもを褒めるかのように。

「この3日間の中で、しっかりと翌日により良いプレーができるように1試合1試合反省して、遂行力もメンタリティも次の日は良くしようとしてきたことが、今日のシュートパーセンテージに表れたと思う」

「成長もそうだし、今日バウンスバックしようと思っていた選手たちもそうだし、39歳のウェイン(マーシャル)や(石川)海斗もそうだったし、みんな本当に誇らしい」

三ツ井利也も、有終の美を噛み締める。

「昨日悔しい負けがあって、本当にかなり限界だったと思うけど、それでも最後の最後までチームとして一つになって戦い抜けたのは本当に大きかった」

紆余曲折の中で歩んだプロセス
68試合の長い旅にピリオド打つ

ラストバトルで、文字通りの集大成を示した信州。今季もチームの大半が入れ替わり、カルチャーを浸透させることに時間を要した。ケガの影響で思うようにチーム作りが進まない時期もあった。

それでも選手たちはがむしゃらに着実に、日々成長を続けた。たとえ昇格の懸からない3位決定戦でも、プロ選手としての矜持を示した。

20得点10アシストのダブルダブルで締めくくった石川。「心情的に難しいゲームの中で一人一人が最後までステップアップしようとした結果として、勝って終わる姿を見せることができたのは良かった」と思いを口にする。

指揮官もシーズンを振り返り、紆余曲折の中でも歩みを止めなかった選手たちの取り組みを評価。「選手たちはどういう状況でも成長し続けようと頑張ろうとやってきた。今日の試合がそれを象徴していた」と振り返った。

B1への昇格はできなかった。

それでも魂を震わせたこの日の勇姿は決して、空疎な偶像などではない。バスケットボールの面白さ、信州ブレイブウォリアーズの頼もしさが凝縮された40分間だった。

この試合で2024-25シーズンは終了。
それは同時に、新たな始まりを意味する。

来季のチーム編成や勝久HCの去就などは今後明らかになっていく。ただ、来季もこの感動と悔しさを胸に何度でも立ち上がる。それが“BRAVE WARRIORS”の矜持だ。

“Let’s go WARRIORS”
“WE ARE WARRIORS”

――またコートで会える、その日まで。


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