ビーチバレーに挑んだ藤原奨太・飯田孝雅ペア 砂の上で得た“絆”と“気付き”

SVリーグ初年度を終えて新たなシーズンに向けて始動したVC長野トライデンツから、藤原奨太・飯田孝雅のペアがビーチバレーツアーにスポット参戦。2025年6月27日に行われたアクティオエキシビションマッチでは、いつものインドア6人制とは全く異なる2人制の世界で、他チームの選手や招待選手、大学生らと砂の上で熱戦を繰り広げた。どんな気づきを得たのか、当日のプレーぶりも交えながら振り返る。
文:大枝 史 /編集:大枝 令
KINGDOM パートナー
初めての本格的なビーチバレー
風と砂に翻弄されながらも善戦
舞台をアリーナからビーチに変えて、汗を流した。
6月28〜29日の立川立飛大会に先駆けて、27日にはアクティオエキシビションマッチが開催され、VC長野トライデンツからは、藤原奨太・飯田孝雅のペアが参戦した。

競技方法はアクティオエキシビジョンマッチオリジナル・ルール。4〜5チームがチェンジしながら時間内にポイントで勝敗を競う特別ルールで行われた。
藤原・飯田ペアは初戦の#4を2位で通過して#9のWinners Roundに進んだが、惜しくも3位で#10のLosers Roundへ。

5チーム中で1位になればFinal Roundへ進出できたが、ここでは地元の応援を背に勝ち進んできた東京GBの亀山拓巳・五頭寛大ペアが通過。余勢を駆ってFinal Roundでも躍動。優勝を手にした。

2位には青山学院大学の高宮エヴァン・中村來太郎ペアが入り、藤原・飯田ペアは同率6位の結果となった。

KINGDOM パートナー
風との戦いと技術の壁
大学生の強打に感嘆
3位となった#9から#10のLosers Roundまでは、数分の休憩を挟んで連戦となった。
「楽しいです。楽しいけれど、2人なので体力面でキツい」「6人ではないので、2本目を上げる人のトスの精度は大事」
終わった後に藤原は充実した面持ちで振り返った。

VC長野でトレーニングがてらに砂浜に行くことはあっても、いつもは3対3での練習。2人制の本格的なビーチバレーは両選手とも初体験だった。
以前はビーチバレー経験者の波佐間泰平がチームにいたが、手探りでの挑戦となった。

「ボールの下から真上にしっかり跳ばないと強打は打てない」
飯田が語るように、風の影響を受けやすいビーチでは、インドアとは違う跳び方を求められる。
法政大学や国士舘大学の学生たちが見せる強打の連続に「ガンガン打っていてすごい」と感嘆の声を上げるほど、ビーチバレーに慣れている選手たちとの実力差も実感した。

それでも「やってみて全然戦えなくはなかった」と藤原が振り返るように、相手のいないスペースを狙う戦術で善戦を見せた。
「今日は奇跡的にサーブがいいところに打てていた」
初戦の#4では藤原と飯田が交互にサーブを打っていたが、#9からは藤原がサーブを担当。途中から作戦を変えて奮闘した。

東海大時代の「絆」を再確認
背中を追いかけた先輩との再会
#9では招待選手の山本龍・越川優ペアとも対戦した。
「大学を出てから1回も対戦する機会はなくて、今日久しぶりに龍さんと試合があったのでうれしかった」

飯田は東海大時代の1つ上の先輩に当たる山本との邂逅に喜びをあらわにした。
「東海ではキャプテンですごく頑張ってくれた。僕も次の年にキャプテンをしたが、『龍さんみたいにやれば』と背中を追いかける存在だった」
当時を振り返ってそう話す。
#9の結果から両ペアとも#10にまわり、続けての対戦となった。

「去年からちょくちょくビーチの大会に出てらっしゃったので、うまい。セッターだけあっていろんなところが見えている」。ビーチバレーに慣れた先輩の技術を改めて実感していた。

慣れない砂の上で風に翻弄されながらも粘りを見せた2人。コート内外でもたくさんの笑顔を見せたように、充実の一日となった。

6人制との違いについて藤原は、「2人であのコートを守るとなったら6人制よりもコミュニケーションも必要だし、相手を見るというのも必要」
「(ビーチバレー)プロの選手は頭の回転を早くして、6人制にはないことをやってくるのですごくいい経験になった」
立川立飛大会での刺激も持ち帰った2人。
砂上で得た経験を、フロア上の楼閣に積み上げる。