松本で初の有観客開催へ ボアルースが信州全土に広げる勢力図

勢力拡大への大きな一歩だ。F1リーグのボアルース長野は2026年9月6日、松本市の信州スカイパーク体育館で第11節のホームゲームを開く。同体育館ではコロナ禍の20年に無観客試合を開催した実績はあるものの、有観客での開催は初めて。松本市での本格的なホームゲームがついに実現する。慣れ親しんだ北信から中信へ――。新たな挑戦に向かう選手、スタッフ、スポンサーの思いを聞いた。
文:田中 紘夢
KINGDOM パートナー
条件整えて有観客開催へ
「スペシャルマッチ」も
普段は長野市のホワイトリングと千曲市のことぶきアリーナ千曲を試合会場としているボアルース長野だが、かねてから松本市でのホームゲームも視野に入れていた。

JリーグのAC長野パルセイロと松本山雅FCに在籍していた土橋宏由樹ゼネラルマネージャー(GM)を筆頭に、クラブに携わる人たちと松本の街との関係性は深い。クラブの認知度向上とフットサル文化の普及に向けても、松本開催は一つのフックとなり得る。
2020年には信州スカイパーク体育館で初開催。同体育館はFリーグが定めた公式戦開催基準を満たしていなかったが、コロナ禍による基準緩和を受けて実施できた。ただし、感染拡大のリスクを避けるため無観客だった。

25年に同会場が改修され、開催基準を満たす施設にリニューアル。収容人数は少ないものの、ことぶきアリーナ千曲のように1階に仮設席を設けて補う計画だ。条件を整えた上で、シュライカー大阪を迎えての初の有観客開催が実現する運びとなった。
「サッカーとはまた違った魅力があるので、とにかく1回見に来てもらいたい。多くの人にクラブとフットサルを知ってもらうきっかけになれば」と土橋GM。クラブは松本山雅のホームゲームでチラシを配布するなど、周知に努めている。

試合前には、かつてAC長野と松本山雅でプレーした“レジェンド”による「スペシャルマッチ」も行う。過去の対戦ではAC長野が2戦全勝。松本山雅は“ホーム”で初勝利となるか――。
KINGDOM パートナー
松本U-18出身の中村亮太
クラブと企業の名を背負って
「自分は松本と縁があるので、すごく楽しみにしている。まずは自分がプレーを楽しんで、見ている人にフットサルの楽しさを味わってもらいたい」
そう声を弾ませたのは、在籍6シーズン目の中村亮太だ。

長野市出身ながら高校時代は松本山雅の育成組織(U-18)に所属。現在J1のヴィッセル神戸で活躍しているFW小松蓮は、1歳下の後輩にあたる。「蓮以外にもユース出身で頑張っている選手はいる。その1人として見てもらえたら」と古巣のサポーターに思いを馳せる。
前回の松本開催時は加入前だった。高校時代を過ごした地で初のホームゲームへ。「スカイパークではよく走らされていたので…」と笑みをこぼしつつ、当時のように無我夢中で走り回るつもり。「ボアルースらしく最後まで諦めない姿を見せたい」と力を込める。

試合の冠スポンサーを務めるマナテック(長野市)は、中村の職場でもある。同社には中村以外にも複数の競技のアスリートが所属。週末に所属選手を応援する文化も根強い。今回も松本支店の社員が会場に駆けつけてくれることだろう。
「いつもは来ていない人たちにも来てもらいたい」と中村。今季はホームゲームの4試合中2試合でゴールを決めており、会場を沸かせるイメージはできている。
スポンサーとともに地域密着
「Win-Winの関係」を築く
マナテックホールディングス(長野市)の堀江三定・代表取締役は、「サッカーもフットサルも同じフットボールであることに変わりはない。一つの文化として長野県に広められたら」とスポンサードへの願いを込める。

堀江代表は、15年から5年間にわたってAC長野運営会社の代表取締役社長や会長を歴任。地域密着のポリシーを貫きつつ、ハードルも身をもって感じてきた。
「地域に根ざすというのは口で言うほど簡単ではない。その難しさが分かっている分、応援したい気持ちは強い」と堀江代表。同社が県内の各クラブをスポンサードしているのも、地域貢献への信念があってこそだ。

AC長野と松本山雅の“レジェンド”によるスペシャルマッチは、クラブのメインスポンサーでもあるデンセンホールディングス(長野市)の提供で行われる。
同社は11月に完成予定の長野運動公園総合体育館のネーミングライツを取得。「デンセンLUZ(ルース)アリーナNAGANO」と命名し、来季からホームアリーナとして使用を予定している。
「今シーズンの松本開催もそうだし、来シーズンのデンアリ(デンセンLUZアリーナNAGANO)での開催もそう。今はクラブとして一歩ずつ進めている」と土橋GM。「NO GOING BACK 不退転」というスローガンを独り歩きにはさせない。

「長野市を中心に北信だけで完結できるようなものではない。長野県全体での認知度が高まれば、観客動員数が上がって選手のモチベーションも上がるし、スポンサーさんの露出も増える。そうやってWin-Winの関係を作っていければ」
今回の松本開催は、信州全土に勢力を広げるための足がかりと言える。中断期間を挟んで1カ月ぶりとなるホームゲーム。松本の地をクラブカラーの赤で染め、見る者を熱狂の渦に巻き込んでいく。
クラブ公式サイト
https://boaluz-nagano.com/
Fリーグ チーム紹介ページ
https://www.fleague.jp/club/nagano/





















