[問:61] “点P”ことペリン・ビュフォードが点Vを目指すとき、信州の加速度を求めよ

しなやかで獰猛な“バスケットの化身”がトップギアに入れた。信州ブレイブウォリアーズのペリン・ビュフォード。2022−23年と23-24年には連続でB1得点王&ベストファイブに輝き、今季電撃的に加入した31歳だ。新天地に少しずつ馴染み、今はチームの一員としてその能力をいかんなく発揮する。2025年5月3日に始まるB2プレーオフに向け、“P”が満を持して報道陣の前に姿を現した。
文:芋川 史貴/編集:大枝 令
心身ともに状態は”Feel good”
ビュフォードの真価発揮へ
「俺は準備ができている」――。
落ち着いた表情と声色で、ペリン・ビュフォードはPOへの意気込みを語る。

B1島根スサノオマジックから電撃加入した今季。チームメイトでさえ、“寝耳に水”の一報だった。
どんな体勢でも決め切るシュート力、会場を沸かせるスラムダンク。華麗なアシスト。時にはゲームメイクもするし、仲間と激しく意見を交わす。胸ぐらだってつかむ。
勝久マイケルHCの表現を借りるなら、“Versatile”かつ“Competitive”。エネルギーあふれるプレーや振る舞いが、観る者に鮮烈な印象を与える選手だ。
チーム内では“P”の愛称で親しまれ、笑顔でチームメイトと話す姿もうかがえる。

今季は新しい環境での挑戦やケガの影響もあり、100%のコンディションでシーズンを過ごせなかったかもしれない。
それでもレギュラーシーズン(RS)では4度のトリプルダブルを記録。チームとの連係や自身のパフォーマンスもシーズンの終盤になるにつれてみるみる向上してきた。
「シーズンの最初よりもチームのケミストリーは上がってきていると思う。自分のプレースタイルを周りは理解してくれていると思うし、周りのスタイルも自分は理解しているから、その中でケミストリーが作られている」

心身のコンディションに関しても、「POに向けて良い状態になっていると思う。自分にはやらなきゃいけないことがあるので、それに向けた準備はできている」。自らの役割を承知しており、気迫は十分だ。
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勝者のメンタリティを注入
「感情を見せることも大事」
1年ぶりにポストシーズンを戦うビュフォード。そこがどのような場所であるのかは、知っている。
島根では2度のチャンピオンシップ(CS)に出場した。優勝こそ逃しているものの、2022-23シーズンのアルバルク東京とのクオーターファイナル(QF)では3試合連続でトリプルダブルを記録した。

大舞台での経験も豊富。だからこそ、何が必要なのかも血肉に溶けている。
「相手のスカウティングに対して自分たちの役割をしっかりと果たして最善を尽くすことや、細部にこだわって競争に臨むこと」
「そして自分たちの感情をコントロールするだけでなく、感情を見せることも大事だと思っている」

百戦錬磨の31歳は、勝者のメンタリティーについてそう語る。「感情のコントロール」は、RS最終戦のアルティーリ千葉との対戦で課題となった部分でもある。
当然、生半可な気持ちではPOを戦い抜くのは到底不可能。だからこそ感情をコントロールしつつも、一人一人が高いエナジーを表現しながらチーム一丸で挑むことが重要だ。

感情のコントロールには、ヘアバンドも一役買っているという。ビュフォードは試合中、ヘアバンドを取ることがある。
「僕はとても感情的な人間だから、良いときも悪いときも感情を込めてプレーすることが好きなんだ。フラストレーションが溜まったときなんかはヘアバンドを外すけど、そうすることで気持ちを発散している」
「感情を押し込めないで、その時の感情をエネルギーに変えて次に進むようにしている」

B1復帰&B2優勝への一里塚
「6人目の選手」とともに戦う
5月3日から始まる鹿児島レブナイズとの決戦。チームは信州の地を離れ、遠く鹿児島へ飛び立つ。
「自分は戦う準備ができている。相手のGM(篠原滋GM)は島根時代から知っているので、ボイスメッセージで『俺は行くぞ』と伝えた」
「コートの中でコンディションを上げたり、自分の力を発揮する準備はできている」
そう話すビュフォード。淡々とした語り口調の中にも、自然と熱がこもる。

「B1復帰、B2優勝」を勝ち取るための戦い。RSよりもさらにフィジカルで、さらにエナジーあふれる戦いとなるだろう。40分間の中には、良い時間帯も悪い時間帯も必ずある。
昨季に味わった悔しさも、今季60試合分の積み上げも、決してムダではない。それらの経験を胸に、応援を力にも変えながら、本土最南端の地から2つの白星をつかみ取って帰る覚悟だ。

ビュフォードは最後に、ブースターへの思いを口にした。
「画面越しに見る方も、会場に来てくれるブースターの方にも本当に感謝している。みなさんは6人目の選手のように思っている」
「会場に来る方にはすごく大きい声で応援していただきたいし、自分たちにはみなさんの力が必要だ」

信州の空気と水に慣れ、紺と黄色に魂を染め、ブースターとともに戦う背番号2。勝利を希求するあくなきパッションがコートで表現されるとき、信州の熱量は無限大に加速する。
Q.E.D.
クラブ公式サイト
https://www.b-warriors.net/
りそなグループB.LEAGUE 2024-25ポストシーズン特設サイト
https://www.bleague.jp/postseason/2024-25/
B2プレーオフQUARTER FINALS(鹿児島レブナイズ)
https://www.rebnise.jp/lp/game_20250503_20250505/