【Farewell-column】若きヴァイキングの領袖 VC長野・ウルリック・ダール

バレーボールの季節が去り、長野県内のSVリーグ男子/Vリーグ男女の計3チームからも退団者が発表された。本企画はチームを去る選手・スタッフに敬意を表し、その働きぶりやチームに遺した財産などを改めて記録するもの。第4回は、VC長野トライデンツのオポジット(OP)ウルリック・ダールにスポットを当てる。

文:大枝 史/編集:大枝 令

左腕から放たれる強烈な雷撃
エースの矜持を貫いた活躍

1セット平均のアタック決定本数は5.11本でリーグ2位。総得点の807得点はリーグ6位。

VC長野のエースとして、その左腕から放たれる強打は数多くの得点を積み上げた。

「有名な選手たちがいるSVリーグで対等に戦って、名を知らしめるのが自分の目標だった」

強いサーブと高打点からのスパイクを武器に、シーズン前に自ら立てた目標を達成したと言える大車輪の活躍を披露した。

第4節のWD名古屋戦でケガによる途中交代があったものの、驚くべき回復力を見せて第6節GAME2で復帰。

続く第7節のヴォレアス戦ではフルセットにもつれたGAME2で最後の1点を取るなど、得点を取り切る力でチームの勝利に大きく貢献した。

「オポジットのやるべきことは得点を取ることなので、攻撃面は改善していきたい」

3月の初めにそう話していたように、シーズンが進むにつれて対戦相手からのマークもきつくなり、決定率で苦しむ試合はあった。

それでもシーズンを通してアタック決定率は50.1%と、リーグ10位の成績を残した。

「パワーもあるしガッツがある選手で、勝負所もすごいサーブが入って点数を広げたりする。若いのに本当に頼もしい」

樋口裕希が語るように、頼れるエースとしてチームを支え続けた。

全体の一体感を高めたその闘志
チームの背筋を伸ばした感情表現

アタックを決めて吠え、コート上に活力をみなぎらせる。

「リーグのレベルが高いので、常に本気でいかないと通用しない」

そう話すように、いつでも全力でプレーしてきた。闘志あふれる姿はコート上のメンバーにも伝播し、集中力と緊張感を吹き込む。それは練習中からだった。

「彼の場合は、自分のプレーがうまくいかなくてイラついているのが次のパワーになったりしている。いいアンガーマネジメントになっているので周りの熱も上がるし、いい影響になっている」

樋口はそう明かす。練習中に少し気が緩んでいたら、その姿に自然と引き締まる。

「昨シーズンに比べると雰囲気が変わっているのが大きい。ウルリックも試合だったら『こうしよう』とか色々言ってくれる」

工藤有史がシーズン序盤に話していたように、積極的にコミュニケーションを取ってきた。勝利へのあくなき執念を見せ、チームの雰囲気を下げさせない。

「SVリーグ全体に言えることだが、プロの環境はすごくいいのでその中でプレーできるのはとても感謝している」

ケアが受けられること、データをすぐに共有できること。その環境に身を置けることに喜びと感謝を伝えていたウルリック。

「多くの観客の前でプレーできるのはとても幸せなこと」

その思いに見合うだけの――いや、それ以上の成績と闘志、そして期待感をVC長野に残してくれた。人生の遍歴をタトゥーに刻んでいるというその左腕。来季どこかで再会するならば、新たにコヨーテが刻まれていればいい。

PROFILE
ウルリック・ダール(Ulrik Dahl) 2000年11月18日生まれ、デンマーク出身。14歳の時、3歳上の兄の影響でバレーボールを始めた。年代別のデンマーク代表に選ばれ、19歳からイタリア、ベルギー、スペインでプレー。2023-24シーズンはサン・ロケ(スペイン)でサーブ賞を受賞した。今シーズンからVC長野に加入。強打のオポジットとして中軸を担った。201cm、97kg。最高到達点363cm。


ウルリック・ダール 2024-25 SVリーグ男子 個人成績
https://www.svleague.jp/ja/sv_men/player/detail/5175

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