青いうねりを要所で“ドシャット” フルセットの激闘制して節目の10勝目

誰一人として目を逸らさなかった。ボールに食らい付き続けた。激闘の果てに、大きな白星を手繰り寄せた。2025年3月29-30日、SVリーグ男子第21節。VC長野トライデンツはアウェイで東レアローズ静岡と対戦し、GAME2では要所のブロックが決まるなどして10勝目をもぎ取った。GAME1の反省を生かし、目標に掲げた2桁勝利に到達した。
文:大枝 史/編集:大枝 令
激闘に終止符を打つエースの左手
手痛い敗戦を糧に 示した成長とは
それは、“Vinder”――勝者のフォルムだった。
GAME2の最終第5セット、15-14。デンマーク人オポジット(OP)ウルリック・ダールが、大きく両手を広げて1枚ブロックに跳ぶ。

「最後は手を思いっきり広げて止めるだけだった」
東レ静岡のイタリア代表アウトサイドヒッター(OH)フランチェスコ・レチネが放った強打を、見事にシャットアウト。エースの左手が、2時間48分の激闘に終止符を打った。

OH工藤有史は、雄叫びをあげながらウルリックに抱きつく。ミドルブロッカー(MB)安部翔大は、歓喜の輪の中でひときわ大きく飛び跳ねた。
ベンチメンバーも次々とコートへ飛び出す。粘り強く戦い、苦難の末にもぎ取ったチーム待望の10勝目。深みを増した美酒に酔いしれた。

2セットを連取したものの、第3~4セットを取り返されてフルセットに突入。第19節GAME2でヴォレアス相手に苦杯を喫した試合が脳裏をよぎる。
ましてやアウェイの地。東レの青に染まったこのはなアリーナは、相手のブロックが決まるたびに青いうねりが押し寄せる。
怒涛のウェーブにのみ込まれてしまうのか――。

しかし、苦境に立たされても選手たちは一体感を手放さなかった。
工藤が「ヴォレアスさんにフルセットで負けたときよりも、チームが一つになっているのを感じた」と振り返れば、リベロ(L)備一真も「苦しい状況でも誰一人目を逸らさずに、しっかりコミュニケーションを取れた」と気持ちの面で一つになれたと強調する。

アウェイの地にも多く訪れたファンとともに、一つになった臙脂色の壁。勢いを増す鮮やかな青を、ピシャリと跳ね返した。
光ったブロックディフェンス
連動して防ぎ、拾い、繋いで勝つ
「跳ね返した」という文字の通り、勝因の一つはブロックだ。
敗れたGAME1から一夜明け、GAME2ではブロックポイントが実に16(1セット平均3.20)。ウルリックの5を筆頭にMBトレント・オデイが4、工藤とOH迫田郭志もそれぞれ3をマークした。

例えば、第2セットの終盤。21-23の場面から「できるだけ相手が嫌がるところに打とうと意識していた」というMB山田航旗のサーブから怒涛の粘りを見せる。
ワンタッチをかけて拾い、ウルリックが巧みに真ん中に落として22-23。

畳みかけるように、ウルリックが強打を決めて23-23と同点に追いつく。
すると最後は、東レ静岡のOPアラン・ソウザのアタックを迫田が2連続でシャットアウト。200cmのブラジル代表が繰り出す強烈な一撃を、183cmの小兵が目いっぱい腕を伸ばして跳ね返す。逆転で2セット目を取った。

東レ静岡の阿部裕太監督が「2セット目にリードしながら、最後に相手の連続得点でセットを失ったのが一番大きな敗因」と振り返ったように、この試合の勝敗に大きく影響した。
もちろん、ブロックはポイントの多寡だけが要素ではない。巻き戻せば敗れたGAME1から、選手たちはブロックディフェンスに一定の手応えを感じていた。

直接のポイントにこそ繋がらなかったものの、ワンタッチを取ったり、コースを限定してディグを上げたり。ブロッカーとレシーバーの位置関係はコミュニケーションなくしては成り立たない。
「組織的な動きは悪くなかった」と備が振り返るように、全員がボールに対する執着心を見せた。

しかし当然ながら、勝ちに対する執着心は相手も強い。
とりわけ東レ静岡のMB西本圭吾はブロックがストロング。1セットあたりの平均ブロック決定本数を今節でさらに伸ばし、0.61としてリーグ2位につける。
2試合にわたってトスを上げ続けたセッター(S)中島健斗は、西本に対して「トスを上げていて視界に絶対入ってくる」「サイドに上げようとしてもすごく寄りが速かった」。ストレスやプレッシャーがかかっていたと明かす。

簡単には決めさせてはもらえず、互いにラリーに持ち込む展開が続く。
「長いラリーの得点能力の部分が結果に繋がった」
GAME1の試合後に迫田はそう言及したが、GAME2でもその言葉は逆の意味で当てはまる。今度は自分たちが粘り強く戦い、決め切って勝利をつかんだ。

節目の10勝の先に見据える高み
ホームで示したい40試合の成長
目標として掲げた10勝目を挙げたVC長野。それでも選手たちは止まることなく、さらなる高みを目指す。
今節はブロックディフェンスを強みとするOH樋口裕希が出場を回避。チームとしてはブレイクよりもまず、サイドアウトにフォーカスして取り組んでもいた。

中島が「ブレイクはうまく取れていた部分はあったけれど、一番大事なサイドアウトはうまくいかなかった」と振り返れば、「リードしてもすぐサイドアウトが取れずに追いつかれる展開が多かったので、まだまだチームとして課題がある」と備も気を引き締める。

サーブレシーブ成功率はGAME1で77.8%、GAME2では85.7%と高い数字を残した備。何度となくディグからのブレイクにもつなげた。
それでも自身はあくまで、「拮抗した場面で抜けてきたボールを上げられないケースが何本かあった」と自らに矢印を向ける。達成感に浸るよりも、成長の余地に目を向ける。
チームは40試合を終え、今シーズンはホームでの4試合を残すのみ。次節はエア・ウォーターアリーナ松本でのSVリーグ初開催。開幕節以来となるSTINGS愛知を迎える。

「僕らも40試合積み上げてきたものがある」
勝った試合後会見の場で、工藤はそう口にした。シーズンを通して、どれだけ成長することができたのか。その真価が試される一戦となる。
会見の最後、報道陣からあがった「VC長野の魅力はどこか?」という問い。工藤はそれに対し、こう応えて締めくくった。
「――それは来週、皆さんが見つけてください」

SVリーグ第22節 STINGS愛知戦(4月5-6日)試合情報
https://vcnagano.jp/match/2024-2025-sv-div22-1-2
GAME1 監督・選手コメント(クラブ公式サイト)
https://vcnagano.jp/match/2024-2025-sv-div21-1
GAME2 監督・選手コメント(クラブ公式サイト)
https://vcnagano.jp/match/2024-2025-sv-div21-2
フォトギャラリー
https://shinshu-sports.jp/photogallery/19965
SVリーグ男子 順位表
https://www.svleague.jp/ja/sv_men/round/ranking