五里霧中を駆け抜けた60試合の苦闘 全てはプレーオフを勝ち抜くために

2024-25シーズンのB2リーグはレギュラーシーズン(RS)60試合 が終了し、2戦先勝ノックアウト方式のプレーオフ(PO)がいよいよ開幕する。信州ブレイブウォリアーズは2025年5月3-5日のクオーターファイナル(QF)で西地区2位・鹿児島レブナイズとのアウェイゲーム。まずはチームが歩んできた60試合の成長記録を、キャプテンの一人・石川海斗らの目線からおさらいする。

文:芋川 史貴/編集:大枝 令

RSで残した宿題をリマインド
PO鹿児島戦に向けて練習再開

RS最終節・アルティーリ千葉との試合から数日後。

オフを挟んでPOに向けての練習を再開したチームは、シーズン前のトレーニングキャンプのような基本的な練習に多く取り組んでいた。

「僕らは見ている人たちにも分からないぐらいの細かい戦術や動きがある。味方のドライブの角度に対してどう合わせていくかという動きを確認して、『こう行ったらこう崩せる』という部分を練習していた」

石川海斗はそう語る。

POのQFで対戦するのは、RSで1勝1敗の成績だった鹿児島レブナイズ。攻守の激しさが特徴のチームで、ブロック数1位を誇る221cmマット・ハームスの存在感など、平面的にも立体的にも優れたチームだ。

「彼らの(ヘッド)コーチはヨーロッパでよくいる、いろんな戦術を練ってくるタイプ。そこに対して僕らは前回対戦した時にゾーンを攻めあぐねてしまった。もっとPOモードにならなきゃいけない部分もある」

「POでの戦い方はRSとは違う。だからこそ鹿児島相手に――というよりは、そこもしっかりとやりつつ、自分たちがやるべきことをもう一度確認して、それを鹿児島相手のスカウティングをしているときにどうフィックスさせていくのかが大事」

練習の高いクオリティーを石川は求める。

泣いても笑っても残り数試合。目標を達成するためにも、よりチームで鼓舞をし合ってアウェイに乗り込む準備をしていきたい。

ビュフォードとの連係は円滑に
歩み寄って「チーム」へと変貌

今季の信州は、豪華そのもののロスター。ワクワク感あふれるメンバーでRSの60試合を歩んできた。しかし4月13日のブースター感謝祭で栗原ルイスが述べたように、決して全てが順風満帆だったわけではない。

新加入選手のアジャストにはやはり時間を要したし、それに伴いディフェンスの強度が上がらずに落とした試合も多かった。

中盤戦から後半戦にかけては、試合の入り方が大きな課題となりスターティングメンバーを大幅に入れ替える試みもあった。

そして何より、B1得点王を過去に2度受賞したビュフォードの存在はチーム内に大きな影響を及ぼした。

例えばシーズン当初。ビュフォードがボールを持ったときに、周囲のメンバーがその場で止まってしまうシーンが多く見られた。

しかし終盤になるにつれて、スクリーンをかけたり動きを加えたりしながら、ビュフォードの得点能力とアシスト力を生かすことができるようになってきた。

コンボガードとしてビュフォードとともにコートに立っていた石川。その立場から、見えているものがあった。

「P(ビュフォードの愛称)という独特な感性を持っている選手に合わせる苦労は、多分みんなにあったと思う。でも60試合の中で彼は僕らに合わせようとしてくれたし、僕らも彼に合わせようとしてきた」

「お互いにリスペクトをしながら理解していくのにはやっぱり時間はかかったと思うけど、それが日に日に良くなることができた。そこはコーチが求めている日々成長ができた部分だと思う」

ビュフォードとの連係、チームとしての成長に手応えを口にする。

チームビルディングも佳境の局面
己を知り敵を知れば百戦危うからず

「日々成長」を大切にしているものの、ケガ人が増えたことでチームビルディングは思ったように進まなかった部分もある。

「何度もPを含めてケガだったり、メンバーが変わりながら、ちょっと積み重ねてはステップバック。ちょっと積み重ねてはステップバックとやりくりが続いた」

勝久HCがそう振り返るように、ビュフォードがシーズンの途中でインジュアリーリストに入り、タッカー・ヘイモンドが短期契約でチームに貢献した。

そして60試合全てに出場した選手を確認すると、アキ・チェンバースと三ツ井利也のみ。起用方法にもよるが、50試合以下の出場にとどまった選手は7人と少なくなかった。

ときにはその週の練習に参加しないまま試合に出場するケースもあり、コンディション面や連係の面で苦戦した試合もいくつかあった。

「決して自分たちが求めている結果ではなかったし、求められている結果ではなかったと思う」

石川はそう総括する。

とはいえ、目標を達成するための挑戦券は獲得した。

37勝23敗(東地区3位)でPOのQFホーム開催こそかなわなかったが、B1復帰&B2優勝のチャンスはまだ残されている。

ビュフォード以外の選手もこの1年で大きな成長を遂げてきた。

渡邉飛勇や狩野富成の日本人ビッグマンのコンビや、エースのような貫禄を漂わせ始めたエリエット・ドンリー。過去2シーズンよりもコートに立っている生原秀将やウェイン・マーシャルの存在感もそうだ。

チェンバースと三ツ井の3&Dの活躍、安定した遂行力を発揮する石川や栗原。少ない時間でもチームにエナジーを与える小玉大智や山崎玲緒――。

ケガをしてしまったが、リーグでも屈指の得点力でチームを引っ張ったテレンス・ウッドベリー。

何と頼もしい面々だろうか。

「シーズンで一番成長できたチームが優勝できる」と勝久HCも言うように、ここでシーズンが終わったわけでなければ、成長が止まるわけでもない。

負けられないトーナメントを勝ち進みながらチームとして成長し、成熟していくのもポストシーズンの醍醐味だろう。

PO初戦まで残りわずか。まずは目の前の練習にしっかりと取り組み、チーム戦術の理解やチームとしての結束力を高めてプレーオフモードへと突入していきたい。


クラブ公式サイト
https://www.b-warriors.net/
りそなグループB.LEAGUE 2024-25ポストシーズン特設サイト
https://www.bleague.jp/postseason/2024-25/
B2プレーオフQUARTER FINALS(鹿児島レブナイズ)
https://www.rebnise.jp/lp/game_20250503_20250505/

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