スタッフも「不退転」の覚悟で増強 ボアルースを陰で支える2人の思い

F1リーグのボアルース長野が掲げる今季のスローガンは「NO GOING BACK 不退転」だ。どんな状況に置かれても後戻りせず、前へ進み続ける――。それは選手だけでなくスタッフも同じ。今季は新たに横田暁花マネージャー兼SNS広報担当と江波戸紘之GKコーチ(選手兼務)を加え、サポートが手厚くなった。スタッフ増強の経緯を土橋宏由樹ゼネラルマネージャー(GM)に聞くとともに、チームを陰で支える2人の思いに迫る。
文:田中 紘夢
KINGDOM パートナー
選手やOBの力も借りて増強
アナリストの雇用も視野に
2022年からマネージャーとしてチームを支えてきた長野県出身の玉井美紀さんが、24年をもって退任。その後はマネージャーの役職が空席となっていた。

クラブが後継を探していたところ、大阪成蹊大の横田暁花さんをインターンとして迎え入れることになった。同大学のOBで、F2リーグのヴォスクオーレ仙台に期限付き移籍している吉田怜生の紹介がきっかけだった。
「選手の負担を軽くするという意味で、マネージャーは絶対にほしい」と土橋宏由樹GM。インターン期間を終えてから正式なオファーを出し、2シーズンぶりにマネージャーの席が埋まった。

今季は新たにGKコーチの席も設けた。昨季までGK岡島工がプレーしながら実質的に担っていた立場だ。
昨季限りで現役引退した岡島にはGKコーチ就任を打診したが、本人は別の道を選んだ。そこで白羽の矢を立てたのが、F2リーグのデウソン神戸に在籍していたGK江波戸紘之。クラブOBの矢内大介さんの推薦もあって招へいした。

既存の監督、コーチ、トレーナーと併せると、常駐の現場スタッフは6人となった。過去にない層の厚さで人件費も上がったが、土橋GMからすれば「今は最低限の体制。もっとスタッフも強化しないといけない」。将来的にアナリストの雇用も視野に入れている。
今季のスローガンは「NO GOING BACK 不退転」。夏の選手補強も画策しながら、環境整備を進めている最中だ。
KINGDOM パートナー
強豪大学からプロの世界へ
積極的に選手支える横田さん
横田さんは強豪の大阪成蹊大でマネージャーを務めていた。4年時には全日本大学フットサル大会(インカレ)で史上初の4連覇を経験。「いろんな場所でいろんな景色を見させてもらった。卒業後もその経験を生かしたい」という思いから、Fリーグへの道を志した。
サッカーの強豪校である神戸星城高から大阪成蹊大に進学。当初はソフトテニス部のマネージャーを務めていたが、サッカーやフットサルへの関心は尽きなかった。

ゼミの講師の「やり残したことはないか」という言葉に揺り動かされ、3年の秋からフットサル部へ。1年3カ月という短い間ながら、競技愛が育まれた。
プロの舞台は大学と比べて年齢層が広い。ボアルースには親世代にあたる40歳の田中智基もいるが、「年齢は関係ない。選手の考えを理解するためにも、自分から声をかけるようにしている」。大学時代に短期間で選手と信頼を築いた経験も生かされている。
練習ではボールを拾い、タイマーを回し、動画も撮影する。試合ではユニフォームなどの備品をそろえ、チームをロッカールームに迎え入れる。SNS広報担当も兼務して彼らの素顔を発信するなど、常に選手のそばに寄り添う存在だ。

大学ではアシスタントマネジャーの資格を取得。より選手を支える知識や技術を身に付けるべく、新たな資格取得を模索している。
「もっと積極的に自分から案を出して、チームに貢献したい」。大学時代にフットサル部への転身を決断したように、悔いを残さないために奔走している。
「また会いましょう」から1年半
江波戸は“因縁”のチームに加入
24年11月30日に行われたF2リーグ第17節、ボアルース長野対デウソン神戸の一戦。神戸のゴールマウスを守るGK江波戸は、2-3で敗れてボアルースのF2優勝とF1昇格を見届けた。

試合後には選手会長としてホーム最終戦のあいさつを行い、ボアルースのサポーターにねぎらいの言葉を送った。
「長野の皆さん、おめでとうございます。またお会いしましょう」
悔しさをかみ締めながらも、すぐに昇格して追いつくつもりでいた。しかしその1年半後、江波戸はボアルースからオファーを受けて移籍。「まさかこうして会うことになるとは…」と驚きを隠せなかった。

提示されたのは「選手兼GKコーチ」という役割だが、断る理由はなかった。
「自分はもう37歳で、F1での経験もないので、よほど活躍しないと上には上がれない。そこで選手としてのラストチャンスをもらって、コーチとして将来にも繋がるチャレンジをさせてもらえる。すごく良いオファーだった」
コーチングライセンスもなければ、プロ選手への指導経験もない。それでも地域リーグからFリーグに這い上がり、メンバー外という立場も経験してきただけに、「適材適所で伝えられることはあると思う」。スキンヘッドの風貌でいじられ役も買って出ており、選手との距離は近い。
選手としての野心も消えていない。試合前にはベンチに座って選手入場を見届けるが、「ピッチに立てないのはめちゃくちゃ悔しい」。37歳でF1デビューを遂げ、背中で示すことこそが最大の教え。その日のために研さんを積んでいる。

チームは開幕から8連敗で最下位と苦しい状況だ。7月26日に行われる第10節では、ホームのホワイトリングにフウガドールすみだを迎える。「今は悔しいけれど乗り越えるしかない。早く選手の笑顔が見たい」と横田さん。スタッフも一丸となって戦い、待望の初勝利を目指す。
クラブ公式サイト
https://boaluz-nagano.com/
Fリーグ チーム紹介ページ
https://www.fleague.jp/club/nagano/



















