“日々成長”の集大成は福岡で 「勝利」と「笑顔」のラストバトルに臨む

B1復帰への道が断たれてから4日後。2025年17-19日に行われるプレーオフ(PO)3位決定戦に向けてチームは練習を開始した。相手は西地区1位のライジングゼファー福岡で、チームは再び九州へと戦いの場を移す。目標を達成できなかった今、どのようなモチベーションを持ってラストバトルに挑んでいくのか――。勝久マイケル・ヘッドコーチ(HC)や選手に思いを聞いた。
文:芋川 史貴/編集:大枝 令
戦う理由は「お客さんのために」
勝利でシーズンを終えられるか
5月14日、チームはことぶきアリーナ千曲でビデオミーティングと、ウォークスルーを行い軽めのメニューで調整した。
目標が断たれた後の練習や調整日ということもあり、クォーターファイナル前やセミファイナル前の練習と比べて、雰囲気はやや落ち込んでいるようにも見えた。

それはそのはず。今季のチームは「B1復帰、B2優勝」を目標に戦ってきており、誰も3位決定戦を目指していたわけではない。しかも遠征先は福岡。身体的にも精神的にもタフな状況は続いている。
それでも選手たちは再び立ち上がった。3位決定戦に向けて選手たちはどのようなモチベーションを持って臨むのだろうか。

生原秀将が語った。
「ミーティングでもマイクさん(勝久HC)からあったけど、お客さんがお金を出して見に来てくれる以上は、自分たちとしても勝利や良いパフォーマンスを見せる必要がある」
「いろいろみんな思うことがあると思うけど、モチベーションを持ってとにかく勝って終われるように。このままでは負けて終わりになるので、勝って終われるようにしたい」

勝久HCや久山智士アシスタントコーチ(AC)らも、厳しい状況の中で立ち止まるわけにはいかなかった。指揮官も言葉を紡ぐ。
「やっぱりどうしてもみんな(3位決定戦に対しては)思っていることなので口には出てしまう。本来はライセンスがあるかないかの関係で組まれている試合だと思うので。我々からしたら昇格だったり、優勝だったりが目標だったので、それがなくなった今週は本当に難しい試合」
若手の活躍も必須の3位決定戦
悔しい感情も感謝もコートで示す
福岡も一筋縄ではいかない相手なのは間違いない。リーグ最高峰のフィジカルを持つジョシュア・スミスやジャスティン・バーレルらが在籍し、POで調子を上げているアンドリュー・ランダルといった外国籍のみでも手強い相手だ。

「福岡相手に一番いつも大事になってくるのはインサイドのダブルチームのローテーション」と勝久HCが語るように、マッチアップも非常にタフになってくる。

それに加えて信州はケガ人の状況も無視できない。これまでプレータイムが少なかった選手たちにもチャンスがあると予想される。
シーズンを通してプレータイムが伸びなかった山崎玲緒は闘志を燃やす。
「試合に出たら今まで出られなかった悔しい気持ちだったり、『自分が出ていたらこういうこともできたんだよ』っていうことをコーチに見せれたらいい」
またセミファイナルのGAME2で成長を見せた狩野富成も、意気込みを新たにする。
「楽しく勝って終わらせたい。ブースターさんにも安くないお金を払って現地まで来てくれる方もいると思うので、そういう方たちの前で『来て良かったな』という気持ちになってもらえるように頑張りたい」

勝っても負けても、この試合が今季のメンバーでともに戦えるラストバトル。目標には届かなかった。親族の不幸に伴って帰国したペリン・ビュフォードのほかケガなどの3人は帯同しない。
それでも選手たちには、最後までブースターへ勝利を届ける義務と責任がある。
そしてブースターには、勝利を信じて最後までチームを後押しする楽しみが残されてもいる。

「限られたメンバーにはなるけれど、そんな状況でも選手のハートが見れるように、しっかりと応援してくれる人のために戦っていることを感じ取れるような試合をしたい」
勝久HCが語るように、チーム状況は変わらず苦しい。それでも福岡の地で見せる勇姿が、今季の集大成。たとえどんな戦いになったとしても、日々積み重ねた全てを、そのコートに置いてくる。