“緑の街に臙脂の差し色を” 信州松本トライデンツが周知活動を本格スタート

松本の街に、臙脂の差し色を入れ始めた。「信州松本トライデンツ」と名称を変更してから20日余となった、2026年7月17日。クラブスタッフと松本大学の学生がJR松本駅周辺に集合し、店舗・企業を訪問してポスターを配った。訪ねる先はすべて、“はじめまして”となる飛び込み営業。「信州松本」の名を実体化させる歩みの、第一歩を踏み出した。
文:大枝 令
KINGDOM パートナー
名称変更から23日、駅前に立つ
学生アンバサダーが担う“第1弾”
クラブは6月24日に「VC長野トライデンツ」からの名称変更を発表し、7月1日付で移行。今回のポスター配りは、ホームアリーナを置く松本市での活動を本格化させる第1弾の取り組みだ。
その活動に、松本大学のゼミを巻き込んだ。人間健康学部スポーツ健康学科・本間崇教専任講師の研究室と業務委託契約を締結。学生を「学生アンバサダー」として起用した。学生にとってはスポーツビジネスの現場を肌で感じられる機会となる。

「お忙しいところ失礼します。バレーボールチームの信州松本トライデンツと申します」
初回となるこの日はまず、クラブスタッフ2人が同行してデモンストレーションとして実施した。午前は学生2人とスタッフ2人が2時間、午後は別の学生2人とスタッフ1人が1時間。JR松本駅周辺の店舗やオフィスを回り、ポスターの掲示を依頼した。
「目標としては、300から400枚のポスターを市内に張ってもらいたい」
クラブ広報担当の上島瑠菜さんはそう明かす。訪問先の多くは、クラブとの接点がまだない店舗や企業だ。アポイントのない、いわば飛び込みの交渉。断られる経験も含め、学生にとっては実践となる。
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松本大学の研究室と提携
補完関係で認知度の拡大へ
ポスター自体も、1回きりではない。第1弾は「名前が変わり、松本にホームアリーナを置いている」ことを伝えるビジュアル。今後は開幕日程を載せたものなど、シーズン前半・後半で計3種類を予定する。
さらに開幕前には市内の商業施設で、チケットの購入方法をレクチャーするイベントも学生主体で企画中。観戦へのフックとなる仕掛けを協働で繰り出していく。その結果をシーズンを通してデータで検証し、学びにつなげていく試みだ。

「学生にマーケティングを学んでもらう。それが、うちにもプラスになる情報として返ってくる」
上島さんはそう話す。「配って終わり」ではなく、「張って終わり」でもない。学生が学び、クラブが検証データを得る。一方通行ではない設計を、連携の核に据えた。
初日の成果は、午前が約20枚、午後が約15枚。合わせて35枚前後のポスターが、松本の店先やオフィスに張られることとなった。昼どきの繁華街は営業の谷間で不在も多い。
美容院、和菓子店、喫茶店、銀行、あるいはオフィスビル――。業種を問わず、果敢に足を踏み入れていった。

猛暑にもめげず、駅周辺を歩く
学生が触れた“松本の体温”とは
「すごく緊張した」
そう振り返るのは、午前の部に参加した内藤凜椰さん(3年)。最初はスタッフの依頼を見て学び、後半は自分たちから店の扉を開けた。「試合に来てくださっている方も結構いて、すごく温かった」と振り返る。
内藤さんは1年時から本間専任講師の授業をほとんど受講し、スポーツビジネスへの関心からこのゼミを選択した。もともとこの地域で生まれ育った学生でもある。

「地域に根付こうとするクラブチームのお手伝いができて、地域に貢献できた感じがして、すごくよかった。まだ名前が変わったばかりで、認知してくださっている松本市民の方は少ない。地域に根付くチームにしていくことに、貢献できたらと思う」
同じく午前の部に参加した横山結菜さん(3年)は、立候補してこの活動に手を挙げた。「ゼミの活動がないと、経験できないこと。すごく貴重な経験になった」と振り返る。

クラブの名前は知っていたものの、深く関わるのは初めて。「どのぐらい知られているのかな――というところから始まった。認知度を上げることに貢献できたら、すごくうれしい」と話し、こう続けた。「せっかくスポーツマーケティングを学んでいるので、将来にも役立つように、クラブをサポートしていきたい」
クラブの本拠地機能は今も上伊那郡南箕輪村にあり、練習拠点は岡谷市と南箕輪村。上下伊那・諏訪の南信地方で「VC長野トライデンツ」として親しまれてきたクラブにとって、松本は“これから根を張る街”だ。「信州松本」を冠することはアイデンティティを明確にする決断であり、根付くかどうかはこれからの営み次第だろう。

その第一歩は大規模な広告出稿でも派手なイベントでもなく、地元の学生と一緒に1軒ずつ頭を下げて回るポスター配り。まずは「地上戦」から認知拡大を図る。
今後はゼミの学生8人で活動をさらに本格化していく。上島さんは「まずは松本の皆さんにとって、『なんか聞いたことはあるぞ』という状況になること。何年もかけて続けていきたい」と青写真を描く。
クラブ公式サイト
https://sm-tridents.jp/
松本大学 人間健康学部 スポーツ健康学科
https://www.matsumoto-u.ac.jp/faculty/human/sports/

















