目指すは「1桁順位」 変化より進化を選んだAC長野が始動 

「変化」よりも「進化」を求めて――。2026年6月24日の始動日。グラウンドに姿を見せたAC長野パルセイロの面々は、お馴染みの顔ぶれが並んでいた。J2・J3百年構想リーグを戦った30人(福井ユナイテッドFCに期限付き移籍中のFW加納大を除く)がそろって残留し、新戦力は栃木SCから期限付き移籍したFW庄司朗の1人だけ。昨季途中に就任した小林伸二監督の下、積み上げを継続しながら新シーズンに臨む。小林体制2シーズン目をスタートさせたチームの現状を報告する。

構成:田中 紘夢

今季もフィジカル強化から始動
右肩上がりの成長続けるために

18日間という短いオフを終え、獅子たちはグラウンドに帰ってきた。

変わらないのはメンバーだけでなく、練習メニューも同じ。オフ明け恒例の走り込みから始まり、DF附木雄也は「思ったよりやったな…」と苦笑。それでも、「いつも通りに良い練習ができた」と充実感を口にした。

小林監督は始動日の前日にも練習場を訪れ、「選手が何人も来ていてびっくりした」と明かす。短いオフシーズンの中で、選手たちは完全休養の日を少なくし、新シーズンに向けて仕上げてきた様子だ。

始動から3日間はペース走、サーキット、シャトルランとフィジカルトレーニングが続き、選手たちは軽快な動きを披露。初日の練習を終えた指揮官は「選手がすごく明るかった。ケガ人が少なくなっていて、気持ち良くトレーニングできた」と声を弾ませた。

昨季途中に負傷離脱したMF安藤一哉とMF森田大智も初日からフルメニューを消化した。昨季終盤に復帰した安藤は「継続してやってきた選手とのフィジカルコンディションの差は明らかだった」と話し、遅れを取り戻そうと必死。その言葉は、チーム全体のフィジカル水準が上がっている裏返しでもある。

序盤戦で低迷した百年構想リーグは、折り返し前の3月末に小林監督への指揮官交代に踏み切った。監督就任前の8連敗が響いて40チーム中37位に終わったが、最後は4連勝(PK戦での勝利を含む)で締めくくり、右肩上がりでシーズンを終えた。

1試合平均失点数は、監督交代前の「2.75」から「0.92」に激減。確かな変化が見られた中で、ディフェンスリーダーの附木はさらなる進化を求めている。

「攻撃でどう点を取るかというのはあるけれど、守備は変わりなくオーソドックスにやっていくと思う。そこを一人一人が洗練していければ、もっと引き締まった試合ができる。伸二さん(小林監督)が言う『攻守一体』を磨かないといけない」

「デカくて走れる」FWが加入
庄司朗は攻守を高めるカギに

進化を加速させるべく、唯一の新戦力もやってきた。同じJ3の栃木SCから1年間の期限付き移籍で加わったFW庄司朗だ。

2025年に大卒で栃木SCに入団し、当時チームを率いていた小林監督と長島裕明ヘッドコーチから指導を受けた。プロ1年目の恩師たちからラブコールが届き、期限付き移籍を即決。2人への信頼は厚い。

「伸二さんは自分に足りないものを正直に言ってくれるし、練習から追い込んで成長できた感覚はあった。チョーさん(長島ヘッドコーチ)はいろんなポジションを経験する中で、親身になって自主練習や相談に付き合ってもらった。あの2人には感謝があるし、これも何かの縁だと思った」

栃木SCでは本職のFWだけでなく、シャドーやウイングバックも経験した。不慣れなポジションで新たな気付きを得ながらも、「FWで勝負したい」という思いは揺るぎない。小林監督もFWでの起用を目論んでいる。

187cmの長身ストライカーは、「デカくて走れるのが武器」と自負する。指揮官も「小手先がうまいわけではなくて、ハードワークとアグレッシブ。そういう選手がいると、いろんな選手が生きるんじゃないか」と評し、味方との連係に期待を寄せる。

ボールを収め、追いかけ、ゴールを仕留める――。庄司には攻守をレベルアップさせる役割が求められる。

1桁順位を目指し、勝負の夏へ
小林監督「全員の力が必要」

J2とJ3が混在した百年構想リーグから、今季はJ3に舞台を戻す。

就任2シーズン目の小林監督が掲げた目標は、J2に自動昇格する「2位以上」でも、昇格プレーオフに進む「6位以上」でもなく、「1桁順位」だった。

AC長野はJ3が現行の20チーム制になった2023年以降、1桁順位で終えたシーズンが一度もない。百年構想リーグも、J3勢に限って見れば17位相当。1桁順位は堅実で現実的な目標設定と言えるだろう。

今季からJリーグは秋春制に移行し、8月初旬に開幕を迎える。AC長野は、長野県選手権や天皇杯全日本選手権を含めると8月に最大7試合が待っており、いきなり総力戦を強いられる可能性もある。

「この期間がすごく大事になってくる。全員の力が必要」と小林監督。昨季からの入れ替えが少ないからこそ、他クラブよりも結束の強さを示さなければならない。

プレシーズンは例年のようにキャンプは行わないが、上田市の菅平高原で連日の2部練習をこなし、午前と午後の合間もチームで過ごす予定。ミニキャンプのような位置付けで親睦を深めるつもりだ。

最初の公式戦は、アンテロープ塩尻(県リーグ1部)と対戦する7月25日の県選手権準決勝。ここから1カ月間、実戦モードに仕上げていく。


クラブ公式サイト
https://parceiro.co.jp/

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