飛勇&晃瑠の“渡邉ブラザーズ” 信州のアリーナに翔ぶ数奇な週末

10月19-20日の長野県内は、各競技のホームゲームラッシュ。その中で、ともにホーム開幕戦を迎えるバスケットボール・信州ブレイブウォリアーズとバレーボール・VC長野トライデンツの会場では、奇妙な巡り合わせが交錯する。信州の渡邉飛勇(ひゅう)と、VC長野の対戦相手・日鉄堺ブレイザーズの渡邉晃瑠(こーる)は2歳差の兄弟なのだ。競技は異なるが、ともに身体能力を生かしたブロックが持ち味。今週末、信州のアリーナに翔ぶ2人の関係性などを取材した。

文:大枝 令

驚異の身体能力を生かし、それぞれの競技で日本代表歴も持つ2人。兄・飛勇に話を聞くと、意外な事実を教えてくれた。

「弟はバスケの方が好き。でもバレーが得意だったから、バレーを選んだ。僕はバレーが好きだったけど、うまくなるやり方が分からなかったからバスケを選んだ」

ともに高校まではどちらの競技もプレーしていたという。飛勇はしかし、バスケットの方がスキルアップしやすい――と判断した。それはなぜか。

「バスケットはリングとボール1個があればうまくなっていけるし、ビデオを見てもどこを良くして行けばいいかがわかる」

一方で、バレーの自主練習は確かに違う。

「バレーはサーブ、レシーブ、ヒットも、ネットとたくさんのボールが必要になってくる。だからバスケの方がうまくなりやすかった」

こうして飛勇はバスケットを選んだ。パリ五輪でもインパクトを残し、今季から信州ブレイブウォリアーズでプレー。勝久マイケル・ヘッドコーチや同じビッグマンのウェイン・マーシャルから手ほどきを受けて多くを吸収している。

一方、弟の晃瑠はバレーの道へ。日鉄堺BZに加入して1年目の昨シーズンはミドルブロッカーとして存在感を示し、新人賞を獲得。兄と同じく日本代表にも選出された。身長193cmで、最高到達点は345cm。

いずれにしても、「野性的な身体能力」という持ち味は兄弟で共通する。昨シーズンに日鉄堺BZでチームメイトだったVC長野トライデンツ・樋口裕希が証言する。

「彼はジャンプ力があって、それを生かしたブロックがすごい。『野生のカン』みたいなブロックで、獲物を狩るライオンやトラみたいな眼でボールを追いかけにくるので、それに引っかかったときはとんでもないブロックをされる」

©︎Blazers sports club

ちなみに樋口はバスケも観戦するといい、パリ五輪で飛勇がフランス代表センターのルディ・ゴベアを豪快にブロックしたシーンを鮮明に覚えている。「相手のすごい選手をブロックしたプレーを見たとき、晃瑠と同じジャンプの跳び方だと思った」と舌を巻く。

ハワイ出身の“渡邉ブラザーズ”が、それぞれの競技で信州を沸かせる19-20日。バレーはVC長野の対戦相手であり、樋口の言う「野生のブロック」をかいくぐれるか。このほか日鉄堺BZには、長野市出身の大ベテラン・MB松本慶彦(岡谷工業高-中央大)も在籍する。

©︎Blazers sports club

長野市のホワイトリングではバスケット、安曇野市のANCアリーナではバレー。それぞれ新時代を迎えるアリーナ球技で、熱戦の火ぶたが切って落とされる。


信州ブレイブウォリアーズ ホームゲーム情報
https://www.b-warriors.net/lp/game_20241019_20241020/

VC長野トライデンツ ホームゲーム情報
https://vcnagano.jp/match/2024-2025-sv-div2-1

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