“自由”を取り戻したパイオニアYo DIGXSアンバサダーで故郷の力に

日本大会優勝、世界大会2位。フリースタイルフットボール界で華々しい成績を残してきたYoがキャリアを重ね、“原点回帰”を果たそうとしている。アーバンスポーツ信州のプロジェクト「DIGXS(ディグス)」にアンバサダーとして参画。高校時代まで過ごした故郷に新たなムーブメントを生み出していきたい考えで、10月27日には長野市で行われるDIGXS CUPでパフォーマンスを披露する。

文:田中 紘夢

“Yo”というブランドを確立
業界を牽引するアイコンに

2017年に日本一決定戦「Japan Freestyle Football Championship」で19歳にして初優勝。2年後には世界大会「Super Ball」で準優勝を遂げるなど、若くして日本を背負う存在となった。

27歳となった今はバトルの世界から離れているものの、“インフルエンサー”のような立場で国内外を転々としている。イベントでのパフォーマンスをはじめ、海外オーディションへの出演、映像やブランドの制作、後進の育成――。活動は多岐にわたる。

PROFILE
Yo 1997年6月24日、中野市生まれ。長野市で育った。中学時代はサッカーとフリースタイルフットボールを並行し、高校から後者に専念。大学から関東に移り、日本大会優勝、世界大会2位など成績を残した。現在 は「DIGXS by アーバンスポーツ信州」のアンバサダーとしても活動し、地元の盛り上げにも一役を買っている。本名は勝山耀。

チームとしての活動にも精を出す。中学時代に結成したAir Technician(エアーテクニシャン)と、そこから派生して生まれたMonster Ballaz(モンスターボーラーズ)に所属。フリースタイルバスケットボール界のトッププレーヤーと手を組み、いわゆるアーバンスポーツの発展にも寄与している。

フリースタイルフットボールを軸に、マルチな才能を発揮。自らがブランドとなり、周囲に影響を及ぼしている。これまでは元世界王者のTokura(徳田耕太郎)が業界を牽引してきたが、2023年をもって引退。それに代わり得るアイコンとしても名乗りを上げる。

「Yoというブランドをもっと確立させたいし、そこに『僕がやっているから』ということでいろんなものがくっついてくると思う。どれが一番とかはなくて、全部100%でやっている。来年はバトルにも戻りたいと思っている」

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一度は離れたバトルの世界
視野を広げて「日本王者」帰還へ

中野市で生まれ、長野市で育った。小学生からフリースタイルフットボールを始め、まるですべてを手にしてきたかのような功績。しかし、彼にはまだ成し得ていないことがある。

世界一だ。

かつてのYoは、いわゆるバトラーだった。大会に出て好成績を収め、その称号を手に活躍の幅を広げる。Tokuraが2012年の世界一を機に名を馳せたように、Yoも“格”を求めて戦っていた。

だが、その過程で失うものもあった。

「『勝つために』ということに一辺倒になって、切り崩して、切り崩して――。もう皮と骨で戦っているような感じだった」

「フリースタイルフットボール」という名が示すように、本来であればスタイルを“自由”に表現するのがこのカルチャー。それがいつしかバトルに勝つための要素ばかりを取り入れ、自分を見失っていたという。

「バトルばかりをしていたときは視野が狭くなっていたけど、今はいろんなことをやっていて見える世界が広くなった。そこでもう一回バトルに戻ったら面白いかなと。もともと戻るつもりでいたし、早く戻りたい気持ちもある」

2年近く離れてきたバトルの舞台。視野を広げた現在は勝ち負けにはこだわらず、あくまで自らを表現する舞台として捉えている。 生まれ変わった日本王者の帰還は、そう遠くないはずだ。

高校時代まで過ごした故郷
今こそ経験を還元するとき

Yoにはもう一つ、帰るべき場所がある。

地元、長野県だ。

中野市生まれ、長野市育ち。中学ではサッカーとフリースタイルフットボールを並行し、高校からフリースタイルフットボールに専念。若里公園や南長野運動公園でボールを蹴り続けてきた。

駒ケ根市とも関わりがある。市内のサッカースクールコーチと縁があり、10年ほど前からイベントに出演。今でも親交が深く、昨年も駒ケ根のイベントに出演した際にDIGXSの関係者と出会った。

「大会やイベントを開いて、地元のプレーヤーたちが頑張る場所を作っていきたいという思いを聞いた。『めっちゃいいですね』と感じて、何かしら力になりたいと思っていた」

五輪種目でもあるブレイキンやスケートボードをはじめ、パルクールやドローンファイトなどが集結する一般社団法人アーバンスポーツ信州。昨年6月に設立されたばかりのプロジェクトに、アンバサダーとして参画することとなった。

故郷を離れて9年になるが、「ストリートカルチャーはローカルに根付くものだと思う」。プレーヤーの中には、“represent”(代表する)から派生した「レペゼン◯◯」と地元を掲げる者も少なくない。Yoにとっても、長野県を背負う思いは変わらずにあった。

これまでもAC長野パルセイロやボアルース長野のイベントに出演はしてきたが、故郷で継続的に関わっていくプロジェクトは初めてだ。「いろんな世界を経験してきたからこそ、こうやってまた地元に関われるというありがたみは強くある」。

県内のフリースタイルフットボール人口は、筆者も含めて数えられるほど。Yoのように、高校卒業後に県外に出るプレーヤーも多い。年に1回行われていたJAM(練習会)も途絶えているのが現状だ。

ただ、AC長野パルセイロや松本山雅FCをはじめとして、この地域にはサッカー文化が根付いている。それに付随するカルチャーとして広がる可能性は少なくないだろう。

「僕は駒ヶ根のおじさんみたいにきっかけしか与えられないけど、どこかでコミュニティを広げていきたい。DIGXSはそこに挑戦する場にもなると思う」。地元でYoというブランドを生かすときがやってきたのだ。

10月27日には、ながの表参道セントラルスクゥエアで行われる「DIGXS CUP」に初出演。ショーケースと体験会で場を盛り上げる。

地元を離れて世界に羽ばたき、再び地元を盛り上げるべく帰ってきた。世界トップレベルのショーケースを、とくとご覧あれ。


DIGXS CUP 開催情報
https://usshinshu.com/digxscup2024/autumn/

DIGXS 公式サイト
https://usshinshu.com/

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