練習生からつかんだプロ初スタメン 横山悠人は“クール&タフ”に真価を示す

ケガ人が多いことはマイナスなことだけではない。普段プレータイムが少ない選手たちにとってはチャンスにもなる。11月15-16日、信州ブレイブウォリアーズはホームで福島ファイヤーボンズと対戦。GAME1は66-79、GAME2は84-93と敗れたものの、2戦を通して横山悠人の成長が大きく見られた。後日追加取材を行い、福島との連戦を振り返った。

文:芋川 史貴/編集:大枝 令

アグレッシブさと冷静さの間で
チームに与える横山の影響力とは

福島との連戦から3日後の2025年11月19日。
練習を覗くと、元気に動いている横山の姿があった。

「身体の状態はもう大丈夫です」

16日のGAME2。第4クォーター(Q)の途中で両足をつり、車いすでコートを離れた。

「めっちゃ悔しかった。僕はもっとコートに立ちたかったし、人数が少ない中で誰かが欠けちゃうとやっぱりしんどい。だからめっちゃ悔しくて…早く出たかった」

今節の信州は緊急事態とも言える状況に陥っていた。ケガなどの理由から、GAME1ではマイク・ダウム、アキ・チェンバース、小栗瑛哉、生原秀将が欠場してロスターが9人。GAME2ではウェイン・マーシャルも欠場して8人ロスターでのゲームとなった。

そのため、普段プレータイムが短い横山や福島ハリス慈音ウチェが多くのプレータイムを獲得。攻守にわたり、エネルギー高くプレーを続けた。

GAME1では27分9秒の出場で
6得点4リバウンド3アシスト。

GAME2では23分55秒の出場で
7得点3リバウンド3アシスト。

堂々のスタッツを残した。

横山の良さは力強いドライブ力と、粘り強くどこまでも追いかけるディフェンス力。GAME1の第2Qでは開始早々ドライブからバスケットボールカウントを獲得したり、リバウンドへ飛び込んだりと持ち味を発揮していた。

もちろん、時にはブロックを浴びたり、ターンオーバーを記録することもある。

GAME1終了後の横山に自身の評価を尋ねた。

「アグレッシブに行くところはアグレッシブに行って、冷静になれるところは冷静に。状況判断できるようになるところは意識してやりたいと思う」

「(メンバーが少なくても)やることは変わらない。常に自分も準備をしてきているので、チームとして遂行しないといけない部分がまだまだ足りていなかったので、そういうところをしっかり準備して、明日(16日のGAME2)勝ちに繋げたい」

プロ初めてのスタメン出場
チームをけん引する活躍披露

改善点が明確になった上で迎えたGAME2。マーシャルの欠場により、スタメンには横山の名前が並んでいた。

深く集中していた横山。試合開始早々左コーナーから3ポイントシュートを射抜いて会場を沸かせると、第2Qにはドライブから冷静な判断でアシストを量産する。前日の反省点を生かして福島、東海林、小玉の3ポイントシュートを引き出し、チームをけん引した。

「(3ポイントシュートは)最初の得点というのは勝手に自分の中で意識していた。たまたま空いていたので、(ボールを)めっちゃ呼んだ。ファーストパンチという意味では良かった」

「GAME1でドライブを相手に見せられていたので、GAME2では自分に引き付けてアシストできたのはすごく良かったなと思う。ただ、もっといろんな人にクリエイトできたなと思う部分もあった」

プロ初めてのスタメンに関しても、極めて冷静に受け入れながらコートに立った。

「とにかく自分の中では『ディフェンスから作ってオフェンスに持っていこう』というのだけがスタートで出た時に大事だと思っていた。特別な思いとか、変わったことは別に意識していなかった」

それでも大学卒業後は実戦から長らく離れていた横山。自身の思いとは裏腹に、身体には大きな負担がかかっていたようだ。

「大学からゲーム感覚はそんなに失われていないと思ったけれど、カテゴリーが違うと身体の強度も違う。プレータイムは23分だったけど、それでも足が攣っている。試合と練習ではだいぶ違うので僕も経験だったと思う」

ハッスルが持ち味でもある選手。ワンプレーごとの強度や負荷はかなり高い。第3Q、残り3分38秒のルーズボールの場面でも足を伸ばすシーンが見られたり、第4Qの相手フリースローの時も屈伸をして足を気にしていた。

その後、残り6分39秒にオフェンスリバウンドへ飛び込み、着地と同時に両足がつった。立ち上がろうとするも立ち上がれない。拳でコートを叩きながら悔しさの表情を滲ませる。それに対してブースターも声援を送る。

「あの時は自分の足に『早く治れ』と思っていたからブースターの声にはあまり気づけなかった。だけど試合を振り返った時に(そのシーンを見返して)すごくうれしかった。そういう経験もあまりなかったので」

「特にGAME2はチームとお客さんの一体感がすごくあった。あの時の拍手はブースターと繋がれた瞬間だったのかなと思う」

練習生から地道に努力を重ねて辿り着いたプロの舞台。懸命にプレーをする横山の姿に心を打たれたブースターも多いはずだ。

「身体がもう覚えたので、しっかりトレーニングして、食事して、走りまくれるように準備する」

笑顔いっぱいで次戦に向けて成長を誓う横山。舞い込んだチャンスを逃さず成長を積み重ね、選手としての価値をさらに高めていく。


Bリーグ チーム紹介ページ
https://www.bleague.jp/club_detail/?TeamID=716&tab=1
クラブ公式サイト
https://www.b-warriors.net/

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