“Let’s go WARRIORS”の思いを集結するも惜敗 勝負の行方はGAME3へ

福岡の地でB2プレーオフ(PO)3位決定戦を戦っている信州ブレイブウォリアーズ。2025年5月17日のGAME1では勝利を収めたものの、18日のGAME2はライジングゼファー福岡に65-68で敗れた。互いに満身創痍の中でも負けられない気持ちが激しくぶつかったGAME2。ラストバトルの決着はGAME3へと持ち越された。
文:芋川 史貴/編集:大枝 令
新たな組み合わせで連係ミスも
修正して勝利につなげられるか
限られたメンバーで挑んでいるPO。
そんな信州に不安なニュースが飛び込んだ。
栗原ルイスがGAME1での負傷により欠場――。

これにより、ロスター8人で試合に挑むこととなった。経験豊富なベテラン5人と、日に日に成長を遂げている若手3人の組み合わせ。前日ヒーローとなった小玉大智のように、若手を含めて全員のステップアップが必要な試合となった。

そういう意識からなのだろう。GAME1よりも熱のこもったアップを行い、集中した状態でゲームに臨んだ。
3位決定戦をめぐっては賛否含めてさまざまな意見があがっている。それはそれとしても、選手たちは己のプライドと応援をしてくれるブースターのために全力で挑んでいく。

勝久マイケル・ヘッドコーチ(HC)もどのような状況であれ、勝ち筋を導き出す。レギュラーシーズンとは異なる選手起用をしつつも、チームとして大切にするコンセプトは何一つ変わらない。

信州の外国籍選手はウェイン・マーシャルのみ。それでもチームで必死にリバウンドへ飛び込み、ディフェンスでも身体を張る。
ただ、勝負どころのディフェンスでエラーが発生したり、スムーズにオフェンスを組み立てることができない場面も。勝久HCが手を大きく広げて「何をしている?」というジェスチャーも散見された。

「今日のような競った試合を取るためには、カジュアルになってしまったポゼッションや、遂行しなかったポゼッションは命取りになるし、ディフェンス面でも一つ一つのミスが命取りになる」
「シュートの入る入らないなどもあるけれど、何よりもコントロールできるはずのミスをなくして40分遂行できるようにしていきたい」
試合後にはそう課題を口にした。
19得点8リバウンド9アシストと躍動した石川も、肩を落とした。

「福岡さんの『ホームで2連敗して終われない』という気持ちに対して、全員だけどシーズンずっと言われている集中力やエナジーが最初から足りなかった。それは人数がどうであれ、僕らはこのメンバーで戦わなきゃいけない」
PO期間で示した若手の成長
鋭く切り裂く山崎のドライブ
負けたとはいえ、ベテランの活躍に加えて若手の成長にも目を見張るPOのシーズン。セミファイナルGAME2では狩野富成のファイトが見られ、3位決定戦GAME1では小玉がキャリアハイを更新した。

そしてこの日は山崎玲緒が今季最長の27分6秒のプレータイムを獲得。ミスはありながらも、持ち前のスピードを生かしたドライブで得点を重ねる。7得点5アシストを記録した。

試合前の取材に際しては、「今まで出られなかった悔しい気持ちも見せられるように」と語っていた山崎。まさにその思いを体現するプレーの数々だった。

同じポジションの石川も「今日は玲緒が頑張ってくれた。そういうのも含めてチームとして全員で最後まで成長をし続けて、最後チームで勝って終わろうという話は試合後にした」と若手の成長を喜んだ。
68試合目の結末はいかに
日々成長の集大成をいまここで
68試合の長い旅は、19日のGAME3でついに終焉を迎える。体力も精神力も試されるタフな一戦で、泣いても笑っても今季のチームにとっての最終戦となる。

勝久HCは勝利を誓う。
「疲労は溜まっているし大変な状況だし、なんとか今日で終わりたかった。けれどバスケットボールができることに感謝して、このチームでラスト1回戦えることを逆にありがたく思っていきたい」
「もうこれ以上はないし、今度こそラスト。本当に力をみんなで振り絞って、あるものを全て出し切っていくという気持ちにはなれると思う。最後の最後なのでチームで頑張りたい」

石川も同じく、意気込みを示す。
「骨折でも一日しか休めないぐらいの環境で僕自身は育ってきたから、どういう状況でもプレーできると思っているし、今いるメンバーがすごく頑張ってくれている」
「みんなが穴を埋めようと頑張っている。だからこそ勝って終わりたい。 どういう状況であれ、僕は明日40分プレーする準備をしているし、ケガはあまり関係ない」

この日の会場に訪れた信州ブースターも、最後まで選手を後押しした。GAME1よりも大きな声で声援を送り、相手のフリースロー時には「レッツゴーウォリアーズ」と叫び5点分を落とさせた。
パブリックビューイングが開かれているホワイトリングでも、黄色の渦は唸りを上げ、福岡の地まで届いたはずだ。

2025年5月19日、正真正銘のラストゲーム。
どんなドラマが待っているかは今はわからない。
それでも「応援して良かった」と思えるプレーを選手たちは届けてくれるはずだ。

今シーズン歩んできた68試合の結末は勝利の笑顔か、はたまた涙か――。たとえ少ない人数でも試練に立ち向かっていく選手たちの勇姿を、最後まで見届けていく。