ゾーンディフェンス攻略できず苦杯をなめる 勝負は運命のGAME3に持ち越し

一筋縄ではいかなかった。2025年5月4日、プレーオフ(PO)クオーターファイナル(QF)GAME2。先勝していた信州ブレイブウォリアーズは勝てばセミファイナル進出だったが、蓋を開けてみれば苦闘の末に74-96と大敗。鹿児島レブナイズにとっては「負けたら終わり」の崖っぷちに立たされており、そのエネルギーにのみ込まれた。勝負は運命のGAME3へと持ち越された。
文:芋川 史貴/編集:大枝 令
明暗を分けた無得点の4分間
集中力を欠いて勝機を手放す
第3クォーター(Q)残り4分56秒。
栗原ルイスのチェックがかわされ、ジュフ伴馬の3ポイントシュートが決まる。50-61。信州はタイムアウトを要求した。前半は6点ビハインドと射程圏内で折り返したものの、徐々に点差が離されてきていた。

GAME1も離されかけるシーンはあったものの、得点を重ねて流れを渡さなかった。しかし、この日のGAME2。鹿児島の「負けられない」という気持ちで信州は上回られた。
シュートが入る度にボルテージが上がる西原商会アリーナ。その声援に応えようと奮闘する鹿児島の選手たち。黒のうねりがアリーナを包む。

一方の信州。タイムアウト明けの攻撃も得点に繋げることはできず、その時間帯で鹿児島に0-11のランを許す。
相手のゾーンディフェンスを攻略しようにも、要となる3ポイントシュートが入らない。残り時間5分54秒〜2分1秒の約4分間得点が停滞。リズムやリバウンドやルーズボールに対する強度、そして集中力を失っていた。

GAME1に続き緊張感のあるやり合いが続いていたが、この時点で命綱を手放した。
トランジションディフェンス崩壊
受け身になって勢いにのまれる
その背景にあったものは何か――。
互いにGAME1からラインナップに変更があった。鹿児島はGAME1で出場がなかったジェームズ・エニスが復帰し、14得点3Aと活躍が光った。

一方の信州はエリエット・ドンリーがGAME1での負傷のためGAME2は欠場。サイズが落ちるだけでなく、クリエイトできる人数が減った状態での戦い。痛手となったのは間違いない。
さらに勝敗を分けた第3Qは、途中までペリン・ビュフォードの姿がなかった。

試合はGAME1よりも速さと激しさが増したゲームとなった。
互いのフィールドゴールアテンプトは65回から75回(信州は77回)と大幅に増加。そして鹿児島は速攻での得点が9得点から23得点に増えた。フリースローもGAME1より7本多い26本の試投を得るなど、強度の変化が見て取れた。

試合を終えた勝久マイケル・ヘッドコーチ(HC)は「あんなに簡単にああいう速い展開でやられたくない。我々は毎回ディフェンスをセットして、毎回我慢強くディフェンスをしていきたい」と肩を落とした。
GAME1の課題となったターンオーバーの数はGAME1の12個から8個に減少しているものの、鹿児島のアップテンポなバスケに対して後手を踏んでしまった。

この日スタートとして出場した三ツ井利也。
「大事な場面、点差が離れ始めた時に、オフェンスでもディフェンスでもフィジカルに強くプレーできなかったことが一番印象に残っている。ここで点差を離そうとしている鹿児島さんは本当にフィジカルにタフにやってきた」
「それに対して、うちは結構ソフトになってしまった。受け身になってしまった部分があったのが昨日の試合との違いかなと思う」と、悔しさをにじませた。

求められるのは「勝利」のみ
鹿児島の地で最大の出力を
かつてB2で優勝した2018-19シーズンでも経験しなかったGAME3。レギュラーシーズンでも3連戦はなく、選手にとってもブースターにとっても未知の領域となってくる。

POの経験がある石川海斗は、反省を述べつつ前を向く。
「ここで崩れるのか、チームとしてもう一度一つになるのか。また明日(5日のGAME3)戦うチャンスはあるので、どれだけ自分たちがもう一回盛り返せるか。そこをやっていかなきゃいけないし、一番はメンタルの部分かなと思う」
体力、気力、チームの状況など厳しい部分は多い。それでも勝利をつかむためには、チームとしての団結力が求められる。

勝久HCは勝負のポイントを見据える。
「明日のミーティングが大事だと思う。いつもやっていることだけれど、もう一度みんなのマインドを正しい場所に置くために、明日のチームミーティングは非常に大事」
「ファンダメンタルの部分、コントロールできるべき部分、ディフェンスのルール、コミュニケーションやシンプルなボックスアウト。トランジションディフェンスを毎回セットすることやイージーなフリースローを簡単に与えないこと、ここからまずスタートする」

「特にピック・アンド・ロールディフェンスの面で相手が昨日(3日のGAME1)の我々を上回ろうとしていた読みの部分だったりのディテール。そのことに集中できるマインドを持っていくことが一番大事」

「B1復帰、B2優勝」の目標を達成するためには、ここで終わるわけにはいかない。鹿児島が勝利への意志を獰猛に見せてきたGAME2。それをさらに上回るのがPOの戦い方。3日間で最大出力のエナジーが求められてくる。

負ければ終わりのGAME3。62試合の積み重ねを思い出し、長野の地で応援するブースターの存在を思い出し、信州の勇士たちは決戦に挑む。

クラブ公式サイト
https://www.b-warriors.net/
りそなグループB.LEAGUE 2024-25ポストシーズン特設サイト
https://www.bleague.jp/postseason/2024-25/
B2プレーオフQUARTER FINALS(鹿児島レブナイズ)
https://www.rebnise.jp/lp/game_20250503_20250505/