チーム唯一の地元出身・中村亮太 エース&主将不在の逆境も“ピンチはチャンス”

開幕から6試合を終えて1勝5敗のボアルース長野。前々節にF1リーグで896日ぶりの勝利を挙げたものの、アウェイの前節は連勝とはならなかった。今週末の2025年7月13日には、ホーム・ことぶきアリーナ千曲にしながわシティを迎える。エースとキャプテンが出場停止という非常事態の中、長野市出身の中村亮太が不安を“一蹴”しようと牙を研ぐ。

文:田中 紘夢/編集:大枝 令

フットサル未経験から歩んだ階段
指揮官も「順調に伸びてきている」

「3年前はフットサルを始めたばかりで、何も分からず先輩についていくような状態だった。今は前線で身体を張ったり、チームに良い影響を与えられるようになったと思う」

6月1日のF1開幕戦。
リーグ最多優勝の名古屋オーシャンズに1-2と食らい付いたのち、中村はそう手応えを話していた。

3年前、中村は競技を始めて2年目だった。松本山雅FC U-18と信州大サッカー部を経て、フットサルに転向。右も左も分からないまま飛び込んだ世界で、F2降格という悔しさを味わった。

あれから年月が経ち、チームとともにF1に帰ってきた。在籍5年目、フットサル最高峰の舞台に再挑戦。最前線のピヴォに入り、身体を張って攻守ともに牽引する。

「良い形を自分のところから作れることもあるし、チームとしても良い連係の中からゴールが奪えている。F1でも全然戦える」

ホーム開幕戦となったボルクバレット北九州戦では、味方との鮮やかな連係から今季初ゴール。チーム唯一の地元出身選手として、1,118人の観衆を沸かせた。

「長野県出身の自分が率先してチームを鼓舞しないといけないし、地元出身というのをどんどん出していかないといけない。1点でも多く、一つでも多くの勝ちを届けられる選手になりたい」

今季は副キャプテンにも就任した。ヘッドコーチ時代から成長を見守ってきた山蔦一弘監督は、「彼のストロングポイントは真面目なところ。何においても真摯に取り組んでくれて、順調に伸びてきている」と評する。

指揮官が求めるのは、目に見える結果だ。これまでの4年間の得点数は、1、5、7、10と推移。着々と階段を歩んできたことが見て取れる。

昨季はF2で10ゴールという目標を成し遂げ、今季も引き続き10ゴールを掲げる。より高い数字も見据えていた中で、F1再挑戦ということもあって謙虚さを表した。

エースと主将を欠いてケガ人も続出
ピンチをチャンスに変えられるか

次節のホームゲームは、まさに真価が問われている。

前節に退場処分を受けた上林快人と三笠貴史が出場停止。前者はチーム最多の4得点を挙げているエースで、後者は守備の要を担ってきたキャプテンだ。

エースとキャプテンを欠く上にケガ人も続出。台所事情は極めて厳しい。それでも中村は「ピンチはチャンス」と捉え、リーグ2勝目に向けて顔を上げる。

「昨シーズンも上林選手がチームで一番点を取って、自分は2番目だった。上林選手が点を取ればチームも乗っていける中で、自分もそういう選手にならないといけない。自分が引っ張っていく気持ちでやらないといけない」

出番が少ない面々にとっても、絶好の機会だ。山蔦監督は経験の浅い大卒選手にも期待を寄せる。

「浅田琉星と吉田怜生は前回のホームでデビューして、短い時間でも得るものがあったと感じている。次の試合で何を得て、そこからどう成長できるか。チャンスと捉えてほしい」

地元・松本大卒の浅田は2試合連続出場中で、練習からコンディションの良さがうかがえる。彼らのフレッシュさも生かしたいところだが、中村からすれば「試合に出られるチャンスじゃなくて、試合で結果を残せるチャンスだと思う」。

開幕から1勝5敗と苦しんできた中で、求められるのはあくまで結果。「ここで数字を残せる選手が、本当の意味でチームを救えると思う。そこは貪欲にやっていきたい」と力を込める。

過去に激闘演じた“因縁の相手”
ホームで現状のベストを尽くす

今季3度目のホームゲーム。ことぶきアリーナ千曲に迎えるのは、過去に激闘を繰り広げてきたしながわシティだ。

4年前のF1・F2入れ替え戦では、2戦合計4-4でドロー。1-4の状況からわずか7分間で同点に追いつき、F1チーム優位のレギュレーションで“奇跡の残留”となった。

しかし3年前の入れ替え戦では、2戦合計4-8と大敗。F2降格が決まった。その際に出場していた中村は、“因縁の相手”を迎えるにあたって思いを寄せる。

「当時は勝ったり負けたりしてきたけど、今はお互いに違うチームだし、やってみないと分からない。意地のぶつかり合いになると思うので、なんとか勝ちたい」

前回のことぶきアリーナ千曲開催のホームゲームでは、フウガドールすみだに5-1と快勝。相手の指揮官は当時しながわを率いていた岡山孝介監督で、「負けられない思いはあった」と山蔦監督は明かす。

しながわは3月に行われた全日本選手権で優勝。日本一のチームに対して、「このメンバーでどれだけやれるか」が試されている。ホームの声援も力に変え、現状のベストを尽くすのみだ。


7月13日(日)Fリーグ第7節vsしながわシティ 試合情報
https://boaluz-nagano.com/news/topics/
チーム公式サイト
https://boaluz-nagano.com/
Fリーグ チーム紹介ページ
https://www.fleague.jp/club/nagano/

たくさんの方に
「いいね」されている記事です!
クリックでいいねを送れます

LINE友だち登録で
新着記事をいち早くチェック!

会員登録して
お気に入りチームをもっと見やすく

人気記事

RANKING

週間アクセス数

月間アクセス数