“スーパースターの師匠”ウェイン・マーシャル 大詰めのコートで示す価値とは

2018-19シーズンから信州ブレイブウォリアーズに再び加入し、今季で7年目。ウェイン・マーシャルはB1昇格からB2への降格や自身の大ケガなど、多くの苦楽を経験してきた。コート内外でチームの砦として大きな存在感を放つ大黒柱。日本人ビッグマンの渡邊飛勇と狩野富成には絶大な影響を与えてもきた。ケガが癒えて戻ってきたキーマンに、終盤戦のポイントや意気込みを聞いた。

文:芋川 史貴/編集:大枝 令

コンディションは“良好”
復帰戦で示した頼もしいプレー

4月9日のチーム練習。
メディア4社がマーシャルを取り囲んだ。

「スーパースターなら他にもたくさんいるでしょ」

少し照れた表情を見せながら、口を開いた。

「日々のルーティンは同じだけれど、今季は運がついているよ」

そう語るマーシャル。今季はケガを負った直近の過去2シーズンに比べて、多くの時間をコートで過ごしている。攻守にわたって勝久マイケル・ヘッドコーチ(HC)のバスケットをミスなく遂行し、チームメンバーからも慕われる。

3月11日の熊本戦から3月30日の福島戦GAME2まで7試合を欠場したマーシャル。復帰した富山戦ではプレータイムの制限がありながらも、要所で3ポイントシュートを沈めるなど存在感を発揮した。

「試合に出ていない状態から戻ってきた時は、チームに対してどうやって溶け込んでいくか、チームプレーをしていくのかというアジャストメントが難しい。できた部分とまだまだ錆びついていた部分もあったと思う」

自身のプレーを振り返りつつ、コンディションについても好感触のようだ。

「全体的に良いと思っている。シーズンの終盤戦となるこの時期は、他の選手も含めてコンディションが難しくなる場合もあるが、自分的には今のところ良い」

未来の“スーパースター”が躍動
師弟関係で示すビッグマンの真髄

マーシャルが欠場する中で「スーパースター」の片鱗を見せていたのが、日本人ビッグマンの渡邉飛勇と狩野富成だった。

特にシーズン当初はマーシャルからビッグマンの極意を学ぼうとする姿勢が多く見られ、その姿はまさに師匠と弟子のような関係性だった。

そんな2人の活躍について、“師匠”のマーシャルも目を細める。

「すごく二人ともステップアップしていて、グレートなパフォーマンスをしている。プレータイムも長くなってきていることによって、もっとより成長していると思う」

練習中でもマッチアップが多くなる師匠と弟子たち。プレーを通してビッグマンの何たるかを教えることもあれば、言葉としてもアドバイスを送る。

「大事なのは細かいことに集中することで、それはこのチームで成功するために必要なもの。細かいことをおろそかにしてしまう選手もいる中で、ディテールの必要性や、どれだけ一つ一つが大事かをアドバイスしている」

勝久HCも常に口にするディテール。指揮官のバスケットを遂行するためにも、選手としての価値を上げるためにも、小さいことや細かな部分こそ、こだわらなければならない。その細かさは自身のプレーの幅も大きく広げることになる。

例えばマーシャルは大きな体格で、ダンクやブロックといった豪快なプレーができる選手。だがそれと同じく、ステップを使って相手を欺くプレーや、柔らかいタッチのフローターシュートといった技アリなプレーも得意とする。

ディフェンスではギリギリまで相手と駆け引きをしながら、相手にとって不利な体勢でシュートを打たせることで決定力を下げさせている。ゴール下の番人として、味方選手にディフェンスの指示も送り、相手のスクリーンをかわせるようにする。

チームの頭脳として常に頭を動かし、声を出す。しっかりと遂行する。確かに師匠に比べれば、渡邉と狩野はステップアップの最中だ。

ただこのシーズンを通して、ピック・アンド・ロールに対するディフェンスや石川海斗とのピック・アンド・ロールなど、随所にマーシャルを彷彿とさせるプレーも飛び出すようになった。

マーシャルの存在は、信州のバスケットはもちろん、渡邉が活躍する日本代表のレベルアップにも貢献しているといっても過言ではないだろう。

PO勝ち抜きに必要な三種の神器
エナジー、フィジカル、遂行力

4月12-13日はいよいよホーム最終戦。レギュラーシーズンの締めくくりという意味でも、東地区2位となってプレーオフ(PO)をホームで開催するためにも、絶対に落とせない2試合となる。

「ブースターの皆さんにはこの1年間すごくサポートしていただいた。ホームコートアドバンテージを取って、皆さんにもう一度応援していただきたいと思う。また何よりもチームが成長することが一番。POの出場は決まっているので、その中でB1に戻れるように戦っていきたい」

もちろんチームの課題はまだまだ多い。
POを勝ち抜くために必要なことを尋ねた。

「POはどのチームもエナジーやフィジカル、プレーの遂行力が高いと思うので、その中で全員がその3つをチームとして正しいタイミングで発揮することが大切だと思う」

「自分だけでなく多くの選手がPOの舞台を経験していると思うので、その選手たちの経験も助けになってくる。自分たちにはトーナメントを勝ち進める能力があると思っているので、今までやってきたことを出して成功したい」

マーシャルが口にした要素はどれも、勝久HCがシーズンを通して言及していることだ。大切なのはこれまで積み上げてきたことをコートでしっかりと表現すること。そして一つ一つのプレーごとに成長を続けていくことだ。

ホーム最終戦では各日先着5,000人にチームカラーである黄色のTシャツが配布される。ブースターが作るホームの雰囲気の中で、青森ワッツに2連勝を勝ち取ることができるか。レギュラーシーズンも大詰め。POに向けてホームで2連勝して弾みをつけていきたい。


ホームゲーム情報(4月12-13日、青森ワッツ戦)
https://www.b-warriors.net/lp/game_20250412_20250413/
クラブ公式サイト
https://www.b-warriors.net/

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