被災地の熊本に力を 松本トライデンツがオフ返上で急きょ募金活動

2026年7月31日、人々が絶えず行き交うJR松本駅。信州松本トライデンツの工藤有史と一条太嘉丸が募金箱を手に、声を張り上げていた。3日前に発生した「令和8年熊本地震」を受けての支援活動。チームはオフ期間中だったものの、選手の声をきっかけにクラブが動いて急きょ実現した。

文:大枝 令

「ちょっとでも力になれれば」
選手の声を受けてクラブが即応

令和8年熊本地震が発生したのは、7月28日午後4時27分。マグニチュード7.1、熊本県宇城市と氷川町で最大震度7を観測した。31日17時時点で死者35人、負傷者99人。一時は465カ所の避難所に1万人近くが身を寄せた。

トライデンツはその翌日、8月に岡谷市・スワンドームで行う公開練習で募金箱を設置すると発表。上島瑠菜・広報担当は「熊本の地震は(2016年に続いて)2回目だし、少しでも早く動くことができればいいと思っていた」と話す。

だがそれとは別に、選手から「松本駅前で募金活動をしたらどうか」という声があがった。チームは1週間ほどのオフ期間だったものの、工藤有史は「苦しんでいる方々に、スポーツの力で少しでも勇気づけられればいい。刺さってくれるかは分からないけれど、ちょっとでも力になれればいいと思った」と力を込める。

ちょうど同日から松本駅構内でクラブの広告掲出が始まったほか、8月1日の「松本ぼんぼん」に参加する選手が県内に残っていたタイミング。さまざまな条件が重なったほか松本市の協力も得て、前日夜に急きょの実施が決まった。

参加した選手2人は、ともに大阪府出身。熊本に直接の縁があるわけではない。それでも、「『やるよ』『やりましょう』という感じで、トントン拍子に物事が決まっていった」。一条太嘉丸はそう振り返る。

KINGDOM パートナー

たとえ直接的な縁はなくても
慣れない街頭募金に声張り上げ

午後3時35分、2人はJR松本駅のお城口に立った。

「プロバレーボールチームの信州松本トライデンツです」「熊本地震への募金をよろしくお願いします」

普段はコート内で声を張り上げているが、街頭で募金を呼びかけるのはまた別の話。最初はおずおずとしていたが、慣れとともに声が張りを帯びていく。

ただでさえ身長190cm前後のバレーボール選手は、人混みの中でも目立つ存在。足を止める人が現れ、募金箱に志を入れていった。「試合を見に行っています」と声をかけてくる人もいた。

「縁が少ないとはいえども、亡くなっている方もいる。すごく心苦しいというか、残念な気持ちがある」と工藤。元チームメイトで熊本県出身の山田航旗(ヴォレアス北海道)を気にかけつつ、連絡を取るのもためらわれるという。それでも「やっぱり気にはなってしまう」と言葉を継いだ。

チームには、熊本県出身の赤星伸城が在籍する。実家が被災し、発災直後は安否確認ができないタイミングもあったという。全国的な名門・鎮西高出身者をはじめ、九州ゆかりの選手・スタッフも多いバレーボール界。熊本と物理的な距離は離れていても、精神的な距離が遠い土地ではない。

午後6時までの2時間半で、56,445円が集まった。日本赤十字社の「令和8年熊本地震災害義援金」として被災地支援に充てられる。一条は「動ける時に、動ける人が動く。それがベストだと思う。少しでも協力できたらと思う」と力を込めた。

トライデンツはこのほか8月14日、20日、24日の3日間、岡谷市のスワンドームで行う公開練習などで募金箱を設置する予定。


熊本県で発生した地震の被災地に向けた募金活動実施のお知らせ
https://sm-tridents.jp/information/27081

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