日本人として世界へ 加藤ダニエルが信州で貫く“侍スピリッツ”

「日本人として世界と戦いたい」――。バスケットボールBプレミアの信州ブレイブウォリアーズに新加入した加藤ダニエル。日本人の父とウクライナ人の母の間に生まれた身長204cmのビッグマンは、父から受け継いだ“侍スピリッツ”を胸にコートに立ち続ける。今季から信州の指揮を取るジャッド・フラベル・ヘッドコーチ(HC)が掲げるスタイルにも共鳴。日本代表として2028年ロサンゼルス五輪出場を目標に掲げ、新天地での一歩を踏み出す。
文:芋川 史貴
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サッカーからバスケに転向
“間違えても怒られない”
京都府出身の加藤ダニエルは、3歳の時にマレーシアへ移住した。

父から「バレーボールかバスケットボールをやりなさい」と言われ続けたことに反発し、ずっとサッカーに取り組んでいた。転機は17歳の時。周囲の友人たちが欧州の強豪クラブなどからオファーを受ける中、加藤にだけはどこからも声がかからなかった。
「僕も同じチームなのに、オファーがなかったから残念だと思った」
サッカー選手としてプロを目指すことは厳しいと受け止め、あれだけ反発してきた父が勧めるバスケットボールへの転向を決断した。

マレーシア・クアラルンプールの英国系インターナショナルスクール「The British International School of Kuala Lumpur」で出会ったバスケットボール指導者から「間違えても怒られなかった」。
自由な環境でバスケットボールの楽しさに目覚め、一気にのめり込んだ。
その後は日本に渡ってクラブチーム「東京サムライ」でプレー。そこで評価を受け、米メイン州の名門プレップスクール「リーアカデミー」への進学を果たした。

米国ではNJCAA(全米短期大学体育協会)加盟のハーフォード・コミュニティカレッジでプレー。17歳での競技転向からわずか数年で異例のルートを駆け上がり、2025年8月にはB1千葉ジェッツと特別指定選手契約を結んだ。
PROFILE
加藤 ダニエル(Daniel Kato)2004年8月20日生まれ、京都府出身。3歳までは京都で育ち、その後マレーシアへ渡る。マレーシア・クアラルンプールの英国系インターナショナルスクールでバスケットボールを始め、クラブチーム「東京サムライ」、米プレップスクール「リーアカデミー」、ハーフォード・コミュニティカレッジ(NJCAA)を経て、25年8月に千葉ジェッツと特別指定選手契約を締結。26年に信州ブレイブウォリアーズと2年契約を結んだ。204cm、115kg、センター兼パワーフォワード。好きな日本食はそば。
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父から受け継ぐ侍スピリッツ
ロス五輪の代表選手を目指す
25-26シーズンはリーグ戦6試合の出場にとどまり、平均出場時間2分40秒で1.0得点、0.2リバウンド、0.2ブロック。出場機会は限られたが、シュート力を備える若き日本人ビッグマンとして注目を集めた。

1シーズンで千葉との契約が満了となった加藤は、信州ブレイブウォリアーズを新天地に選んだ。
「みんなみたいに10年、15年の(バスケットボール)経験があるわけではない。わずかな期間でどこまで成長しなければいけないかを考えていた。だからみんなが1回練習したら僕は3回練習しなければいけなかった」

父から「侍のスピリッツを持っておけ」と言われて育った加藤。その感覚が何か、自分なりに模索する日々が続いているが、闘志を前面に出して日々の練習に取り組む姿勢からは、加藤が示そうとする“スピリット”が伝わってくる。
日本人であることに強い自覚を持つ加藤は、2028年ロス五輪に日本代表メンバーとして出場することを目標に掲げている。「日本人として世界と戦いたい」と熱を込める。

同じタイミングで信州に加入したトビンマーカス海舟も、両親の国籍が異なるハーフという同じ境遇。加藤と同じように日本代表入りを目標に掲げ、時期は違えど、千葉Jに所属した「ジェッツファミリー」でもあるため、すぐに意気投合した。
信州での練習ではマーカス海舟と組む機会も多く、仲間でもありライバルでもある2人はしのぎを削っている。
「ジャッド(フラベルHC)さんは(ニュージーランド)代表の経験を持っているし、マーカスと同じ目標を持っているから頑張れると思った」
“ポジションレス”バスケに魅力
信州で誓う新たな挑戦
信州への移籍の決め手となったのが、フラベルHCが掲げる“ポジションレス”のバスケットボールだった。ポジションに縛られず、センタープレーヤーでもドリブルをするし、3ポイントシュートも打つ。そんなスタイルに共感した。

「5番もボールドリブルできるし、シュートもできる。それがコーチの目的だったし、そういうプレーをしたかった」
フラベルHCは、加藤獲得の経緯についてこう振り返る。
「リクルートした時に話していたことは、成長して欲しいというところ。伸び代がすごくあるし、うちでは5番でたくさんプレーできるのではないかと思っている。とにかくエナジーをたくさん出してモーターのように回り続けてほしいし、走り続けて欲しい」

信州が求めるのは、リバウンドやスクリーンといった泥くさいプレーだけでなく、迷わずに動き続けることができる「ラグフリー」の能力だ。成長途上の加藤が、フラベルHCやクラブが求めるスタイルを吸収した時、選手としての能力は大きく飛躍するだろう。
その“伸びしろ”こそが信州の期待するポイントだ。
練習ではゴール下で力強いプレーを見せたかと思えば、美しいアーチを描く3ポイントシュートを何本も沈めてみせた。
「今年のシーズンはもうダンクと3ポイントを見せたい」と意気込む。

204センチのビッグマンでありながら機動力とアウトサイドシュートを兼ね備えたプレースタイルは、HCが求める“止まらない5番”像そのもの。
信州の一員として国内最高峰の舞台で強力な相手と戦い、日本人として世界を相手に戦う――。
父から受け継いだスピリッツと、フラベルHCが期待するエナジーを武器に、加藤の新たな挑戦が始まる。
信州ブレイブウォリアーズ 公式サイト
https://www.b-warriors.net/




















