「熱い試合で冬を乗り切りたい」 年男の常田将志は“一皮むける”

人懐こい笑みと鋭いスパイク。その両面性をコートで見せるのが、長野ガロンズのオポジット(OP)常田将志だ。Vリーグ男子で得点ランキング4位となる176点をマークしており、得点源としてチームの躍進を支える。「仲間への思い」「地元愛」そして「プレーオフ出場」という、3つの思いを胸に奮闘する。チームは東地区3位につけており、1月4-5日から2025年の試合がスタート。今年で24歳を迎える年男が、巳年を迎えて一皮むけた姿を見せる。

取材・文:原田 寛子/編集:大枝 令

チームが繋いだボールを託される
アタック決定率で応える覚悟

第5節までの10試合を終え、得点数はチームトップの176得点。リーグの得点数ランキングでも4位に食い込む奮闘を見せている。常田将志は「うれしい結果ではある」という前置きしつつも、「アタック決定率が順位(ランキング)に載ってきていない」と悔しさをにじませる。

自身が指摘するアタック決定率は47.8%で23位。とりわけ際立った数字ではない。常田が決定率にこだわる理由は、トスに込められた思いにある。

今季特にそれを感じたのは、第4節つくばユナイテッドとの5セット目。キャプテンの酒井駿と川角純平のアウトサイドヒッター(OH)2人が試合中のアクシデントで足を痛めながらもコートに立っていた時だった。

PROFILE
常田 将志(ときだ まさし)2001年10月1日生まれ、松本市出身。梓川クラブに入った兄の影響で小学2年生からバレーボールを始める。松商学園高校から山梨学院大へ進学。2022年9月、篠崎寛監督のスカウトで長野ガロンズに加入すると、内定選手としてそのシーズンから試合に出場した。広角に打ち分ける左腕のスパイクを武器とするオポジット(OP)。身長182cm、体重75㎏。最高到達点338cm。

「ここで自分が踏ん張らなければいけない――と、さらにギアが上がった。セッターには『困ったら自分に上げて』と伝えた。改めて責任感を感じたし、勝ち切れた事で自信にも繋がったセットだった」

自分を信じてトスを上げてくれることへの回答は、きっちり決め切ること。それが常田に「アタック決定率を上げる」という揺るぎない決意を持たせている。

「サーブレシーブをあまりしない分、攻撃に重きを置いているポジション。キャッチのプレッシャーがないから、他のポジションよりも点を取らなければいけないと常々思っている」

その口ぶりには、チームの期待に応えようとする熱が込められていた。

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“好き”が導いた道、”感謝”が紡ぐ未来
バレーボールと向き合い続ける理由

試合やプレーについて語る力強い言葉。それとは裏腹に「とにかくバレーボールが好きという気持ちが一番にある」と常田は柔和な笑顔を見せる。

松本市出身。家族全員がバレーボール経験者というDNAを受け継いでいる。兄の影響で小学2年生からバレーボールを始めた。父親からは「好きなスポーツをやればいい」と言われながらも、自然とボールを追いかける日々が始まった。

身近な存在として、梓川小・梓川中で1学年上の先輩で現在はチームメイトとなった奥原蓮の存在があった。数校からスカウトを受けた際も、「蓮さんの試合を見に行き、雰囲気が良かった」という理由で山梨学院大学を選択した。

高校時代の3年間も国体少年男子の県選抜に選ばれて全国3位を経験。松商学園高として目立った成績を残せたわけではなかったが、母校への思いは今も深い。

「高校時代に自分自身のレベルアップができた。それは当時の先生のおかげ。いつかは母校に戻って自分の経験をフィードバックして恩返しがしたい」

その思いは、大学時代の恩師の言葉によってさらに確かなものとなる。「母校に戻りたいという気持ちがあるなら、長野県に携わっていた方がいい」。その助言と時を同じくして、篠崎寛監督からスカウトの声がかかった。

加入2年目。現在は仕事と競技の両立という新たな挑戦に向き合っている。

「好きなバレーボールを続けていられることは当たり前じゃない。自分を拾ってくれたガロンズには勝つことで貢献したい」

「仕事の後の練習が大変だと感じるときもある。それでもバレーボールが好きという気持ちが上回るから、プレーできることに感謝をしつつ練習に取り組みたい」

故郷・長野県でバレーボールを続けられる幸せ――。
それが常田の原動力となり、さらなる高みを目指す力となっている。

同志の声援を力に変えて
プレーオフへの道を切り拓く

2024年ラストゲームとなった前節・埼玉アザレア戦。0-3、1-3と連敗を喫した試合からも一定の手応えを得た。

「相手は守備のいいチーム。苦しめられたのは事実だが、拾われることは承知の上。その中で我慢して点を取れた部分は、チームとして通用していると感じる」

そして1月4-5日のホームゲームは、アウェイで連勝した千葉ゼルバを迎える一戦。「前回の連勝は一回忘れて、再度挑戦する気持ちで試合に臨みたい」と、一戦必勝の気概を示す。

現在Vリーグ東地区3位につける長野ガロンズ。年明けからはレーヴィス栃木や富士通カワサキレッドスピリッツとの初対戦も控える。プレーオフ進出へ向けて必要な2位以上を目指して挑戦は続く。

「応援の声がもたらす1点というのは必ずあると思う。年明けから毎週のように開催される試合で辛い状況になることもあるけれど、そこで力になるのは同志(ファン)の応援の声だと思う」

常田は確信を持って語る。

「熱いゲームをするので、寒い季節を(ファンと)一緒に乗り切りたい」

2025年1月4日。
須坂市市民体育館に、どこよりも早い“春一番”が吹く。


Vリーグ男子東地区 千葉ZELVA戦 試合情報
https://x.com/NaganoGarons/status/1874651654760624199
クラブ公式サイト
https://garons.jp/
Vリーグ チーム紹介ページ
https://www.svleague.jp/ja/v_men/team/detail/474

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