完全優勝でも満たされない “Never Settle”を掲げた信州Ariesの決意

“Never Settle ―心火し続ける―”。2026-27シーズンのスローガンは選手たちの声から生まれた。ルートインホテルズ信州ブリリアントアリーズは、25-26シーズンのVリーグ女子でレギュラーシーズンとプレーオフを制して完全優勝。Vリーグ2連覇を達成した。それでも、過去の栄光に誰一人として満足していない。新設のSVリーググロース女子(国内2部相当)で戦う今季は、国内最高峰のSVリーグ昇格という目標に向けて新たな一歩を踏み出す。

文:大枝 史

新カテゴリーでの挑戦
「優勝は通過点」と指揮官

2026-27シーズンはSVリーググロース女子で戦うルートインホテルズ信州ブリリアントアリーズ。

2連覇を達成したVリーグとの大きな違いは、優勝してSVライセンスを保有していれば入れ替え戦を経てSVリーグへ昇格する可能性があることだ。チームの目標も「Growth初代女王&3連覇〜入れ替え戦で勝ち切れるチームになる〜」とした。

チームを率いる成田郁久美監督は「優勝してライセンスを持っていれば入れ替え戦ができる。うちだけではなくて他チームのモチベーションもかなり上がっているだろうし、今まで以上に厳しいリーグになってくると想像している」と警戒を強める。

Vリーグで2連覇してもSVリーグに昇格することはできなかったが、新設のSVリーググロースに参入する今季は最高峰リーグへの道が拓けた。

「入れ替え戦で勝ちにいく。優勝は通過点」と指揮官は豪語する。

求めるのはSVリーグで戦う基準だ。25年12月13日の皇后杯全日本選手権2回戦では、SVリーグの大阪マーヴェラスと対戦。セットカウント0-3で完敗し、大阪MVはそのまま優勝した。

その試合を経て指揮官が指摘するのは意識の差だ。

「やはり試合に対する姿勢や決め切るところの厳しさ。どうやって点を取るか、どうやって相手を崩していくか。そういう意識の差は大きなものがあると感じた」

所属してきたカテゴリーの中では高さがある信州Ariesも、SVリーグ基準で見れば低い部類に入る。「(VリーグやSVリーググロースで)決まるからこれで良い」では、SVリーグでの戦いを見据えた成長は難しい。

新たな目標に向けて、細部にまでこだわって取り組んでいく方針だ。

先輩に支えられる新キャプテン
西村美海が考える役割

Never Settle、現状に満足しない。

選手一人一人が意見を出し、最終的に多数決でスローガンを決めた。新キャプテンに就任した西村美海は「言葉は違っても、みんな一緒のことを言っていた。誰も現状に満足していなくて、『もっと上を目指していこう』という思いが一つだった」と振り返る。

25-26シーズンは27勝1敗でレギュラーシーズンを終え、プレーオフも全てストレート勝ちを収めて完全優勝を果たした。それでも指揮官同様、選手たちに慢心はない。心に火を灯し、目指す場所へと歩みを進める。

副キャプテンは、キャプテンとしてチームを引っ張った経験のある横田実穂と、昨季から継続となった佐藤未羽が務める。

これまでにチームを支え、引っ張ってきた2人は西村にとって頼りになる存在だ。

「周りの先輩方が助けてくれて、気にかけてしゃべってくれる。それに甘えていこうかなと思っている」と笑顔を見せる。

ただ甘えるだけではなく、西村は自身の立ち位置をしっかりと見つめる。

「環境が良くなっているのは、これまでの先輩の活躍だったり成績だったり(があるから)だと思う。SVリーグを経験した選手たちとうまく調和しながら、みんなの良いところを引き出すのが私の役目」

SVリーグを経験してきた選手が増えてきた中で、潤滑油の役割を果たしてチームをまとめていく。

スローガンに込めた決意
高みを目指すための「シンカ」

「心火」の文字で表現した「シンカ」には、いくつもの意味が込められている。

まずは「新化」と「進化」。そのために様々な取り組みを始めている。選手それぞれが一つのポジションにこだわらず、複数のポジションにチャレンジ。攻撃の工夫やコンビを組んだ際の化学反応などを模索していく。

26-27シーズンは岐阜リオレーナと4節8試合、他の相手とは3節6試合が組まれている。同じチームと数多くの対戦を控える中で、戦い方に幅を持たせて相手の対策を上回る狙いもある。

そして「深化」。

ウェイトトレーニングやラントレーニングを含めた夏の鍛錬期間で、どれだけ自分を追い込めるか。

「『もっとこうなりたい』とか『こういうプレーがしたい』とか。そういう声を本当にたくさん聞く」と西村は明かす。

妥協せずに自分を追求していくことが、自身、そしてチームの強さにつながっていく。

さらには「真価」。

地域貢献などを通じてチームとしての価値を高めていく。バレーボール教室などを通じた交流や、“上田わっしょい”や“雷電まつり”といった地域のイベントへの参加もその一つだ。ホームタウンの上田から、バレーボールの魅力を発信し続けていく。

「シンカ」するのは選手たちだけではない。

25-26シーズン終了後に行ったファン感謝祭には250人のファンが集まった。

西村は「今までにないくらい来てくれて、ファンが増えてくれているありがたみを感じる。自分たちのプレーで喜んでくれる声を聞くので、私たちと同じように心に火を灯してもらえれば」と呼びかける。

新化と深化を重ね、進化したプレーで見てくれるファンの心に火を灯す。その営みこそ、まさしくチームの真価を高めていく歩みだ。


チーム公式サイト
https://www.briaristcamp.com/
Vリーグ チーム紹介ページ
https://www.svleague.jp/ja/v_women/team/detail/484


たくさんの方に
「いいね」されている記事です!
クリックでいいねを送れます

LINE友だち登録で
新着記事をいち早くチェック!

会員登録して
お気に入りチームをもっと見やすく

人気記事

RANKING

週間アクセス数

月間アクセス数