個性あふれる4人が織りなすチームワーク 男子SC軽井沢クラブの素顔に迫る

2025年12月6〜12日にカナダで行われるカーリングのミラノ・コルティナダンペッツォ五輪世界最終予選に挑む男子SC軽井沢クラブ。日本代表決定戦を制し、日本代表としてパンコンチネンタル選手権(PCCC)でも銅メダルを獲得した4人は、実はそれぞれ個性豊かなキャラクターの持ち主だ。チームメイト同士が語る、普段は見えない選手たちの素顔をのぞいてみよう。
文:大枝 令
KINGDOM パートナー
“几帳面”職人肌のリード小泉聡
何事もコツコツと積み上げる
「細かい」「几帳面」――。チームメイトから口をそろえてそう言われるのが、リード(第1投者)の小泉聡(こいずみ・さとし)だ。14年間カーリングに取り組んできた彼は、地道な練習を得意とする。山口剛史は「小さいことも結構気にしてくれていて、チームがちょっと元気がない時に盛り上げてくれる」と評する。
ソフトテニス経験者で、練習を1人で続けても苦にしないタイプ。「リードというポジションで何もないところに置く空間把握能力的なものは、コツコツ練習をするのが好きな自分にとってはすごくいい。1人でも練習できることなので、ちょうど合っているポジション」と本人も語る。

ただマジメ一辺倒かと思いきや、意外な一面も。チームの車での移動中は毎回「イントロクイズ」の出題係を担当。最新のヒット曲から90年代まで幅広くダウンロードして準備する気配りの人でもある。
ガードやハウスの中に回り込む「カムアラウンド」などのショットはリードで投げる機会が多く、置く場所には非常に繊細なこだわりを持つ。
「『リードは職人』とよく日本人は言うけれど、本当に職人さんとしてやってくれる」。山口は信頼を寄せる。
KINGDOM パートナー
最年少19歳のセカンド山本遵
おおらかでカラオケ好きの一面も
最年少19歳の山本遵(やまもと・たける/セカンド)は、小泉とは正反対の「おおらか」キャラ。遠征でのホテル生活では、相部屋でもマイペースだという。同部屋になることの多い小泉が明かす。
「家族以外の人と一緒に生活することが今までなかったからだと思うけど、チーム加入当初は一緒にいる空間を自分の部屋のように音楽を流したり歌ったり、ベッドの周りが散らかっていたり」と苦笑い。ただ、それがいいアクセントになって笑いも生まれるのだという。

プレースタイルとしては、弾き出すショットを得意とする。山口によると「本当にいいものを投げたい…というか、自分の最高を常に目指しているタイプ」。海外の選手にも劣らない負けん気の強さを発揮する。
高校生の頃の世界選手権でのエピソードも興味深い。学校から出された「外国選手と交流する」という宿題のため、自分でノルウェーの代表チームに話しかけに行って英語で会話をするやり取りしていた。
カラオケが大好きな山本は「みんなで行こう」としきりに誘うが、山口はカラオケが苦手。そこでチームルールとして「大会で優勝したらカラオケに行く」ことに。優勝への意欲も高まるという、一石二鳥の作戦だ。
情熱ほとばしるサード山口剛史
勝負どころのメンタルも克服へ
「みんなに負けないくらいカーリングが好き」と自負する山口剛史(やまぐち・つよし/サード)。不惑を迎えた40歳の最年長として、言葉だけでなく行動でもチームを牽引する。
ナショナルコーチのボブ・アーセルに、苦手な英語でどんどん話しかけて勉強する姿は日常茶飯事。カーリングに関係することは惜しみなく情熱を注ぎ、その情報をチームで共有する。「言葉だけでなく、『これだけやった方がうまくなるよ』とか、そういうのを見せてみんなに刺激を与えた方がいいと思う」と本人も語る。

ただプレー中は顔に感情が出やすく、「また顔に出たよ」とほかの3人で話されることもしばしば。実は「メンタルがめちゃくちゃ弱い」と自認しており、腕時計で測った心拍数データによると、日本代表決定戦の初日の2試合は心拍が150を記録していたという。
ただ、もちろん克服を期している。
「緊張するパターンは、未来のことや過去のことをすごく考えすぎて、『この試合負けちゃったら日本代表になれない』とか、『またミスしたらどうしよう』とかを考えてしまう。なるべく今やることに全力を注ごう、全力投球しようと意識するようにしている」
明朗快活な性格で、山本とは親子ほど年齢差があるにも関わらず仲が良い。「若者の文化をどんどん取り入れようという感じで、音楽なども含めて楽しそうにやっている」と小泉。チームとして「楽しく」というスタンスを率先して実行している。
ゲームの天才・フォース栁澤李空
勝利を引き寄せる“ストライカー”
「テレビゲームをやっている感覚でカーリングをやっている」と山口が表現する栁澤李空(やなぎさわ・りく/フォース)。プレッシャーがかかる場面でも「ただブラシに向かって速さのことを考えているだけだから、『これが決まって勝つ』とか『これが失敗して負ける』とかを考えていない」と、究極にシンプルな思考でプレーする。
山口はさらに詳しく分析する。
「本当にプレー中も緊張しない。こちらからしてみればすごくプレッシャーがかかる場面でも、栁澤は全然そういう感じがない。『ただ投げることに集中している』ということを言って、すごくシンプルにやっていると思う」

多彩な才能の持ち主。ピアノを弾くし、ゲーム全般が得意。特に「太鼓の達人」はかなりの腕前で、最高難易度の曲もほぼミスなくクリアするという。メンバー同士で遊ぶポーカーも攻めるタイプで、それはカーリングのスタイルにも似ているという。
サッカー漫画「ブルーロック」の大ファンで、「エゴイストになりたい」が口癖。「チームが全然ダメでも最後の自分の2投で2点取るとか、『全部勝ちに繋げたい』という理想論があるらしい」と山口。自分のショットが直接得点になる場面が多いフォースは、ストライカー的な役割でもある。
山口は「感覚が鋭く本当にセンスがあって、世界の数人に入れるくらいのフォースになれる」と将来性を高く評価。「どういう成長をしていくのか楽しみ」と期待を寄せる。
本気のパークゴルフで強まる絆
「楽しむ」スタンスで一致団結
チームの仲の良さを象徴するのが、遠征中のパークゴルフだ。練習の合間を縫って何度も出かけ、「絶対に意地を見せてやる」と全員が本気で競い合う。
ゴルフ経験者の山口が圧倒的に有利かと思いきや、今年は小泉が1位を取った試合も。「そのくらいみんなで白熱して集中してできて楽しんでやれるというのが、パークゴルフでもカーリングでもできている」と小泉は語る。
「何事にも全力で楽しめる」
これが男子SC軽井沢クラブの最大の魅力だ。几帳面な職人、おおらかなムードメーカー、熱血漢のリーダー、冷静な天才肌。一見バラバラな4人が、カーリングへの愛と「楽しむ」という共通項でしっかりとつながっている。
12月の世界最終予選、そしてその先のミラノ・コルティナダンペッツォ五輪へ――。個性豊かな4人が織りなすハーモニーが、世界の舞台でどんな音色を奏でるのだろうか。























