「ロス五輪代表選手になりたい」トビンマーカス海舟が描く信州での青写真

試合後のセレモニーで「woooo!(フォー!)」と叫び、ファンとの一体感を作り出す――。バスケットボールBプレミアの信州ブレイブウォリアーズに加入したトビンマーカス海舟は、そんな“エナジーガイ”だ。昨季はB2福井ブローウィンズに所属し、プレーオフ(PO)を含めて信州と何度も対戦してきた。ニュージーランド代表ヘッドコーチ(HC)のジャッド・フラベルHCが指揮を取る信州でのプレーを希望して移籍を決断。Bプレミアでの活躍と、日本代表として2028年ロサンゼルス五輪出場を目指し、新たな挑戦を始める。
文:芋川 史貴
KINGDOM パートナー
合流初日から明るさ満点
新風吹かす“エナジーガイ”
「おつかれさまー!」
2026年7月16日、トビンマーカス海舟は体育館に入る時に大きな声であいさつし、チームメイトと初対面した。

千葉ジェッツ(千葉J)時代、試合後のセレモニーで「woooo!(フォー!)」と叫んで会場を盛り上げていたマーカス。クラブによる加入リリースに寄せたコメント「フォー兄さんと呼んでもいいよ」も話題を呼んだ。
そこにいるだけで周囲を明るくする魅力を秘めるマーカス。チームへの合流初日からチームメイトと明るく接し、笑顔を見せていた。

一方、練習が始まれば真剣モード。明るいエネルギーを発しながら、新加入の加藤ダニエルと一緒に約1時間、高強度の練習で汗を流した。
「(久しぶりの練習は)楽しかった。途中疲れたけれど、最高だった」
信州ブレイブウォリアーズが福井ブローウィンズと対決した昨季のプレーオフ(PO)クォーターファイナルでは、タフショットをねじ込んだり、ルーズボールも果敢に飛び込んだりと、泥くさくチームを救うプレーが印象的だった。

「もちろん得点力も欲しているが、一番はチームが勝つためにどういうプレーが大事か探して、みんなをお手伝いできる選手になりたい。良いスクリーンをかけて、ポイントガードがもっと簡単に仕事ができる。『僕に任せて』と言える選手になりたい」
PROFILE
トビン マーカス海舟( Marcus Kaishu Tobin)2001年3月7日生まれ、アメリカ合衆国出身。バスケットボールを始める前には様々なスポーツを試し、アメリカンフットボールも3年ほど経験した。アメリカ海軍でバスケットボールをやっていた父の姿や、NBA選手だったコービー・ブライアントから影響を受けて競技を本格的に始める。「フォー兄さん」の愛称で親しまれ、コートに入るだけで周囲を笑顔にする明るさの持ち主。198cm、93キロ。
KINGDOM パートナー
NZ代表コーチの下で成長を
ロス五輪日本代表を目指して
「僕は日本代表になりたくて、2028年のロサンゼルス(五輪代表)のチームに入ることを目指している」
この先の目標について、マーカスは言葉に力を込める。

「代表に入るためには、いろんなポジションを守れる選手にならないといけないし、オフェンスでもスイスアーミーナイフ(非常に万能で多才)にならないといけない。シュートも成長しないといけないし、ディフェンスでもみんなをサポートできる選手になりたい」
今季から信州の指揮を執るジャッド・フラベルHCは、長年ニュージーランド男子代表でコーチ経験を積み、2024年からはヘッドコーチを務めている。そのこともマーカスは「移籍の決め手」と話す。

昨シーズンのオフ、『B.LEAGUE GLOBAL INVITATIONAL 2025』にB.LEAGUE UNITED(Bリーグ選抜)として出場。NBL SELECT(オーストラリアリーグ選抜)と対戦し、NBLのスタイルを肌で感じた。
「ジャッドさんもオーストラリアやニュージーランドでのバスケ経験を持っているから、NBLのようなスタイルには慣れているのかなと思っている。僕は外国人ビッグマンよりサイズは小さいけれど、クイックネスを持っている。ジャッドさんがドレイモンド・グリーン(NBA/ゴールデンステイト・ウォリアーズ)のような、小さいけれど何でもできる選手を探していた。(フラベルHCが目指すスタイルと)合うかなと思って選んだ」
「ファンのため、自分のため」
ファンサービスに込める思い
「みんなのことをサポートしたい」「チームメイトを引っ張っていきたい」など、マーカスの言葉からは周囲を思いやる気持ちが伝わってくる。
試合では応援に駆けつけたファンに笑顔で手を振り、コミュニケーションを取っている姿も印象的だ。

「もちろんバスケは楽しいし、勝ったり大活躍したりするのはすごくうれしい。だけど、優勝しても死んだ時にMVPトロフィーとかは天国には持っていけない。だから他の人たち、一人一人が大事だと思う」
昨季、信州とのレギュラーシーズン最終戦に臨んだ際に、マーカスが試合会場で口にした言葉だ。
「(見に来てくれた人たちが)落ち込んでいる時に、僕が手を振って笑顔になってくれたらすごくうれしい。逆に僕が悪い時は切り替えるためにファンサービスをもっとする。ファンのためでもあるし、僕のためでもある。一人でも笑顔にできたら『なんか良いことした』という気持ちになる」

このマインドがあるからこそ、ファンを大切にするのはもちろん、チームメイトを思う気持ちが溢れているのだろう。
チームへの合流初日の練習が終わった後も、マーカスはコーチ陣と話し込んだり、ベテランの古川孝敏にシュートフォームについて質問したりとコミュニケーションを重ねていた。
自分自身の明るさや周囲を巻き込むコミュニケーション能力を成長につなげようとする意欲も、マーカスの魅力だ。

大きな目標に向かって新天地での活動を始めたマーカスの動向から目が離せない。
信州ブレイブウォリアーズ 公式サイト
https://www.b-warriors.net/



















