バスが紡いだ“オレンジの絆” 大宮との2年ぶり再会へ、アリーナは扉を開けて待つ

“オレンジの絆”は不変だ。AC長野パルセイロは2026年2月28日、ホームでのJ2・J3百年構想リーグ第4節でRB大宮アルディージャを迎える。2年前の前回対戦は雷雨の影響で中止。試合後のバス会社やサポーター有志による助け合いが話題となった。その一端を担った株式会社アリーナの滝澤功一郎・取締役営業部長は、大宮サポーターとの再会を心待ちにしている。
文:田中 紘夢
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立ち往生する大宮サポに救いの手
円滑に運行できた裏には“秘話”も
雨降って絆強まる――。
北陸新幹線で結ばれた長野と大宮。その地に根づく両クラブを、強く結び付けたエピソードがある。
2024年8月24日、J3リーグ第25節。AC長野パルセイロがホームに大宮アルディージャを迎えた一戦は、雷雨の影響で79分をもって中止に。決断が下されたのは、時間にして20時20分過ぎだった。

北陸新幹線上りの最終便は、22時11分発。2時間弱のバッファはあるものの、スタジアム最寄りの篠ノ井駅-長野駅を結ぶ沿線が運転見合わせで、帰路へ向かう足がない。そこでバス会社や長野のサポーター有志が手を差し伸べ、大宮サポーターを送り届けた。
詳しい舞台裏は、当時の記事を参照していただきたい。
バス会社として一役を買ったのは、株式会社アリーナだ。
JR東日本から代替輸送の要請を受け、3台のバスを稼働させた。うち1台は選手を送迎するラッピングバスで、2台は須坂市役所からの応援バスツアーによるもの。実はそれだけの台数を流用できたのは、“棚からぼたもち”でもあった。

「須坂市さんからは1台だけお願いされていたけれど、うちのホームページで募集したらものすごく人気で…。15分もかからずに埋まってしまって、止めるように言ったものの、『時すでに遅し』だった」
そう明かした滝澤功一郎・取締役営業部長。だが結果的には追加した1台がなければ、代替輸送は間に合わなかったかもしれない。篠ノ井駅で立ち往生しているサポーター全員を乗せるには数往復が必要で、2台だけでは心もとなかった。
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「困っているときは動かないと」
大宮の当時社長からも感謝の声
過去にもアウェイチームが訪れる際、途中で電車が止まる事態に直面した経験がある。アリーナは篠ノ井駅からバスでピックアップする予定だったが、急きょ30kmほど先の駅へ。無事に選手とスタッフを送り届けた。
先代の社長の時代から「人が困っているときは動かないといけない」という社風があり、JRとも密接にコミュニケーションを図っている。そういった積み重ねと巡り合わせ、そしてクラブ愛が相まって、大宮戦も絶妙な「アシスト」に繋がった。

中止日の2週間後に開催された再開試合では、長野駅から予約制無料シャトルバスを運行。予約ページに設けられた備考欄には、大宮サポーターから感謝の声が届いたという。
現地でもお土産をもらったり、写真撮影やハグを求められたり――。当時の大宮の佐野秀彦代表取締役社長も来社して御礼を受けた。試合時間はたったの11分だが、アリーナにとってかけがえのない一日だった。

昨年5月にはNHKの「Jリーグと私 あの試合を忘れない」というシリーズ番組で、大宮サポーターの目線から特集が組まれた。そこでも滝澤さんは「サッカーファミリーの皆さんが困っていれば助けなければいけない」と言い残している。
オレンジを基調とする者同士が、バスを介して紡いだ絆。今もサポーターの胸に深く刻まれている。
2年ぶり再会へ、万感の思い
「また声をかけてくれたら」
あれから1年半が経ち、再会のときがやってきた。2月28日のJ2・J3百年構想リーグ第4節、大宮をホームの長野Uスタジアムに迎え入れる。
「大宮のサポーターには特別な思いがある。きっとあの時の人たちも来てくれるだろうし、また声をかけてくれたらうれしい」

滝澤さんはAC長野の勝利を願いつつ、長く試合を楽しむために「PK戦まで行ってほしいくらい」と微笑む。前節の福島ユナイテッドFC戦で6-0と大勝した首位に対し、「ああいう試合だけはご勘弁いただきたい」とクギを差すのも忘れない。
昨年からクラブと協力し、篠ノ井駅から無料シャトルバスの運行も始めた。ホーム開幕戦の北海道コンサドーレ札幌もそうだが、J2のチームは観客動員が多く、バスの稼働もJ3より忙しい。とはいえ滝澤さんは、「それだけクラブのチケット収入も増える」と苦にしない。

アウェイバスツアーにも添乗員として同行し、試合中はサポーターとともに応援に精を出す。ジュビロ磐田との開幕戦では、ヤマハスタジアムの雰囲気に圧倒されたという。今週は大宮のサポーターが大挙押し寄せることが予想されており、万全の体勢で迎え入れる構えだ。
当時は再開試合を終えても0-0と決着がつかず、試合後にはサポーター同士が互いの健闘を称え合った。今回はどんなドラマが待っているのか。アリーナはその舞台を支える一員として、サッカーファミリーを無事に送り届ける。

ホームゲーム情報(2月28日、RB大宮アルディージャ戦)
https://parceiro.co.jp/info/detail/deBh25jCyYRHtfOctTyqJDh2b0JSZC1qcExOSm5ERkUydUVzT3B6VnJ1a2RVQnNmZjZsMEduVHJWeWc
クラブ公式サイト
https://parceiro.co.jp/
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