難敵・A千葉との初対戦 ほろ苦い連敗の中に見えた“信州のプライド”
B2リーグ東地区首位を独走するアルティーリ千葉との初対戦。新チームとして歩み始めた信州ブレイブウォリアーズは2連敗となったものの、2試合を通じて貴重な学びを得た。「次の成長に繋がるプロセスがあった」と勝久マイケル・ヘッドコーチ(HC)は静かに語る。あくまでも自分たちに矢印を向けながら、最後まで身体を張って戦った選手たちの姿勢を誇った。
取材:大枝 史/編集:大枝 令
滑り出しが尾を引いたGAME1
GAME2はアクシデントも響く
「自分たちが第1クォーター(Q)でこのゲームを作ってしまった。準備してきたことができなかった」
キャプテンの石川海斗は厳しい表情で振り返る。GAME1の第1Q、10-27という大量ビハインドを背負った。
「楽しみにしていたゲームで、集中力や気持ちの準備はしていたものの、相手の方が居心地よくオフェンスを遂行できた。大量リードを許した後は、キャッチアップしようという焦りからパニックもあり、タフショットも出てしまった」
勝久HCはそう分析する。
結果は73-90での敗戦。ただし石川は「正直、後半はやられている印象はない。自分たちのバスケットをやれば勝てない相手じゃない」と手応えも口にした。それは決して、強がりではなかっただろう。
実際にGAME2では序盤から集中力を高めて挑んだ。しかし早々にウェイン・マーシャルが離脱。さらに第2Qではエリエット・ドンリーが流血するアクシデントにも見舞われた。
「いきなりローテーションが狂ったので、プランとは変わった。その中でも選手たちはよく我慢してくれた」と勝久HCは選手をねぎらう。
ドンリー自身も「メンバーが少ないところで、休む余裕がない。痛みはそんなになかったので、血が止まればチームのためにできることはやりたいと思って」と、すぐさまコートに戻った。
しかし、インサイドでの得点力とリバウンドで上回る相手に、77-89で再び苦杯を喫した。
ストレスフルな苦しい展開にも
忍耐強くファイトを続ける
「数字を言うのは好きではないが、チームの完成度は50%もいっていない。我々のバスケットができればこんなものではない」と勝久HCは率直に語る。
その背景には「主力が新加入の多いチーム」という現状がある。
ただでさえ勝久HCのバスケットは体得に時間を要する難解なスタイル。輪をかけて今回は、渡邉飛勇、栗原ルイス、生原秀将の3人が脳震盪やケガなどでエントリーしていなかった。苦戦必至だったことは前提でもある。
一方、アルティーリ千葉について石川は「トップを走っているチームで、メンバーもずっと継続して自分たちのバスケットを続けている。あそこが今、完成されているチームだと思う」と分析する。
相手の完成度を踏まえ、成長の先に見据えるべきものが明確になった。「自分たちは成長していけばそこのトップに上り詰められるのは見えた。今日みんなファイトしていたと思うし、全てが悪かったわけではない」と石川。
ドンリーも「悔しい思いは結構あるけれど、もっとできたことがあった。これから学んで、もっと強いチームになりたい」と決意を新たにする。
勝久HCがジャッジに対していつになく強く抗議するなど、信州サイドがストレスを溜めた2試合でもあった。
例えばGAME2の第2Q、ドンリーが鼻血を大量に流した接触シーンもノーファウル。それでも、勝久HCはコントロールできる「自分たち」にフォーカスする。
「我々が審判をコントロールできるわけではない。我々がコントロールできるのはシューターへのつき方、オフボールのスクリーンの抜け方。鼻血を出しているエリエットに指摘しても、良い表情で、良い目でいてくれた」
「もちろんファウルを吹かれなくて悔しいけれど、でも自分が何をもっとよくやれるか――というところに向ける人間性が(ドンリーには)ある。だから頼もしいし、後半もきっとやってくれると思っていた」
連戦から得た教訓と、次なる決意
ブースターとともに歩む成長の道
「遂行力の部分だったり、コーチが今何を求めているかの理解度だったり。スカウティングでこういうのはダメだよと言われている部分が、昨日よりは少なくなっているけど出てしまっている」と石川は課題を挙げる。
12月18日のアウェイ・ライジングゼファー福岡戦、21〜22日のホーム・富山グラウジーズ戦と、上位との対戦が続く厳しい日程。「次の相手はさらに大きいチーム。インサイドとリバウンドが課題になる」と、勝久HCは次戦を見据える。
「2日間、信州ブースターの応援は本当に素晴らしかった」
勝久HCはそう言って、後押しに感謝した。アウェイの一角を染め上げたブースターの“黄色い”声援。独特の世界観が作り込まれたA千葉のアリーナでも、その力は大きかった。
石川もその応援に言及しながら、「福岡戦はバスライ(バスケットLIVE)で応援してもらって、そこで勝つ姿を見せられれば土日にもたくさんのお客さんが来てくれると思う。一緒に戦ってくれるとうれしい」とブーストを呼びかける。
一進一退が続く、まだ道半ばの若いチーム。この敗戦から多くを学び、連戦に突入する。「我々のフィロソフィーを深めれば、次の成長に絶対に繋がる」と言葉に力を込める指揮官。戦いながら進化を示し、頂点を目指すのみ。それだけの道筋が見える、貴重な2連敗だった。
ホームゲーム情報(12月21-22日、富山グラウジーズ戦)
https://www.b-warriors.net/lp/game_20241221_20241222/
Bリーグ チーム紹介ページ
https://www.bleague.jp/roster/?year=2024&club=716&p=&c=&o=random&tab=2
クラブ公式サイト
https://www.b-warriors.net/