“グレートな大黒柱”への第一歩 開幕戦で見えた若手ビッグマンの道筋

B2リーグ開幕戦で、いきなり課題が浮き彫りになった。信州ブレイブウォリアーズは昇格組の福井ブローウィンズに2連敗。大黒柱のウェイン・マーシャルが欠場し、若手ビッグマンの渡邉飛勇と狩野富成のプレータイムが大幅に増えた。今回はビッグマンの重要性を改めて整理しつつ、若き2人がたどるべき道筋を模索する。

文:芋川 史貴/編集:大枝 令

ビッグマンは豪快であり、繊細
「5番」に求められるスキルは

ビッグマン。ダンクやブロックなどリング周辺の豪快なプレーに目を奪われがちになるが、実はとても繊細で頭を使うポジションでもある。ポイントガード(PG)を「攻撃の司令塔」と表現するならば、センター(C)を務めるビッグマンは「守備の司令塔」と言えるかもしれない。

最後方で状況を全て把握できるポジション。スクリーンの方向やローテーションのタイミングなどコート上で起こっている現象を理解し、その上で味方に指示を出す。それでいてゴール下の守護神として適切なポジションを取り、最後は自分が相手の攻撃を食い止める。リバウンドをガッチリつかむ。

特に信州のバスケットはディフェンスに重きを置いており、一歩一歩のポジショニングなど細部にこだわることで知られる。

攻撃面でも同様だ。ピックアンドロールのスクリーンのかけ方や、角度、タイミングなどコンマ何秒の世界で動く必要がある。

ゆえにビッグマンは豪快であり、繊細でなければならない。

若手ビッグマン2人のスタッツを振り返る。

第1戦、
渡邉は27:35、6得点8リバウンド3ブロック。
狩野が17:02、7得点4リバウンド3ブロック。

第2戦、
渡邉が22:27、14得点8リバウンド1ブロック。
狩野が13:36、0得点1リバウンド0ブロック。

2人ともプレシーズンよりプレータイムを大幅に伸ばし、ローテーションの主軸として2試合を戦った。指揮官はこの2人をどう評価したか。以下は第1戦後のコメントだ。

「特に身体がフレッシュな時間帯はとても良いプレーが出ていたが、この素晴らしい雰囲気の試合、お客さんが入って、なかなか声が聞こえづらかった。特にポストのミスマッチになった時、前半も後半も簡単にやられることが多かった。しっかりとカバレージを言って、方向づけして、正しいゲームをしたい。若い2人にはラーニングカーブがあるので学んでいくけれども、その部分はもっとできるようになってもらいたい」

健闘を称えつつも、主にディフェンス面での課題を口にした。

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マーシャルの「偉大さ」とは何か
期待したい若き有望株の成長

 しかし現状、マーシャルがいなければ信州のバスケットは真価を発揮しづらい状況に立たされている。ディフェンス面はもちろん、オフェンス面でも石川海斗との連係が成熟し切っていないため、リズムをつかみ切れなかった。

指揮官が絶大な信頼を寄せるマーシャルは、攻守ともオートマチックにそれらを体現する。
勝久HCは言う。

「(ビッグマンは)ディフェンスで全てのカバレージをコールし、リバウンドも取らないといけない。オフェンスでもスクリーナーの角度やタイミングなどの細かい部分が本当に大事。ウェインはディフェンスでもオフェンスでも必ずそれができる。何点取ろうと取らなかろうと、“グレートプレーヤー”の証はそういう部分にある」

スタッツに表れにくい要素も含め、チームのルールを確実に実行する遂行力の高さ。それが、指揮官から信頼されている理由の一つだ。

とはいえ、長丁場のシーズン。38歳のウェイン・マーシャルがフルでコートに立ち続けるのは難しい。そうした中で、渡邉と狩野のビッグマン2人がどれだけ多くを吸収して成長できるか――は、今シーズンを占う上で大きなカギを握る。

2日間で先発した渡邉はどうだったか。

「(渡邉は)賢いプレーヤー。ただ理解はしていても、カバレージを声に出すまでのスピードがまだこれから。それがもっと習慣になって、考えなくてもすぐ言葉が出たり動きの反応が出るレベルになってもらいたい」

勝久HCはそう振り返る。渡邉は長いプレータイムで、消耗が激しくなってもいた。両足をつりながらプレーしていた時間帯も。本人に話を聞くと、課題を明確に自覚していた。

「信州に来る前、自分はもっといいディフェンスの選手だと思っていた。でもここに来て、すごく落とし穴がいっぱいあることがわかった」

「リングを守る以外のプレーに対して、もっと自分が良くならなければいけない。特にピックアンドロールのオフェンスのアクション、バスケットボールのオフェンスのアクションでのカバレージ、読みの部分、スイッチした後。リングから少し離れた位置でのディフェンスの部分で良くならないといけない」

もちろん、マーシャルから多くの助言も受けた。「(マーシャルは)プレーできなくてストレスがあったと思うけど、その中でも自分に対してアドバイスができるようにすごくトライしてくれた」と感謝を口にする。

ただし、次節までの期間で一気に事態が改善されるわけでは決してない。

「うまくなるのは少しずつであって、一夜にして変わるものではない。1つか2つのことに対して辛抱強く集中してやっていって、少しずつ良くなっていく」

それはまさに“日々成長”のプロセス。勝久HCはマーシャルの大黒柱たるゆえんを説明したあと、最後にこう付け加えた。「若い2人もそういうふうに成長してもらいたい」。まずは愛媛オレンジバイキングスとの次節、少しでも改善を示しながら勝利をつかみたい。


Bリーグ 選手個人成績 渡邉 飛勇
https://www.bleague.jp/roster_detail/?PlayerID=5100000049

Bリーグ 選手個人成績 狩野 富成
https://www.bleague.jp/roster_detail/?PlayerID=42616

Bリーグ 選手個人成績 ウェイン・マーシャル
https://www.bleague.jp/roster_detail/?PlayerID=8843

Bリーグ チーム紹介ページ
https://www.bleague.jp/roster/?year=2024&club=716&p=&c=&o=random&tab=2

クラブ公式サイト
https://www.b-warriors.net/

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